第二十一話 ヒミツはバレるもの
21 ヒミツはバレるもの
翌朝、アキラは、アカネに呼び出された。
朝っぱらから何事だろうと駆けつけたアキラは、彼女が終始、不機嫌そうにしているのかわからなかった。
「アキラ、ガーネットがもう一人いるってどういうことなの」
「その説明を、君にする必要ある?」
「友達なら話してほしいわね」
「話したら信じる?」
「……聞いてみるまでわからないわ」
信じるも信じないも関係ない。ガーネットは意思を持ち、恋をしている。
「僕の魂を分けた。精霊ガレと、黒百合の女神の力で」
「……」
「記憶をコピーした、と言ったほうが、いくらか正しいかな。僕は、彼女を消してしまうのが、忍びなかったんだ。いつだって僕を助けてくれたから」
「彼女は、あなたじゃない。アキラ」
「そうだよ。彼女は僕だ」
「あの婿殿に話したの?」
「話す必要がどこにある。彼は、ガーネットが人でないことに気づいてる。それでも構わないと言ってくれた」
「それでもよ。正体を話した上で、結婚させるべきだわ。契約だもの」
「契約がなに? 僕は実の父親の顔すら覚えていない。契約といったって、破棄すれば他人だ。この結婚が長続きするかなんて、誰にもわからない」
「なるほどね。じゃあ聞くけど、あなたは父親になるんでしょう。契約上だけどね。誠実な人を騙すのが、父として正しいのかしら」
アカネの指摘に、アキラは腕を組んだ。
ラグネルが状況に流されやすい男だとは思う。そこにつけ込んで、連れ出したのも認めよう。だが、ラグネルは誠実な男だ。
男でありながら、魔女になった自分とは違う。
だが、もしも。
ガーネットの正体を話して、この恋が終わってしまったら。
彼女になんて言い訳する?
「彼女には、優しい伴侶が必要だ。自分の幸せを願わないやつはいない」
「その通りよ。なおさら、隠して問題になるより、正直に情報を出した方がいい。あなたのためよ。内緒にしたってバレるのは、どこでも同じよ」
ガーネットは、僕が僕のためだけに作った女、多大なる恩に報いなくてはならない。
「アカネ、君の言う通りだね。ラグネルには折を見て、きちんと話す」
「それがいいと思うわ。揉める前に」
「よくわかったよ。ありがとう」




