8話 竜の巣
竜が卵と一緒に大事そうに欠片を守っている。どうするべきかと僕はスライムくんを頭から外して相談する。
「宝物みたいに置かれてるんだけど、どうしよう」
「素直に下さいってお願いしてみれば、因みにだけどここの竜火を吐くみたいだよ」
「機嫌損ねたら丸焦げになるって事だね……行きたくはないけど」
行くしかない、ここまで来ればやるしかない。道中の熱いだけでは済まされない過酷な道だったけど見栄えじゃないや見どころがなさそうだから僕達は竜の巣の前だ。さて、どうするか。
「駄目は元で言ってみるか、欠片頂戴って」
「言っておいてなんだけど、骨は拾うからね」
「……栄養にはしないでね」
「友達は流石にしないよ」
……それ、友達じゃなかったら……いやでもスライムくんにだって生活があるんだろうし。もやもやした感情を抱きながら、竜と対面をした。卵があるからか、怒気を孕んでいる。下手な言葉を選べば、火に包まれるだろう。
「何の用だ、人の子……バケツじゃないか」
「ん、その変化した声に大きくなった身体。君は……誰だ!」
「分からないんかい」
「覚えていないか、まだバケツが小さかった頃……一緒に冒険をしたじゃないか。懐かしいなぁ……」
「一切全然覚えてない。でもそれなら話は早い、旧友のよしみで欠片くれない? あの小さい奴」
「うーん、バケツの頼みでもなぁ……ま、いいか。何か他の物で代用しよう」
「……あ、そうだ。騎士から奪った鍵……処分に困ってたから、あげるね」
欠片のお礼にまだ持ってた鍵を渡した。捨てるに捨てられなかったけど、これから生まれる子供の宝物になるのだから鍵冥利に尽きるだろう。
これで四つの欠片が集まった、解呪をしに行こう。