アチラガワラジオ4
イタバサミ、それは人の心と宇宙の狭間にある世界。
現実世界の何処とでも繋がっていて、何処とも繋がっていない世界。
誰もが持っていて、干渉し合わない世界。
これはそんな世界に住むジュウニンの日常
他人だ。久しぶりに見た。
よくこんなところに飛んできたね。
インタビュー?よくわからないけど、いいよ。
この街はね、目の悪いジュウニンが自然に集まるんだ。
私?私は見えてるよ。
え?今まで会ったジュウニンと一人称が違う?
僕は目の代わりに記憶が曖昧なんだ。
それで、君は誰だっけ?まぁいいや。
君についていくね。
言葉が喋れる子、この街、少ないから、久しぶりに声出した。
言葉が喋れないジュウニン?うん、ここではほとんどがそうだよ。
目が悪くて、言葉が話せないヤツが多いんだ。
いつでも夜で、気づいたら人数が減ってる。
・・・君の足元、くっついてるね。
そう、そのちっこいのが、ここのジュウニンだよ。
君にしがみついてるやつ。
君のような他人には寄ってくるんだ。
君はよく見えるからね。
目が悪いのに、見えるのかって?目が悪いから、よく見えるんだ。
よく見えるから、寄ってくる。
害は無いけど、多分少しずつ集まってくるよ。
足が重たくなる前に、蹴り飛ばした方がいいよ。
・・・そっか、君はソレが生き物に見えるんだ。
何でもない。
あれは飲み水にしてる池。蛇口?あっても水は出ないよ。あの池にしか水はないんだ。
おなかが空いたら、カラカラになった木の枝を折って食べるんだ。
そこらじゅうに枯れ木が生えてるでしょ?
多分、干し肉みたいな味だよ。覚えてないから、わからないけど。
あれ、いつの間にかまたジュウニンが引っ付いてる。
肩に1人、足に2人。
重たくなる前に、蹴り飛ばした方がいいよ。
・・・そっか。じゃあ僕が持つね。
ヨイショ。
お月様が溶けてるように見えるって?
そういえば、そうなのかな。
でもあの溢れた雫がここに落ちてきたことは無いんだ。
ふぁ、そろそろ眠くなってきちゃった。
いつも夜だから、寝る時間はよくわからないんだ。
あれ、君は誰だったっけ?
帰るんだ、じゃあ、おやすみ。