僕と新しい町。
※注意※
拙い文章が苦手な方はバックステップでお帰りください
それでもいいという猛者様はお読みくださいませ
「本を読む場所」
誰かに図書館とはどういう場所か聞いてみたら
大抵の人はそう答えるだろうと思う
……でも、私は違う。
私にとってはあの人に会う大切な場所。
そして、大切な思い出を残した場所。
幼少の頃、父親の都合で引越しの多かった私は
長くても半年ほどでまた引っ越さなくてはならない生活を続けていた
でも、とある年の冬に私の頭を撫でながら父親が言った
「次の場所からはもう引っ越さなくて済むからな」
どうやら次の土地で家を買ったらしい
そして梅の花の咲く頃、私たちは最後になるであろう引越しをした
次の場所には何があるだろうか
誰と会えるだろうか
そんなことを考えているとふと母親が声をかけてくれた
「次の町は桜がたくさん咲いてるみたいね」
満開の桜を見るという期待を胸に私は父親の車に乗った
引っ越して2、3日は忙しくて出歩く暇も無かった
でも、もう引っ越さなくてすむのかと思うと
片付けが終わるのを待つのも苦ではなかったのだ
「おかーさん、もうおかたづけはおわったのですか?」
「終わったわよ さ、ご近所の散策に行きましょう」
この町はそれほど広くない
三時間も歩けば町のはずれに着く
そして、そこには古めかしい図書館があった
築80年は経っていそうなふるい洋館の門柱に
【妙義町図書館】の文字が彫ってあり、いかにも
不思議な雰囲気を醸している
「おかーさん、なんてかいてあります?」
「みょうぎまちとしょかん、て書いてあるわね…」
「としょかんですか!? おかーさん、いってみたいです!」
「今日は駄目よ 町を一回りしてからご近所さんに挨拶しなくちゃいけないから
また今度いきましょう」
「おかーさん…そのこんどはいつきますか?」
「今度よ、今度」
「むぅー おかーさんはいつもそうですね」
「お夕飯にハンバーグ出すから、ね?」
「たべものでつろうったってそうはイカのすがたやきです!
りんごもむいてください!」
「はいはい、スペシャルプレートですね かしこまりましたお姫様」
好奇心を発揮し、そしてそれを最上とする私だけれど
ハンバーグとうさぎりんごの乗った、家で言うところの【スペシャルプレート】には
滅法弱かったのだ。
「さ、行きましょう」
日が傾きかけた町の桜並木の下で私と母親は手をつないで家路についた
それから母親と父親はバタバタしていたが、私はなんらすることが無いので
絵本を読んだり、新しい家の庭で絵を描いたりしていたら、いつの間にか夕食の時間になっていた
新しいうちで食べる初めての夕食には、言われたとおりのスペシャルプレートと、
かわいいクッキーが出た。
食べるときに少しこぼしてしまったけど、小食だった私も
めずらしく完食できた
そして父親に色々な報告をすると、幼かった私は
襲い来る睡魔に勝てずにあっという間に眠ってしまった
子供ちゃんが親にも敬語なのは
僕もそうだったからです。
ひらがな読みづらい!というかたは
言ってください。直します