表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題もの

お題もの、その12

作者: 雲雀 蓮




友達がスライディング土下座に近い行動を屋外で行った。

結果一週間くらいは傷痕が消えないんじゃないかってくらいの怪我をした。



「なんで、お前あんなことしたんだよ」



そう怒り交じりに言ってもそいつは終ぞ言わなかった。

学校の校庭、しかも夏だ。

熱いうえに摩擦熱が加わって痛いだけじゃなかったはずなのに。

拷問まがいのことを自分でして、何も言わなかった。

泣くこともしなかった。



保健室に行って先生に治療してもらっている間。

俺はずっと考えていた。

あいつの今回の行動理由を。



謝られることがない。

少なくとも俺はそう思う。

だって別に嫌な事されてないし、イラついた記憶もない。

だからなんで、土下座なのかわからない。

理由も言わないから、訳が分からないわけだ。


いつも不思議な奴だと思っているけれど。

ここまで謎の行動をされると俺も困ってしまう。

友人で居続けられる自信がない。理解者でありたいが、これでは・・・・。



「さて、治療も終わったんだからあんた達さっさと帰りなさい」

「はーい」



無言で俺の方に来るそいつの代わりに返答してやる。

化粧たっぷりの先生はそれ以後こちらを見ようとはしなかった。


学ランとシャツの間に着ている黄色いパーカーが首元と袖から見える。

こんな恰好していても、別にやんちゃしているわけじゃない。

単純にパーカーが好きだから着ている。

こいつはそう言う自分本位なやつだ。

その自分自身が奔放すぎて、不思議悪く言えば変と言われるゆえんだ。



「・・・・帰るぞ」

「・・・・・・・(こくり)」



素直についてくるのかと思いきや、俺の立っていた場所付近から動かない。

その代り俺の学ランの裾を引っ張ってきた。

しかたがないからそいつの右手を握って歩き出したら、今度は素直に付いてきた。


俺の握った手はとても震えていて、握った方が驚くほどだった。

何をそんなに、と思ったらそいつは泣いていた。



「・・・・・いたい」

「そりゃ、そうだ」

「・・・」

「・・・あいつらの言いなりになる必要はないから、もうやるな」

「・・・・うん」



転ぶ前に時間が戻るのならば、俺は真っ先にこいつが転ぶのを阻止するだろう。

こいつの足をひっかけた屑野郎の足をへし折るくらいの何かをしてでも。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