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仮設風向計/詩集その3

22.12.31

作者: 浅黄悠

星が瞬く

雪が降る

人が往く

瓶の栓を抜く

挨拶を交わす

カレンダーを広げる

ここから誰もいなくなる


年の変わり目とて

所詮人が区切ったもの

己は何も変われていないし

来年この悩みが尽きるわけでもない

それでも周りに急かされて

広げた思考を今年という狭さに畳むなんて

無理にもほどがあるだろう


何しろ

身体はマニュアル通り老いていくし

また心酔していた人のSNSがネット上から消えた

誰もが自分の心配しかしていられなくなったし

賛辞を述べるに大人の顔は複雑すぎる

繊細な彼はアロエしか食べられない

ありふれた弱音を禁じる声ばかりが強くなる

うっかり楽しいと感じる理由を自分に問いかけるたび

楽しいと感じるものが減っていったし

手を伸ばして確かめたい愛しさの衝動さえ躊躇する

己のような何も秀でたものが無い人間など

もう何も考えることが許されていない気がしている

何をするにも誰かに従わなくてはいけないような気がしている


ただ空と街並みは蒼く洗練されていき

爽やかな水流が雑踏をゆっくりと押しているから

辛く仄暗く透明なこの時勢の中で

誰かを傷つけ傷つけられながら進んでいくことを

やむなくひっそりと決意し

秒針の間に溜息をつき

それでも瞳は輝く


全て忘れていく過程さえ忘れられたら

どんなに安心できるだろうか

来年にはどんな色を付けよう

どんな形で居座ろうか


思い浮かべることはあれど、特定の出来事を指している訳ではありません。あくまでも最近思っていることの総括です。

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