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プロローグ〜名前
名前一つで人生が決まることなんてないよ。
「名前」
それは、この世に生を受けて一番最初に与えられるもの。
名前とは、ただ人生の隅にそっと置かれるものであった。
だが、この世界では、名前が全てだった与えられた名前で人生が決まり読み方一つで虐げられてきた。
ここに、鏡のように光る銀色の髪に黄金に煌く黄色い瞳を持つ美しい少女がいた。
彼女名前は、藤平華乃 (ふじひら かの)。
銀色の髪をゆらゆらと揺らし花が満開に咲くように笑う姿は、老若男女全てを魅了した。
だが、彼女名前はふじひらだ。その苗字がふじだいらなら、どれだけ幸せなことだったろうか。
これは、藤平智乃の物語である。
次回、名を継ぐ子供