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1.私が乙女ゲームの脇役王女に!?

時計の針の音が耳に響く。真っ暗で何も見えない。私は一体何をしていたのだろう? 確か、乙女ゲームをしていたはずだ。徹夜してしまったようだ。今何時だろう…。いや、待って、これは布団? 滑らかで肌触りがいい…なんだこの感触は…。それに、髪の毛がこんなに長いなんて。まるで幽霊が出たのかと思い、驚いて体を起こした。ベッド!? 私の家にベッドなんてなかったはずなのに…。


慌ててベッドから降りようとすると、何かに引っかかり、チリンとベルの音がした。どうやらベルを落としてしまったようだ。その音を聞いた途端、扉が開く音がして、ランプを持った女性が駆け寄ってきた。


「ルナティアナ王女殿下、お呼びでしょうか。」


「お、王女…殿下?」


私は状況を理解できずに戸惑いながらも、目の前の女性を見つめた。彼女は長いドレスをまとい、優雅な仕草でランプを持っている。まるでゲームの中に登場するキャラクターのようだ。私は心の中で何度も自分に問いかけた。


――ここは一体どこ? そして、なぜ私は王女と呼ばれているの?…ルナティアナって…。


目をこらして周囲を見渡すと、豪華な装飾が施された部屋が広がっていた。壁には絵画が掛けられ、床には美しいカーペットが敷かれている。窓からは月明かりが差し込み、幻想的な雰囲気を醸し出している。


――まさか…これって乙女ゲームの世界?


ふと、自分がプレイしていたゲームの内容が頭をよぎった。そのゲームには、サブキャラクターとして登場するルナティアナという名の王女がいたはずだ。彼女は物語の重要な部分には関与しないが、プレイヤーを助けたり、時にはトラブルを引き起こしたりするキャラクターだった。


――ということは、私はその王女、ルナティアナに転生してしまったというの?


現実離れした状況に困惑しながらも、少しずつ受け入れざるを得なかった。目の前の女性が再び口を開いた。


「ルナティアナ王女殿下、大丈夫ですか? 何かご用命があれば、何でもお申し付けください。」


私は深呼吸をし、冷静さを取り戻そうと努めた。そして、できるだけ自然な態度で答えた。


「い、いえ、大丈夫。問題ないわ…。少し驚いただけ…。」


侍女が遠ざかると部屋が暗くなっていった。


「待って、灯りをつけてちょうだい。」


部屋を出ようとしていた侍女が足を止め、戻ってきた。


「はい、王女殿下。」


彼女は素早くランプに火を灯し、部屋全体が柔らかな光に包まれた。豪華な調度品が浮かび上がり、部屋の広がりが一層際立つ。


「ありがとう。」


侍女が一礼して部屋を出て行った後、私はベッドの端に腰を下ろし、深いため息をついた。


――本当に転生してしまったんだ…。しかも、あの乙女ゲームの世界に。


ゲームのストーリーを思い返しながら、私はこれからの自分の運命をどう切り開いていくのかを考えた。私がプレイしていたゲームの世界では、ルナティアナ王女は悪役宰相の陰謀によって国を悪政へと導いてしまう。そして、ヒロインである主人公とルナリオンによって宰相と共に断罪される運命にある。


――そんな…私はそんな役割を果たしたくない…。


私はベッドから立ち上がり、部屋の中を見渡した。豪華な装飾品や家具、そして窓から差し込む月明かりがこの場所の特別さを物語っていた。 この世界での自分の役割を変えるためには、今から行動を起こさなければならない。・・・が、それ以上に大切なことがあった。


――それは、私はこの世界の攻略キャラクターを攻略したいなんて思っていない。そう、私の推しキャラクターはまさに悪役宰相なのだ。


まずは、今がストーリーのどこらへんなのかを確かめる必要があった。私はこの世界の流れを理解し、適切なタイミングで行動を起こすために、部屋を探り始めることにした。


まず目に留まったのは、大きなデスクだ。私はデスクに近づき、引き出しを開けてみた。中には書類や手紙が整然と並べられている。これらが何かの手がかりになるかもしれないと考え、いくつかの手紙を取り出して読むことにした。


