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共に断罪処刑される悪役宰相は私の最推しです!!  作者: 無月公主


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39.罠を越えて

暗い森の中、木々の枝が影を落とし、わずかな月明かりが地面を照らしていた。風が冷たく吹き抜け、葉がささやくような音を立てている。遠くからは不気味な鳥の鳴き声が響き渡り、森全体が静けさの中に包まれていた。


バルサザールは申し訳なさそうに眉をひそめ、私の手を握りしめた。その力強さに、彼がどれほど私を守ろうとしているかを感じ取れた。


「バルはどうして誘拐されたの?」


バルサザールは少し苦笑しながら答えた。

「晩餐の時間でしたから、アナタを迎えに行こうとして部屋に入るなり、鈍器で殴られたんです。幸い意識はあったのですが、ティアナの無事が確認できなかったので、一緒に拉致していただきました。」


私は驚きと心配で胸が締め付けられるのを感じた。


「そんな…バルがそんな目に遭ってまで私を守ってくれたの?」


バルサザールは軽く頷き、私の頬に手を添えて優しく撫でた。


「ええ。アナタを守るためなら、どんなことでもしますよ。」


彼の言葉に胸が熱くなり、涙がこぼれそうになるのを必死に抑えた。


「バル、本当にありがとう…でも、無理はしないでね。」


「心配しないでください。無理をしているわけではありません。ただ、私にとってアナタが大切だからこそ、こうしているのです。」


――なんて頼もしいの!?これで攻略キャラじゃないってありえる?いいや、ありえない。絶対実装すべきキャラクターじゃない!!って、今はそんな事考えてる場合じゃなかった。


「これからどうするの?」私は不安を抑えながら尋ねた。


バルサザールはしばらく黙って考え込んだ後、静かに答えた。

「それを今考えておりました。夜に森の中を移動するのは危険です。ここで夜を明かし、朝になってから移動するのが最善でしょう。」


「でも、ここで一晩過ごすなんて…」私は周囲を見回しながら、不安げに言った。


「大丈夫です。私が見張りますから、アナタはもうひと眠りして下さい。」


バルサザールは私の手を優しく握りしめ、安心させるように微笑んだ。


「でも、バルも疲れてるでしょう?私が見張るからバルが休んでよ。」


「心配しないでください。アナタの寝顔をみているだけで疲れなど吹き飛んでしまいますから。」


――本当に、この人は私のためにどこまでも尽くしてくれるんだ…。


私は彼の優しさに胸がいっぱいになりながらも、これ以上彼の思考を邪魔したくないと思った。眠くなくても、少しだけでも寝たふりをしようと思った。


「ありがとう、バル。じゃあ、少しだけ目を閉じるね。」


私は彼の胸にもたれかかり、ゆっくりと目を閉じた。バルサザールの温かい手が私の背中を優しく撫で、心地よい感覚が広がっていった。


――こんな状況でも、胸がドキドキしてキュンキュンして幸せな気持ちになっちゃう。


彼の温もりを感じながら、私は次第に意識が薄れていった。


―――――――――

―――――


数時間後、目を覚ますと、バルサザールは変わらず私を見守っていた。


「おはようございます。」


「おはよう。」


「さて、朝が来ました。色々考えましたが、王宮へ戻りましょうか。」


バルサザールは私を支えながら立ち上がり、その手の温もりが私に力を与えてくれた。


私たちは森の中を抜け、誘拐犯が残していった馬に向かった。馬はしっかりと繋がれており、私たちを待っているかのようだった。


バルサザールは馬に近づき、その背中を優しく撫でながら鞍を確認した。


「大丈夫そうです。さぁ、行きましょう。」


私は彼の手を借りて馬に乗り、その後ろにバルサザールがしっかりと座った。彼の腕が私の腰に回され、その強さと温もりが私を包み込んだ。


「しっかり掴まっていてください。道中、少し揺れるかもしれません。」


「うん、分かった。」


私は彼の言葉に従い、しっかりと彼の腕に掴まった。


馬はゆっくりと歩き始め、森の中を進んでいった。朝の光が木々の間から差し込み、緑の葉がキラキラと輝いていた。鳥のさえずりが聞こえ、森の中に生命の息吹を感じた。


バルサザールは私の背中に寄り添いながら、馬を巧みに操った。


「ここから王宮までかなりの時間がかかりますし、アナタは今、とてもセクシーな姿をしていらっしゃいますから、とりあえず近くの村で服でも…いえ、マントで良いですね。平民の服よりはそちらのほうが頑丈そうだ。」


