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共に断罪処刑される悪役宰相は私の最推しです!!  作者: 無月公主


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29.冷たい火花

数日間、私はお茶会の準備に追われ、目まぐるしい日々を過ごしていた。初めて自分で開くお茶会だったので、緊張と興奮が入り混じっていた。バルサザールは最初、自分がセッティングすると言っていたのに、何故かいつの間にか私に任せるようになっていた。


そのおかげで、お茶会の開き方を一から学ぶことができた。お茶会用のドレスを選んだり、庭園をアレンジしたりと、忙しさは増すばかりだった。さらに、簡単な会議にも出なければならず、気が抜ける時間はほとんどなかった。


バルサザールも忙しいようで、朝から晩まで執務室に籠っており、食事の時以外はほとんど顔を合わせることがなかった。食事の時間にようやく彼の姿を見ることができると、少し安心した気持ちになった。


そんな中、少しずつではあるが、私はお茶会の準備を整えていった。


ある昼下がり、準備で疲れ果てながらトボトボと廊下を歩いていると、視界にある男の姿が入った。その男を見た瞬間、体が本能的にこわばり、嫌な汗が滲んできた。


「これはこれは、ルナティアナ王女殿下。お疲れのご様子ですね。」彼は丁寧に頭を下げながら、冷ややかな笑みを浮かべていた。


――どうしてこの人がここにいるの…?


私の心臓は早鐘のように打ち始め、緊張が全身を駆け巡った。


「お、お久しぶりです、公爵。」


セインタール公爵はにこりと微笑みながら、さらに一歩近づいてきた。


「準備でお忙しいと伺いましたが、無理はなさらないでくださいね。王女殿下のお体が心配ですから。」


私は微笑みを浮かべながらも、一歩後ずさりして距離を取った。


「ご心配いただきありがとうございます、公爵様。でも、大丈夫です。お茶会の準備は順調ですから。」


すると、颯爽とバルサザールがどこからともなく現れて私の肩をしっかりと抱いた。その手の温かさと力強さが、私の不安を一瞬で和らげてくれた。


「これはこれはセインタール公爵、いつもご苦労様です。」


バルサザールの声は丁寧でありながらも、どこか冷たい響きを持っていた。彼の瞳は冷静で鋭く、公爵を一瞬たりとも逃さず見つめていた。


セインタール公爵はバルサザールに向かって優雅に一礼し、ゆっくりと頭を下げた。


「宰相様、こちらこそお疲れ様です。」


彼の声は穏やかで礼儀正しいが、その背筋には緊張が走っているのが感じられた。


バルサザールは微笑みを浮かべながらも、その微笑みには冷淡さが混じっていた。彼の手は私の肩をしっかりと支え続け、その手の力強さが私に安心感を与えた。


セインタール公爵は視線をバルサザールから私に移し、一瞬だけ不快そうな表情を見せたが、すぐに笑顔を取り戻した。その動作は、彼が内心で何かを考えていることを物語っていた。


バルサザールは少し首をかしげて、公爵に向かって冷静な声で尋ねた。


「何の話をしていらしたのですか?」


セインタール公爵は優雅に笑みを浮かべながら答えた。


「ああ、王女殿下のお茶会の準備が少々滞っているように見受けられたので、心配になりましてね。何かお手伝いできることがあればと思ったのです。」

(訳:お茶会の準備が遅れているようだな?私が介入してやろう。)


バルサザールは冷静に微笑みながら答えた。


「ご心配いただきありがとうございます、公爵様。殿下のお茶会の準備が多少遅れているのは、やはり新しいことを学ぶというのは難しいものです。特に、教え方がその場に適していなければ、進行が遅れるのも致し方ないことでしょう。今後、さらに効果的な指導が行われれば、問題は解決するかと思います。」

(訳:お前の教え方が悪かったせいで遅れているのがわからないのか?私が1から教えるので、お前は介入してくるな。)


――こ、恐すぎる!!!この二人、笑顔でなんつー会話してるの!!


