40.護る愛、誓う夜
夕暮れが迫る中、私たちはちょうど良い場所に町を見つけた。宿屋の前で馬を降りると、そこには見覚えのある姿があった。
「え!?ドラ!?」
ドラは私たちに向かって微笑み、少し疲れたような表情で言った。
「やっと会えたか。」
バルサザールもその姿を見て、軽く驚いた表情を見せた。
「おや?想定より随分とお早いですね。」
ドラは軽く頭を下げ、「散らしている部下の情報で、恐らくこの辺でお会いできるだろうと思っていました。」と説明した。
「詳しい事は中でお伺いしましょうか。」
バルサザールは周囲を見回しながら提案した。
私たちは宿屋の中に入り、部屋を取ると、ドラと共に落ち着いて話をすることにした。部屋の中は温かく、夕焼けが窓から差し込んで心地よい雰囲気だった。
バルサザールがドアを閉め、私たちが座ると、ドラは詳細を話し始めた。
「王女殿下、宰相。まず、無事で何よりです。今回の襲撃に関して、情報がいくつかあります。」
「お願いします。」
バルサザールは真剣な表情でドラに向き直った。
「セインタール公爵の配下が、王を脅すためにあなた方を拉致しようとしたようです。彼らの計画はまだ完全には把握できていませんが、迅速に行動を起こす必要があります。」
バルサザールは一瞬考え込んだ後、決意を固めたように口を開いた。
「やはりですか。ふむ、文を書きますから、王へ届けていただいても?」
ドラは即座に「承知した。」と答えた。
バルサザールは部屋に備え付けられている羽ペンを手に取り、懐から羊皮紙を取り出した。そして、流れるような筆運びで文を書き始めた。
「ティアナ、あなたの署名をいただいても?」
私は少し緊張しながらも、ペンを手に取り、バルサザールが示す場所に署名をした。しかし、サインを書き終えた瞬間、あることに気づいた。文の内容が全然王宮への報告書ではなく、私の体に触れても私が文句を言わないという謎の契約書になっていた。
「あ?え?」
私は驚きと困惑の表情を浮かべた。
バルサザールは軽く微笑みながら、「いけませんねぇ、王女殿下。書類にはきちんと目を通さなければ…痛い目をみるはめになりますよ?」と冗談めかして言った。
「えぇーーーー!?今冗談やってる場合じゃないよね!?」
バルサザールは笑いをこらえながら、「これはこれは。では、本物はこちらです。」と言って懐からもう一枚の羊皮紙を取り出した。そこには王宮向けのしっかりとした文が書かれていた。
「これが本物です。今度こそ、サインをお願いします。」
――いつ書いたの!?
私は安心して、今度こそ本物の文書に署名をした。バルサザールはその文書を丸め、懐から黒い筒を取り出して文書を中に入れた。そして、ドラにそれを手渡した。
「これで安心です。ドラ、急いで王へ届けてください。」
ドラは頷き、文書を受け取って部屋を出て行った。私はほっとした気持ちでバルサザールを見上げた。
「本当に、バルって…冗談が過ぎるよ。」
バルサザールは微笑みながら、私の手をそっと握った。
「あなたの笑顔を見ると、つい冗談を言いたくなるのです。」
私はその言葉に少し照れくさくなりながらも、彼の優しさを感じて微笑み返した。
「さて?邪魔者もいなくなりましたし、契約書もあることですし、いい加減手を出しても問題はなさそうですね?」
「えぇ!?ここで!?」
バルサザールの言葉に驚きながらも、周囲を見渡すと、部屋の豪華さと綺麗さが一層際立って見えた。もしかして、最初からこの状況を想定していたということなのだろうか。文書もこうなると分かっていたから用意していたのだろうか。
「おや?その顔は気づいたようですね?素敵なシチュエーションをご用意致しました。」
バルサザールは微笑みを浮かべながら、私を見つめた。
その瞳に引き込まれ、私は軽く息を飲んだ。彼の計画性と細やかな配慮に感心しながらも、心の中に湧き上がる感情を抑えることができなかった。
「もう好きにしてください…。」
私は少し諦めたように呟き、バルサザールの胸に寄り添った。
彼は優しく私の髪を撫でながら、静かに囁いた。
「ティアナ、あなたが私にとってどれほど大切か、今日という日が特別な意味を持つことを証明させてください。」
その言葉に、私は胸が熱くなり、心から彼の愛を感じた。バルサザールの腕に包まれながら、私は彼の優しさと温もりを感じ続けた。
「バル…ありがとう。その前に湯浴みしていい?」
「えぇ、もちろん。一緒に入りますか?」バルサザールは冗談めかして笑みを浮かべた。
「いきなり!?難易度高い!!」私は慌てて言ったが、彼の冗談に少し安心した。
「冗談です。どうぞ。」彼は優しく手を広げ、バスルームの方向を示した。
私は部屋に備え付けられたバスルームに入り、温かい湯に浸かりながら一日の疲れを癒した。湯浴みを終えた後、バスルームに置かれていた髪の毛を一瞬で乾かす魔道具に気付いた。それは高級品であり、王宮や侯爵位クラスの人々でないと手に入れられないものだった。
――これって、バルが用意してくれたの?
