彼の望むtreat、私のtrick
「リイイイイン!!!」
「朝っぱらからうるさいです会長。」
「助けてくれええええ!!!」
いやな予感しかしないので、帰ってくださいバ会長。
「…で?いったい何があったのですか?」
お母さま…いくらうるさいからって家に上げないでください…
いや、うん、5時に家の前で大声で叫ばれるのは嫌ですし近所迷惑ですけどね…
そして二度寝しに行くんですね。
私ももっと寝たかったんですが…
「いやーコーヒーまで入れてくれて悪いねー!で、本題だけど。明日ハロウィンじゃん?」
「不本意ながらお客様ですし、私の分作るついでですので。ええ、そうですね。」
「で、俺ら子供用に企画してたじゃん?」
「…ええ、そうですね。」
「それでチョコ配ることになってたよね?」
「ああ、確か皆さんで作ると張り切ってましたね。レシピは役に立ちましたか?」
「それがね?失敗しちゃった!」てへぺろ?
…はい?
「なんか全部炭になっちゃったー」あは?
「…前に言いましたでしょうチョコに直火はだめだと。」
「なんで直火でやったってわかったの?!」
やっぱりですかこの野郎…
「で、物は相談なんだけど…」
「拒否していいですか?」
「だーめ!♥」
「やっぱりですかこの野郎…!!」
「手伝うから!ね?」
「一応聞きます。お願いの内容は?」
「中身がムースのチョコレート200個作って?」
やっぱりですかあああああああ?!
「あ、ムースはいろいろな味でよろしく!」
「殴っていいですか。」
「各種ムース200個のがいい?」
「作りませんよ?」
「いいの?リーンが拒否するとディアにお願いしに行くよ?」
「子供たちのためにやめてください作りますから!」(ノンブレス)
「んじゃよろしく!材料買ってくるから準備しててねー!」
「はいはい…あ、じゃあ追加で今から書くものお願いしますね。」
「ほいほーい!」
…アレらを用意しておきますか…
「さあ、作ろうか!!」
「会長は正直邪魔なので何もせず隅っこにでもいてください。」
「ええー?」
「それとも失敗はわざとだと…?」
「おとなしくラッピングの準備しまーす!」
「よろしい。」
「ねーねーリーン。」
「なんでしょう?」
「俺らの村は最近までハロウィンしなかったからあんまり知らないけどさ?ほかの国ではどんな風なんだ?」
「ほかの国…ですか…」
「日本では仮装してーカボチャのお菓子作ってーお菓子強奪してーってやるじゃん?」
「強奪は…まあいいでしょう。うーんと、ポピュラーなのはアメリカのハロウィンですかね?
カボチャのランタンがあるでしょう?あれはもともとはカブだったんですよ。でもアメリカでは大きくて加工しやすいカボチャがあったのでそれに変えたんですよね。」
「なるほどカスタマイズしたんだ。」
「そして今ではそれが主流になりましたねー」
「俺はカボチャすきーほどよく怖くなるよねー特にリーンの作ったランタンとか。」
「まさかああなるとは私も予想外でした…もったいないのでパンプキンパイにしましたが。」
「うん、あれは世に出してはいけないと思うよ。」
「だからやりたくないとあれほど…!!」
「まーまー、で、お菓子もらいにふらふらしたりパレードするんでしょう?アメリカは。」
「お茶目な家だとトリックを選んで迎え撃つ、ってのもやるそうですよ?」
「何それやりたい!!」
「大人相手はいいですが子供たちにはやめてくださいね?トラウマになりますから。」
「えー…」
「会長?やるからにはやられる覚悟もしてくださいね?父と一緒にとびっきりのものを考えますよ?」
「ゴメンナサイ。」
「よろしい。で、先ほどの続きですが。」
「リーンの父親とリーンのタッグって…俺死んじゃう…あ、うん?」
「ハロウィン発祥の地のアイルランドは面白いですよ?子供たちが仮装するのは同じですが、町中に篝火が焚かれるんです。」
「おお!それもいいねえ!暗くなっても子供たちは道が見えるから転ばないし!」
「そうですね、ぜひやってください。あとパーテイーを開いたり、bobbing for apple, apple bobbingというゲームが有名ですね。」
「何それ?」
「水に浮かべたリンゴを口だけで取るゲームらしいですよ?」
「なんともいたずらしがいのあるゲーム…」
「やってる途中の人の頭はたくとかしないでくださいよ?」
「ヤダナーソンナコトシナイヨー」
「…やろうとしたら子供たちけしかけますからね?
