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共に断罪処刑される悪役宰相は私の最推しです!!  作者: 無月公主


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34.雨中の襲撃と策士の怒り

壊れた馬車が無惨に横たわり、2頭の馬がその横で静かに息絶えていた。雨が激しく降り注ぎ、すべてを濡らし、泥で覆っていた。崖から落ちたかのように見えるその光景は、まるで悪夢のようだった。私は泥だらけのまま地面に横たわり、冷たい雨が私の体を打ちつけていた。私の髪は泥と水でぐちゃぐちゃになり、ドレスもすっかり汚れていた。


――あれ…どうしてこんなことになってるんだっけ?


私の意識はぼんやりとしており、過去の出来事が断片的にしか思い出せなかった。彼女は力なく腕を動かし、なんとか自分の体を起こそうとしたが、全身に力が入らず、ただ泥の中で震えるばかりだった。


―――――――――

―――――


―数時間前―


朝の柔らかな光が食堂に差し込む中、私は朝食の席に座っていた。お父様は少し顔色が悪いように見えたが、それでもいつものように穏やかな微笑みを浮かべていた。バルサザールも同席し、静かに食事をとっていた。


すると、突然お父様が咳き込み始め、顔が青ざめていった。皆が一瞬凍りつき、次の瞬間にはお父様が激しく吐血した。私は驚愕と恐怖で固まり、ただその場に立ち尽くしていた。バルサザールがすぐに医師を呼ぶように命じ、メイドたちが慌てて動き出した。


「お父様…!」


私は震える声で叫び、駆け寄ろうとしたが、バルサザールが私を制止した。


「冷静に。王のことは医師たちに任せましょう。」


その言葉に少しだけ落ち着きを取り戻し、深呼吸をした。お父様は医師たちに運ばれていき、私はただその背中を見送るしかなかった。


部屋に戻ると、ラーカンとウルスウドラが控えていた。彼らは心配そうな表情で私を見つめていたが、私が何も言わずにただ頷くと、黙ってうなずき返した。


「ティアナ、今から、王の代わりに領地へ赴き、式典に顔を出さなければなりません。」


バルサザールの声が静かに響いた。


「私が…?」


「はい。王の容態が安定するまで、あなたが代わりを務める必要があります。ラーカンとウルスウドラも同行しますから、安心してください。」


彼の言葉に力強さと優しさを感じ、私は少しだけ心を落ち着けた。お父様のためにも、私はやるべきことをしなければならない。


「わかった。準備する。」


バルサザールは微笑みを浮かべて頷き、部屋を出ていった。私は深呼吸をして、ラーカンとドラに目を向けた。


「準備…手伝ってくれる?」


二人は同時にうなずき、私の支度を始めた。


準備が整い、馬車に乗り込むと、バルサザールが既に待っていた。彼の冷静な瞳が私を見つめ、微笑みを浮かべた。


「行きましょう、ティアナ。王のためにも。」


私は深く頷き、馬車のドアが閉まる音を聞きながら、心の中でお父様の無事を祈った。そして、バルサザールと共に領地へ向かう道のりが始まったのだった。


馬車が揺れ、車輪が石を踏む音が響く中、私は心の中でお父様の無事を祈り続けていた。しかし、その祈りが届く前に、突如として周囲の空気が変わった。


「何か…違和感がありますね・」


バルサザールが窓の外を鋭く見つめ、低い声でつぶやいた。


「違和感?」


「はい、そもそもあの領地に…。」


次の瞬間、馬車が激しく揺れ、外から金属がぶつかり合う音が響いた。ウルスウドラの率いる暗黒の騎士団が剣を抜き、敵と戦い始めたのだ。騎士たちの叫び声と剣戟の音が混じり合い、緊迫した空気が車内にも伝わってきた。


「ティアナ、しっかり掴まっていてください!」


バルサザールが私の手を強く握り、冷静さを保ちながらも緊張の色を見せた。


馬車の外では、ウルスウドラが剣を振るい、敵の攻撃を次々と受け止めていた。その動きはまるで影のように素早く、敵を次々と倒していく。彼の部下たちも同様に激しい戦闘を繰り広げ、馬車を守ろうと奮闘していた。