その心遣いに感動しながら、髪を乾かし、バスルームを出た。すると、バルサザールも湯浴みを終えていた。
「え!?どこで湯浴みしてきたの?」私は驚いて尋ねた。
「別で部屋をとってありますから、そちらで。」彼は微笑みながら答えた。
「えぇ!?」私は再び驚いたが、バルサザールの準備の良さと細やかな配慮に感心した。
彼は私の反応に楽しそうに笑みを浮かべながら、私の手を取って優しく引き寄せた。
バルサザールは私を抱き上げてベッドに降ろし、そのまま私に覆いかぶさった。彼の顔が近づき、心臓がドキドキと高鳴る。
「王宮が大変な時にこんなこと…。」
「あぁ、言い忘れておりましたね。こういうことも想定しておりましたので、王には非常時の対処法を伝えてあります。安心してください。」バルサザールは穏やかな声で、私の不安を払拭しようと語りかけた。
彼の言葉に安心しながらも、私は彼の顔を見つめ続けた。彼の瞳には深い愛情が込められていたが、若干の焦りが見えた。
「バル…もしかして、何か焦ってるの?」
彼は酷く驚いた顔をして、一瞬言葉を失った。
「いえ、そんなことは…。」
「半年も一緒にいたら流石にわかるよ?」
バルサザールは一度目を閉じ、深く息をついてから再び私の目を見つめた。
「全く…あなたにはかないませんね。」
彼は私の頬に手を添え、甘く痺れるかのようにキスを落とした。彼の唇が首筋に触れるたびに、全身が温かくなるような感覚が広がった。
「どうしたの?」
彼は再び唇を離し、真剣な表情で答えた。
「アナタが攫われたと分かった時に、とても…恐かったんです。私は別にアナタがどれだけ汚れていようとも愛し抜く自信がありますが、純粋なアナタはきっと病んでしまうでしょう。特に元いた世界でも経験のなさそうなアナタが純潔を知らぬ男に奪われたとなれば…。その恐怖は計り知れないことでしょう。」
彼の言葉に胸が締め付けられるような思いがした。
「バル…」
「ですから、このまま王宮へ戻ってしまう前に…私にアナタを下さい。誰に何をされようと最初は私であることをその体に…心に…刻んでおきたいのです。王族は常に命を狙われますから…。」
彼の言葉に、私は深い愛情と共に感じる思いを見て、静かに頷いた。
「そっか。わかった。」
バルサザールは私の返事に微笑み、ゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねた。そのキスは甘く、優しいもので、私の心に彼の愛情が深く染み込んでいくのを感じた。
彼はそのまま、唇を離して私の額、頬、耳元、首筋へとキスを続けた。その度に、体が熱くなり、彼の温もりが私を包み込んでいく。彼の唇が肩に触れた時、思わず声が漏れた。
「くすぐったいよ…。」
バルサザールは微笑みながら私の体にキスを続け、時折優しく撫でる手が私の肌を心地よく感じさせた。
「時に、経験はおありですか?」
彼の問いに、顔が赤くなり、恥ずかしさで言葉が詰まった。
「なっ、ないよ。彼氏いない歴30年…あっ!!」
――しまった!!実年齢を明かしてしまった!!
バルサザールは驚いたように目を見開き、次第に笑みを浮かべた。
「これはこれは…年上でしたか。」
「えーっと、今は15歳だし…。」
「何歳でも構いませんよ。アナタの初めてを奪えるのは非常に喜ばしい。」
彼の言葉に、私はさらに顔が赤くなり、心がドキドキと高鳴るのを感じた。バルサザールは私の反応を楽しむかのように、再び唇を重ね、その後も体中に優しいキスを続けた。その愛情深い行為に、私は彼の愛を全身で受け止め、心から幸せを感じた。
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