15 変化
丈/キャプテン 主人公
デイビス、アイビー、アリス、ヨル アイディール部隊の隊員
マシュー 発明家 様々な装備を創っている。
疾走型ライフ 移動と反射神経の速さが特徴
「ふぅーふぅー、あっちっ!」丈はコップに入った熱めのお茶を啜ろうとしたが、火傷しそうになっていた。
「それ熱いよ」「おせーよ!」丈はマシューの実験室でお茶とお茶菓子を嗜んでいた。実験室の中には様々な開発品や設計図などがあった。マシューは新たな開発をしている最中である。3Dモニターに設計図が表示されており、そこには人の形をしているロボットがあった。
「マシューはどんなもの創ってるんだ?」丈は気になりマシューに聞いてみた。
「んー?気になるかい?内緒だよ~」「なんだよ!勿体ぶるなよ」
丈の問いに対して言葉だけ返して顔を見ることなく、開発の手を止めずに没頭していた。
時間が少し経ち、「そうだ」「ん?」
「君はなんで普通にここにいるんだ?」丈はお茶菓子を食べようとした手を止められ口元で止まってしまった。
「ダメなのか?」「ダメじゃないけど」
「だって、ここ楽しいじゃん?カッコいいものが多くてさ。男のロマンだぜ?」
「ロマン…か、別にいいが」マシューはなにか昔を思い出すように目線を上に向けた。
「あと、ここに置いてある食べ物がスゲー俺の好みなんだよ~」
「本心それだろ、帰れ」「こわっ!」
丈はマシューの実験室へちょくちょく訪ねておりその度に、食べ物を漁りお茶を飲んでいる。先日の丈の新装備を創ってもらってから距離が縮まり憎まれ口を叩くくらいの仲になってきた。
「キャプテンは、今日は休みなのか?」
「いや、これから皆と訓練をするんだ」「じゃあ、早く行きな」「なんで、そんなに追い出すんだよ!ちょっとマシューの作業の集中を切らさせてるだけだろ!?」
「だいっぶ問題だけどね」「まあ、そろそろ退散しようかな」「ああ、わかった」
「俺達は今、怪物達と戦争状態だ。ユートピアにいる一般人の人たちには、なるべく不安を持たせないようにさせるのが俺達の使命だからな」
「わかってるよ」「じゃあな」「ああ」
「おつかれ」「お疲れさま、キャプテン」
訓練場には練習着に着替えているデイビス、アイビー、アリス、ヨルがすでにストレッチを始めていた。
「遅れてきてたけど、なにかあったのかい?」
丈が少し遅刻したことが気になり聞いた。
「さっきまでマシューの実験室にいてな、イチャイチャしてたら遅れてしまった」「うぇ」「おい」
その話を聞いてすぐにリアクションしたアイビーにツッコミをした。
「キャプテンはマシューと仲が良いんだね」「波長が合う感じって言うのか?楽なんだよな」「へぇ~なんか妬くな」
全員がストレッチを終えた。「今日は基礎練習を中心にやっていこうか、回避の強化とかな」「回避かー、どうやって練習するの?」「そうだな」丈は近くに置いてあった拳銃を手に取り、「じゃあ、これ撃っていくから避けてな」「避けれるかぁ!!」
ランニングから練習が始まった。「ヨルは前より体力ついてきたんじゃないか?」「本当ですか?時間があるときは、体力作りはするようにしてるんです」
「成長著しいな、頼もしいよ」「ありがとうございます!」ヨルは丈の言葉に嬉しそうに笑った。それに丈も笑みで返した。
ランニングも約5キロほど走り、回避練習に取り組んでいた。「意外と足にくるなこの練習」
『緊急緊急 ライフがセーフティ圏内に侵入 アイディール部隊の出動要請』サイレン音とアナウンスが訓練場に響いた。「ん?いつもとアナウンスが違うな、セーフティ圏内って?」「普段はユートピアを中心にセーフティ圏外で俺達は戦闘しているが、そこを突破したということだな」「新手か、急ぐぞ」「了解!」
アイディール部隊は戦闘服に着替え、輸送機に搭乗した。「今回のライフは疾走型の2体か」「数は少ないね、他の隊員だけで対処できなかったの?」「そうらしい、負傷者が何人か出てしまい、撤退したそうだ」
「珍しいなこの数なら普段は、他の隊員だけで対処可能だったのにな」
「数だけで油断はするなよ、気を引き締めていけ」「了解!」
『降下地点に到着』パイロットからのアナウンスで降下準備を始めた。「無線の接続を忘れるなよ」
輸送機のハッチが開き、デイビスは地上の様子を見た。
「確かに2体だけだな」「よし、作戦はとりあえず普段と同じでいこう」
アイビーが先に降りて、そこから順番に降りていった。
アイビーがライフに近づき爆弾を落とそうとしたとき、ライフの頭がピクッと動き、アイビーが落とした爆弾を左右に別れ避けたのだ。
「なにっ!?」アイビーは危険を察知しライフの近くから離れた。
『全員ライフから離れたところで合流するぞ』
ライフから距離を保った場所で地上に降り立った。
ライフ達はその場で止まり、観察しているかのようにこちらを見ていた。
「避けた?今までのライフにはなかった動きだな」
全員がパラシュートを外しながら、ライフから目を離さないようにしていた。「奇妙だな慎重にいこう」「了解!」
「でも、どうやって闘う?」アリスが銃を構え尋ねた。
「疾走型は移動速度と反射神経が良くて4足の脚が発達しているのが特徴だ。まず、機動力を削ぐのがセオリーだな」「なら…」
今まで沈黙していた疾走型ライフの口からチャージ音が鳴り発射された。「危ない!」アイディール部隊は紙一重で避けることができた。
『固まってると狙われる!バラけろ!とりあえず俺が接近戦を仕掛けるから隙を補ってくれ』『了解!』
丈がビームの間を縫うように高速移動を使い間合いを詰める。横並びに攻撃してきておりまず1体ずつ倒すことに決めた。「まずは左から」丈は狙いを定め飛びながらライフの死角をつき攻撃しようとした。しかし、
『キャプテン!うしろ!』「え?」
もう1体のライフがいつの間にか丈の死角に回り込み、ビームを撃とうとしていた。「ちっ!」空中で横回転して危機一髪のところで避けることができた。
「はぁはぁはぁ これは苦戦するな…」
ありがとうございました。
丈とマシューは友達っぽくなってきましたね