セインタール公爵は一瞬だけ目を細め、不快感を抑えながら微笑みを浮かべた。


「なるほど、宰相様のご指導があれば、殿下も迅速に進められるでしょう。私はその点で心配無用というわけですね。ですが、何かお力になれることがあれば、どうぞ遠慮なくお申し付けください。」


バルサザールは冷静な表情を崩さずに微笑み返した。


「ご配慮ありがとうございます、公爵。王女殿下は非常に優秀でして、私の指導がなくともお茶会の準備を滞りなく進めておられます。ですが、貴方のお申し出には感謝いたします。何かございましたら、ぜひお願いさせていただきます。」


セインタール公爵は、バルサザールの言葉に頷きながら微笑みを浮かべた。その微笑みにはどこか冷たさが含まれていた。


「それでは、私はこれで失礼いたします。王女殿下、宰相様、良い一日を。」


セインタール公爵は優雅に一礼し、ゆっくりとその場を後にした。


バルサザールはセインタール公爵が去るのを見届けた後、私の肩に手を置いて優しく話しかけた。


「ティアナ、大丈夫ですか?」


体が震えていた。私が怖いと思っているのではなく、体の本能がセインタール公爵を怖がっていた。


「うん。なんか…この体の本能にトラウマがあるみたい。」


バルサザールは私の言葉に眉をひそめ、私をさらに引き寄せるようにして優しく抱きしめた。


「無理をしないでください。一度、私の部屋へ行きましょう。」


「バル、会議は?」私は彼を見上げながら尋ねた。


「アナタを部屋にお連れした後に出席します。」


彼の声は穏やかでありながらも決意に満ちていた。


彼は私の肩に手を回し、私をしっかりと支えながら廊下を歩いて自分の部屋へと向かった。広い廊下を進む間も、彼の温もりと力強さが私を安心させてくれた。


部屋に入ると、バルサザールは私を急に引き寄せ、背中を壁に押し付けた。彼の瞳には激情が宿り、次の瞬間、彼の唇が私の唇に重なった。激しく、そして熱烈なキスだった。心臓が早鐘のように打ち、全身に電流が走るような感覚が広がった。


「バ、バル…」


息が上がりながら彼の名前を呼ぶと、彼は一瞬だけ唇を離し、私の目をじっと見つめた。


「ティアナ、今日はここで過ごしてください。会議が終わり次第戻ります。それまで、好きなだけ私の私物でも見ていて構いません。安心して待っていてください。」


彼は私の額に優しくキスをし、手をそっと離した。バルサザールの言葉には温かさと配慮が込められており、私は彼の気遣いに心から感謝した。


「わかったわ、バル。ありがとう。」


私は微笑みながら答え、部屋を見渡した。バルサザールの部屋は広く、壁にはたくさんの本が並んでおり、机の上には書類が整然と並んでいた。彼の生活や仕事が垣間見えるこの空間にいると、少しずつ安心感が広がっていった。


「クローゼットの中もお好きにしていただいて構いませんよ?」


バルサザールは甘く誘惑するような声で言いながら、軽く顎を上げてクローゼットの方を示した。


――えぇ!?いいの!?


実はバルサザールの匂いが大好きで、クローゼットの中身には興味があった。彼の匂いに包まれることを考えると、心の中で喜びが溢れてくるのを感じた。


「クッハハッ。アナタという人は、本当に…変態…というべきでしょうか?」


バルサザールは軽く笑いながら、私を見つめて言った。


――嵌められた…。喜んじゃった私。


彼の言葉に顔を赤らめる私を見て、バルサザールはもう一度激しいキスをした。彼の唇が私の唇を奪い、熱い情熱が全身に伝わってきた。


すると、コンコンと部屋のドアが鳴り、ドアの向こうから「宰相!会議のお時間です!」と従者が呼びにきていた。バルサザールは唇を離し、私の目を見つめながら囁いた。


「好きなだけ、私のものに触れていなさい。」


彼の言葉が甘く響き、私はその誘惑に抗うことができなかった。バルサザールは私の手を軽く握りしめ、最後にもう一度額にキスをしてから、静かに部屋を出て行った。部屋には彼の残り香が漂い、私はその香りに包まれながら、彼のクローゼットに向かった。

読んで下さってありがとうございます!

お手数かけますが、イイネやブクマをいただけたら幸いです。モチベに繋がります( *´艸`)

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