【完結】ざまあ、してみたかったな
「ナタリア・モニーク!! 貴様を断罪する。心当たりがあるのなら先に謝らせてやるから前に出よ!」
この時が来てしまった。
私は転生者。
この流れは、前世の記憶でよく知っている。
卒業パーティーで婚約者である王太子に断罪される運命。
何としても避けようとしたのだが、やはり避けることはできなかった。
しかし、対抗するだけの準備はしてきた。
後は、誇り高く戦うのみ。
私は一歩踏み出そうとした。
すると・・・
「ナタリア様。あちらでお料理を楽しみましょう。」
友人の公爵令嬢であるエミリー様に声をかけられた。
「「「えっ?」」」
エミリー様の言葉に、王太子達も私も驚く。
私、今、断罪されているのだけれど。
なぜ、エミリー様はこんなに普段通りなのだろう。
「・・・エミリー様?」
「何かしら?」
私はとりあえず視線で王太子達を示した。
すると、エミリー様は心底どうでもよさそうに仰った。
「終わった人に興味はないわ。」
「そもそも、自分の横に女性を侍らせて断罪とはどういうつもりなのかしら。
自分が浮気していたことを堂々と証明しているようなものじゃないの。」
ピシッ
王太子達が固まった。
「そして、断罪って・・・。ナタリア様がいじめにしろ、何かの罪にせよできる訳がないでしょう。」
「何故そう言い切れる!」
「高貴な身分の者には、常に影が付き従って身を守っている。常識でしょう? 家に問題が起きそうな行為を放っておく訳がないですし、当主に報告しないなどありえません。まして、ナタリア様は王太子の婚約者。王家も影をつけているでしょう。」
エミリー様がため息をついた。
「ナタリア様がもし本当に問題を起こしていたら、あなたからでなく、すでに王家か公爵家から罰を与えられているはずです。
つまり、ナタリア様は無実。
そんなこともわからず、この様なことを起こしてしまったあなた方は・・・もうお終いです。」
王太子達から表情が無くなった。
「だから、そんな人達はどうでもいいのです。放っておいてパーティーを楽しみましょう!」
エミリー様の眩しい笑顔。
そして、私の手を取ってテーブルに向かい出した。
周りの人達も笑顔を向けてくれている。
「えぇっと、何か色々と残念です。それでは・・・」
一応、王太子達に声をかけ、その場を離れた。
この上もなく、無事、断罪を乗り切れた。
心からホッとした。
ただ、少しだけ思った。
戦う準備はしていたから
覚悟していたから
ちょっとだけ拍子抜け。
ざまあ、してみたかったな
なんてね。
(終)
【完結】ざまあ、してみたかったな2も書きました。
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【完結】兄妹そろって断罪中のヒロインの中に入ってしまったのだが
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兄妹そろって断罪されている息子を見守る王様の中に入ってしまったのだが
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