――なるほどねぇ。今はエヴァレーン王国歴1200年。私は今15歳でもうすぐ16歳を迎えて王位を継承するのね。


手紙の内容から、現状を把握し始める。どうやら私は、この王国の次期女王としての責務を負っているらしい。しかし、それ以上に気になるのは、私の推しキャラクターである宰相バルサザール・クロウリーのことだ。


私の推しキャラクターである悪役宰相の名はバルサザール・クロウリー。捨て子として農家に拾われ、エヴァレーン王国の片田舎で育った彼は、幼少期からその類まれな聡明さで周囲を驚かせていた。独学で読み書きや算術を習得し、地元の小さな図書館に足しげく通い、あらゆる書物を貪るように読み漁った。


十代で両親を病で失い、たった一人で生計を立てることを決意したバルサザール。市場で行商を始め、その驚異的な才覚と交渉術で商売を拡大していった。やがて都に進出し、貿易業を始めた彼は、多くの商人や貴族とのコネクションを築き上げる。その一方で、貧困層への支援も欠かさず行い、多くの人々から信頼と支持を得るようになった。


その評判は王宮にまで届き、バルサザールは王宮の経済顧問として招かれることになる。彼は瞬く間に王国の財政を立て直し、王室の信頼を勝ち取った。平民出身ということで一部の貴族から反発を受けたが、その圧倒的な成果と能力で彼らの支持も徐々に得ていった。


次に彼が目指したのは、王宮内での権力基盤の確立。政治改革を提案し、その多くを成功させたバルサザール。特に平民層からの支持を得るための政策が功を奏し、彼は【平民の味方】として広く認知されるようになる。


そしてついに、彼は宰相の地位に上り詰める。彼の類まれな才能と成果は、エヴァレーン王国に革新をもたらした。冷徹な手腕と強硬な政策で敵も多く生まれたが、彼の真意を知る者は少ない。


その容姿もまた、彼の魅力の一つだ。銀髪の長い髪、片眼鏡、そして綺麗な宝石のような青い瞳。その見た目は、まるで貴族のような風格を漂わせている。


バルサザール・クロウリー――捨て子として育ち、平民から宰相に上り詰めた彼の名は、エヴァレーン王国の歴史に燦然と輝くこととなる。彼のカリスマ性と知略、その背後に隠された孤独と悲しみ…。彼こそが、私の大好きな推しキャラクターなのだ。


そんな彼は、丁度私を操り人形にするために動いており、王位継承が終わり次第現王である父を暗殺しようと企んでいる。今が丁度その時期で、彼が自らの手を血で染めようとしている時期だ。私はどうにかしてそれを止めたい。彼が何故、そんなことを企むようになったのかを知らなくちゃ…。その理由を知ることで、彼の心を変えることができるかもしれない。


――自白剤とかないかな…。手っ取り早く飲ませて吐かせちゃえばいいのでは? だって今、彼を疑ってる人なんて誰もいないし。でもそんなことしたら私殺されちゃうかも!? でも…どうすれば…。誰かにやらせる? どうすれば彼を悪の道から救い出せて私のものにできるの~~~!!


私はベッドの端に腰を下ろし、深いため息をついた。そんな簡単に彼を救う方法なんて見つかるわけがない。でも、諦めるわけにはいかない。彼を救うためには、もっと慎重に行動しなければならない。


「やるしかない…!」


私は決意を固め、迅速に行動に移ることにした。まずは自白剤を手に入れるために、宮廷の薬師を訪ねることにした。私の立場を利用して、それを入手するのは容易いはず!!

読んで下さってありがとうございます!

お手数かけますが、イイネやブクマをいただけたら幸いです。モチベに繋がります( *´艸`)

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