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食物恋鎖の最底辺  作者: ラフ
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守られる側

「今日からあなたを私の愛玩物として連れ歩きます。しかしあなたから芳醇な匂いがしているのは紛れもない事実……今のままでは攫われて食べられるのがオチです。あなたは食べられたいですか?」

「いやそんな危険なら連れてくのやめ「んんっ!! 食べられたいのですか!!」 いいえ!! 愛されたいです!!」

毎回愛されたいって言わされるの何とかならねえか……ならねえんだろうなあ……。

「よろしい、ですから私はあなたに今からマーキングをします」

「は?」

マーキングってお前……匂いでもつけられんのか……まあそれくらいなら

「あーん」

白熊が大口開けてパッカーン!!?

「うおわおああああああああああ!? 結局食われんじゃねえか!?」

「逃げちゃダメですわ」

しまった、すでに退路は塞がれている。 ぶっとい両腕でがっちりホールドされてるわ……でも俺は諦めねえ!!

「うぎぎぎぎ!!!」

少しでも抵抗してやろうじゃねえか、口を閉じさせないように顎を押さえるくらいしかねえけどよ。

「まずは腕からが良いのですか?」

あー、やっぱダメだ。どう考えても筋力差がありすぎる、押さえることすらできやしねえ。

「くっそ……観念したぜ……食えよ」

吐息が生暖かい……今からこの中で砕かれるのか……ちくしょう……

「れろっ」

「は?」

舐められた? 舌で?

「待て待て待て。何で舐める? 品定めか?」

「マーキングですと言ったはず。私だって少々恥ずかしいんですから黙っていてくださる?」

じゃあ何か、俺は今から白熊に全身舐め回されるってことか……ええ……擦り付けるとかで良いんじゃねえの?

「……お前の私物を俺が持ってればそれで良いんじゃないか……?」

「だまらっひゃい」

「いたあ!?」

噛みやがった……お前……その凶器が俺の柔肌をどんだけ簡単に貫くか知らねえな……多分血でたぞ……首筋とかじゃなくてよかったとも言えるか……

「……」

ん? 動きが止まったぞ……何だ……何かあったか……具合でも悪いのか……?

「ふしゅー……はぁ……はぁ……」

……非常に息が荒いですね……それに目がその……野性解放って感じ……まさか血で?

「んふふふふふ」

うわあ、変な笑い方……嫌な予感が全身全霊……逃げられるか……いや腕は微塵も緩んでねえ……逃げられねえ……

「あなたぁ……ずいぶぅんと……ひっく……一段とぉ美味しそうですわねぇ……ひっく……食べちゃおうかしらあ……?」

酔ってる……? 血に酔うってのはこういう事じゃねえよな……何だこれ。

「食べちゃおうかしらあ!!」

「うわわわわわ!?」

のしかかられたら死ぬ……それくらいの体重差がある……逃げっ……られないんだった!?

「……あれ? 生きてるな」

そして俺の上にはどでかい白熊ではなく長身の女が居た。ていうか人間態のフリジラだな……クマ耳に銀髪のショートか……正面から見たのは初めてだけどなかなか似合ってるじゃねえか。

「ねえ!? 食べちゃおうかしらって言ってるんだけどお!?」

「へ? ああ……そういうことか。いいえ、愛されたいです」

「にぇへへ〜よろしい〜」

さて……この俺よりでかいフリジラ(人間態)にマウントを取られたわけだが……どうにかして抜け出さなきゃ酷い目にあいそうだ……どうしたもんかな。

「わたぁしは……あなたをあいしましょー」

「はいはい、愛してくださいよっと」

酔っ払いへの相槌なんぞ適当でいい、それよりも打開策を考えないと

「こらぁ!! わたしがはなしてるんらぞ!!」

顔の横で破裂音がした、それは俺の下の床が弾けた音だった。やったのはフリジラの拳……こいつ……膂力はまるで変わっちゃいねえ!?

「だからぁ……あなたもわたしをあいしてねー?」

たぶんここで変なことを言うと俺は頭が弾けて死ぬ。

「愛します……たぶん」

「うんうん、それでいいの。わたぁしがあなたをまもるからぁあなたはそばにいてぇ……ひっく……あいされてあいしてればそれでいいのー」

これがこいつの本音なのかそれとも酔った戯言なのか判断がつかねえ。だからまあ、これは聞かなかったことにしよう。

「だけどぉ……ほかのにとられるとかなしいからあ……しるしをつけましょーねー」

待て、何で顔を近づけてくる。何だお前顔が良いな!? 少しドキドキしてる自分が恨めしい……正体は白熊なのに……

「んむ……ちゅ……」

「んぐっ!?」

っ!? なんだなんだぬめってあたたかかいこれは

「ぷはぁっ……まーきんぐーおわりー……きゅう……」

「この野郎……蹂躙するってこういうことだな……」

まさか強制的に顔面を舐めまわされるとは……どうせ記憶が飛ぶまでがセットだろ……いつまで人間態かは分からねえがとりあえず寝床まで運ぶか……今日は学院とやらには行けねえな。









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