彼の言葉に驚きつつも、少し照れくさい気持ちが込み上げた。


「セクシーだなんて…そんな、バル…」


「いえいえ、本当に。今のアナタの姿は、とても魅力的です。しかし、安全のために、少しでも目立たないようにするのが得策でしょう。」


彼の言葉に照れながらも、私は頷いた。馬はしばらく走り続け、やがて小さな村に到着した。村の人々が朝の仕事に取りかかっている様子が見え、ほっとした気持ちになった。


「ここでマントを手に入れましょう。」


バルサザールは私を馬から降ろし、手を取りながら村の雑貨店に向かった。店の前に馬を繋ぎ、私たちは店の中に入った。店内には様々な日用品が並び、奥には服やマントがかけられていた。


「いらっしゃいませ。」


店主が優しく微笑みながら迎えてくれた。


「マントを一着お願いできますか?」


店主はすぐに棚からシンプルで丈夫そうなマントを取り出し、私に手渡してくれた。私はそれを受け取り、軽く羽織ってみた。


「どうですか?」


「うん、ちょうどいい感じ。ありがとう。」


「では、これをいただきます。」


バルサザールは店主に支払いを済ませ、私の肩にマントをしっかりと掛け直してくれた。


「これで大丈夫です。行きましょう。」


バルサザールは私の手を再び握り、馬に乗せた。彼も後ろに乗り、馬を走らせて再び王宮を目指した。村の人々が見送る中、私たちは道を進み続けた。


「そういえば、バルっていつもお金持ち歩いてるよね。取られたりしなかったの?」


バルサザールは軽く笑いながら答えた。

「まぁ、身ぐるみを全て剥がれて、裸で放り出されない限り、その心配はないでしょう。」


私は驚いた表情で彼を見つめた。


「どうして?どうやってそんなことを?」


「いくつか工夫してあります。まず、私の服には幾つもの衣嚢(いのう)が縫い込まれており、そこに貴重品を隠しています。」


衣嚢(いのう)?ポケットのこと?そんなの全然気づかなかった…」


「ええ、それが目的ですからね。そして、さらにお金は普通の袋に入れず、錠剤の瓶や巻物の筒のような、一見お金とは思えない容器に入れて持ち歩いています。」


「なるほど…それなら、誰もお金だとは思わないね。」


「そうです。また、万が一に備えて、小さな金貨や宝石をアクセサリーのように見せかけて身につけることもあります。たとえば、ボタンに見える金貨や、ベルトのバックルに隠した宝石などですね。」


私は彼の話に感心しながらも、少し驚いた。


「そんなに工夫してるんだ…」


「生き延びるためには、細心の注意を払うことが必要です。特に、私のような立場の者ですと、そうせざるを得ないのです。」


「バル、本当に凄いね。」


――私の推しはいつだって最強で最高です!!


「ここから次の村へ向かい、馬を乗り替えて最短で王宮へ向かいます。私の予想からすると、私たちの命と引き換えに王を脅す計画が進行中でしょう。」


バルサザールの言葉に不安が広がったが、同時に彼が私たちを守るために全力を尽くしてくれることに安心感を覚えた。


「早く戻らないと…」


「はい、急ぎましょう。国の危機を防ぐために。」


彼は再び馬を走らせ、私たちは王宮を目指して進んだ。

読んで下さってありがとうございます!

お手数かけますが、イイネやブクマをいただけたら幸いです。モチベに繋がります( *´艸`)

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