ラーカンは馬車の側に立ち、盾を構えて私たちを守っていた。敵の矢が飛んできても、それを素早く防ぎ、私たちに一切の被害を及ぼさないようにしていた。しかし、敵の数は多く、次第に防ぎきれなくなってきた。


「バル…。」


「騎士たちが押し返してくれるはずです。」


バルサザールの声は落ち着いていたが、その目には緊張が浮かんでいた。


突然、馬が激しく嘶き、矢が馬車に突き刺さった。次の瞬間、馬に矢が命中し、苦しそうに嘶きながら前のめりに倒れ込んだ。馬車がバランスを崩し、激しく揺れた。


「ラーカン!」


バルサザールが叫び、ラーカンは最後まで馬車の側にいたが、敵の攻撃が激しさを増し、その防御すらも突破された。敵が馬車に近づき、剣を振り下ろす瞬間、ラーカンは盾を構えて私たちを守ろうとしたが、別の馬からの体当たりで吹き飛ばされていってしまった。


馬車は崖際で激しく揺れ、バランスを崩して転落し始めた。私はバルサザールの腕にしがみつき、激しい恐怖と絶望に包まれた。馬車は崖から転がり落ち、激しく地面にぶつかる音が響いた。


バルサザールが咄嗟に私を抱き上げ、凄いタイミングで馬車から出て着地したが、最後に馬車の扉が落下の衝撃で外れて、それがバルサザールに当たり、放り出されてしまった。そして今に至るのだった。


――あぁ。そうだ。敵襲に…。


「そうだ、バル!?」


私は必死に周囲を見渡し、バルサザールを探した。彼は近くで倒れているようだったが、よく見ると眉間に皺を寄せて怒っているような小難しい表情を浮かべていた。


「バル?」


「あ、すみません。ご無事でしょうか?」


「無事…だけれど…。バルは大丈夫なの?」


「はい。とりあえず、ここを離れましょう。」


バルサザールは立ち上がり、私を抱き上げた。その力強さに驚きつつも、私は彼の背中に目をやった。


「じ、自分で歩けるわ。それにさっき…バル!!背中を怪我してるんじゃないの?」


「それは大丈夫です。鍛えておりますので。それよりも、私が策略負けしたことに腹が立っておりますので、しばらく思考の時間をいただけますか?」


彼の顔には笑顔が浮かんでいたが、その目には静かな怒りが宿っていた。私はその表情に心配しながらも、彼の腕の中で安心感を感じた。バルサザールの冷静な判断と力強さが、私たちを守ってくれるという確信があった。


バルは私を抱き上げたまま、周囲を見渡しながら慎重に歩き始めた。雨が降り続け、泥が足元を滑らせるが、彼の足取りは確かで揺るぎない。彼の温もりと共に、私はこの危機を乗り越えるための力を感じた。


そして、雨宿りができそうな森の中に入っていった。バルは足を止めずに歩き続けた。しばらくすると、馬にまたがった王宮騎士団の一人が見えた。


「え!?まさか敵襲にあわれたのですか?」


「はい。まんまとやられてしまいましたよ。この私が。」バルサザールは苦笑しながら答えた。


「では、どうぞ、お使いください。」


騎士はすぐに馬を降り、鞍を付け替えて馬を渡した。


「ご苦労様です。急ぎ、周囲に散らした者達に伝令を。わたしたちは予定通り、フルクラー領へ向かいます。」


「は!」


騎士は敬礼し、その場を離れた。


バルサザールは私を馬の前に乗せてから自分もまたがり、馬を走らせた。雨はなおも降り続き、私たちの視界を狭めていたが、彼の腕の中で私は少しずつ安心感を取り戻していった。


「バル。今どういう状況なの?」


「申し訳ございません。もう少し思考の時間をいただけますか?」


「う、うん。」


私は彼の言葉に従い、黙って馬の前に身を預けた。


馬は雨の中をひたすら走り続けた。時折、バルサザールの腕の中で彼の心臓の鼓動を感じ、そのリズムが私を落ち着かせた。長い時間が過ぎる中で、私たちは徐々にフルクラー領へと近づいていった。雨の音と馬の蹄の音が静かに響く中、私は彼の温もりに包まれながら、彼の口が開くのを待った。

読んで下さってありがとうございます!

お手数かけますが、イイネやブクマをいただけたら幸いです。モチベに繋がります( *´艸`)

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