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プロローグ "世界"の終わりと始まり
ああ、"世界"が燃えている。僕の中の、小さくて、しかしこれまでの全てだった"世界"が、紅く染まっている。
だけど、これでいいんだとすら思う。
僕は生きていてはいけない存在で、これでやっと自由になれるんだ、助かるんだ。
熱い炎に身を任せようとしたその時、扉は開かれた。
「…!生存者発見!彼は…!」
王国の紋章が記された服を着た兵士と思しき人が、最早動く気のない僕を軽々と抱き上げ、その小さな"世界"から、外の大きな"世界"へと連れ出す。
燃え盛る"世界"から出たところで、ローブに包まれたその人が、僕をさらなる"世界"へと導く一言を告げる。
「被害者であり、犠牲者であり、加害者である、咎人よ。お前に神託が下った。お前は勇者となる使命を負っている。」
僕の"世界"は、歪みを大きくして、僕を巻き込んでいく。