あと補足ですが、お菓子をもらうベースとなったのがたぶんバーンブレッグというレーズンケーキですね。」
「ホホーウ?」
「ケーキに指輪、ボタン、コイン、そら豆、えんどう豆といったものを混ぜ込んで焼いて、もらったケーキに指輪が入っていたら結婚できる、ボタンなら独身、コインかそら豆なら金持ちになり、えんどう豆に当たった人は貧乏になるといわれてるそうです。」
「クリスマスに食べるバシロピタみたいだねー」
「おおむね似てますね。」
「それもいいなーねーリーン…」
「そちらはすでに焼いております。そら豆は味気ないので、父のコレクションのコインをいただいてきました。」
「え?いいの?!」
「ダブったり気に入らないものなので大丈夫ですね。」
「後でお礼言っておこうっと」
「ついでに当日子供たちが怖がらずに来るように言っておいてください、見た目怖いと去年言われたの地味に傷ついてたので。」
「それはあの海賊の仮装がダメだったんじゃあ…」
「今年は私がコーディネートしましたので大丈夫です。」
「あ、それなら安心だ。」
「ところでムースは6種類作りましたがよろしかったでしょうか?」
「おお!さっすがー!!何味?」
「オーソドックスに白と黒のチョコのもの、コーヒー、カボチャ、栗とイチゴですね。」
「おおお!!」
「後ケーキが焼けたので個別にラッピングを。カップケーキ風なのでラップに包んでからお願いしますね。」
「冷まさなくていいの?」
「しっとりさせたいので駄目です。」
「オッケー」
「そういえばランタンは人数分できたのですか?」
「今他の人たちが作ってるよー」
「…ここにいるのはさぼるためでしたか。」
だから他に誰も助っ人に来ないんですね…
いいですけどね…
「ラッピングするための待機と言ってくれ。」
「ありがたいですけどね…」
「リーン不器用だもんねー」
「ほっといてください。」
「それはさておき、ほかに何か面白いイベントとかないー?」
「そういわれましても…ああ、たしかスコットランドのハロウィンでは夜に恋人たちがキャベツ畑に行き、目隠しで引き抜いたキャベツの泥のつきかたで恋を占う習慣があったそうですよ?」
「この村キャベツ畑あったっけ?」
「やる気ですか?あーならうちの畑でやります?確かキャベツ植えてましたし。」
「後でニックたちに意見聞いてから決めるねー」
「わかりました、ああ、そういえばフランスのある地方はハロウィンの聖地だということも聞いたことありますね。なんでも嘗て魔女狩りがされていた土地で、10月に魔女のお祭りがあるらしいですよ。夜通し踊るんだそうです。」
「へーまあ、俺らも似たようなものか…」
「やっぱり踊りあかすんですね…」
「こういうイベントでは踊らにゃ損だろ!」
「まあ、確かに。よし、型も崩れませんし、程よく冷えましたね。あとはラッピングだけです!」
「さっすがリーン!いよ!魔王!」
「…意地悪しますよ…?」
「サーラッピングラッピングー」
「まったく…ああ、会長。」
「んー?これはあの子のだからピンク色でー」
「ウサギ型のチョコは会長のものですので食べていいですよ。むしろ感想をください」
「このラッピングで最後だから、終わったら食べるねー」
「はい、では私は両親の分をわたしに行ってきますね。」
「オッケー、よし!おっわりーいっただきまーす!」
…にやり。
「?!?!ポイうytrfdsxcvbんjk?!?!」
「いかがですか?私特製デスソースとブート・ジョロキアのチョコレートは?」
コエガデナイクライニオイシイデショウ?
「これにこりたら次回からギリギリではなく余裕が有る時に何事も言ってくださいね?もしまた同じようなことが起きたら…キャロライナリーパーを仕込みますよ?」
トリックオアトリート!
そしてチョコレートの下りは実話です。
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