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箱庭少女のロジック 〜かつて世界を滅ぼした最強のオートマタは僕の指示しか聞かないらしい〜  作者: 邑沢 迅


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第1話:少女は巨大な不発弾

「……う、痛……」


 目が覚めた瞬間、最初に感じたのは「床が硬い」だった。

 というか、冷たすぎる。なにこれ、家のフローリング?

 いや、もっとゴツゴツした……。


「……石?」


 ぼんやりと目を開けると、そこは見たこともない石造りの空間だった。

 洞窟っていうか、地下の遺跡?

 松明みたいな火がパチパチ燃えてて、えらく時代錯誤な雰囲気だ。


 そして、視界のすぐ横には――。


「インストール中……再起動」


 鈴を転がすような、でも完全に感情を失った「機械」みたいな声。

 横を見ると、そこには銀髪の少女がいた。


 いや、少女っていうか……。


 作り物みたいに整った顔立ち。真っ白な肌。

 どこか人間離れした、人形みたいな女の子が、僕のすぐ隣に横たわっていた。


(……え。なに、これ。ドッキリ?)


 わけがわからないまま固まっていると、彼女の瞳がパチッ、と開いた。

 その瞳の中に、一瞬だけ電子回路みたいな幾何学模様が走る。


「インストール完了。監視端末……認識」


 少女が無機質な瞳をこちらに向けてくる。

 監視端末?


「成功だ……!ついに成功したぞ!」


 急に、周りから大歓声が上がった。

 見渡すと、そこには変なローブを着たお爺さんたちが、杖や光る石を手にして狂喜乱舞していた。


 ……学者?

 それともファンタジー映画の撮影?


「遂に…神の遺物の起動に成功した…!」

「だが……。おい、あっちの男は何者だ?」


 リーダー格っぽい人が、僕を指差して眉をひそめた。

 お爺さんたちの視線が一斉に突き刺さる。……いや、こっちが聞きたいんだけど。


 「召喚の影響か?神の遺物には不明な点が多いが…」

 「まぁいい、遺物が起動した今、あんな男など些末なことだ。放置しておけ」


 ……放置!?いやいや、ちょっと待って。

 状況を整理させて。ここ、絶対日本じゃないよね?


「――索敵。排除、開始」


 不意に、隣の少女の雰囲気が変わった。

 冷たい風がブワッと吹き抜けて、彼女の小さな体に、バチバチッ!とあり得ないほど眩しい光が収束していく。


(……あ。これ、絶対やばいやつだ)


 本能が叫んだ。

 あの子の指先に集まっている光。あれが放たれたら、目の前のお爺さんたちも、ここも、ついでに僕も。

 全部が「消去」される気がする。本能がそう言っている。


「ストップ!!」


 僕は反射的に叫んでいた。

 考えるより先に、銀髪の少女の細い腕を、全力でがしっと掴む。


 刹那。


 視界が真っ白になって――。


 …………、……え?


 恐る恐る目を開けた僕の前に、信じられない光景が広がっていた。


「……うわ。え……?」


 僕たちの頭上、さっきまで確かにあったはずの「分厚い岩の天井」が、跡形もなく消えていた。

 空いた穴は、まるで定規で円形に切り取られたみたいに正確で。

 その向こうには、夜の帳が降りた、見たこともない満天の星空が広がっている。


「緊急停止命令、受理。出力カット」


 少女が淡々と、僕に報告してくる。


 …破壊、いや…蒸発?


 あの厚さ数メートルはありそうな岩を?

 訳が、わからない。


 一分前まで、僕は住宅街の夜道を歩いていたはずなんだ。

 ……そう。そもそも、どうしてこうなったんだっけ?


 ◇


 時間を少しだけ遡らせてほしい。


 僕の名前は香坂康太こうさかこうた。20歳。

 大学に通いながら、週末はバイト、平日は適度に講義に出る、どこにでもいる普通の大学生。

 友達は多くはないけど、大学生活はそれなりに満足している。

 自分のペースで生きて、好きな時におやつを食べて。……まぁ、平凡で幸せな毎日だ。


 あの日も、いつも通りの帰り道だった。


「ふー。今日のバイト、疲れたな……」


 僕はいつもの住宅街をいつも通り歩いていた。

 家に帰ったら、まず愛犬のコロと散歩に行って。

 そのあとお風呂に入ってから、昨日買った新作のゲームでも進めよう。


 そんな、ありふれた、平和すぎる未来を計画していた。

 その一秒後、地面から「真っ白な光」が噴き出してくるなんて、誰が予想しただろう。


(え、地面が……光ってる?)


 驚く間もなかった。

 眩しさに目を閉じた瞬間、フワリと体が浮いたような感覚。

 意識がプツンと途切れる直前、何かの機械みたいなアナウンスが脳内に流れた気がする。


『――監視端末の適合者、選出開始』


『――新見仁菜……条件エラー。再選定』


『――香坂康太……検出。……強制サルベージを実行』


 意味のわからない単語の羅列。

 それが、僕が日本で聞いた、最後の言葉になったんだ。



 ……で、現在に至る。


 天井が消し飛んだ穴から見える満天の星空。

 腰を抜かして震えているお爺さんたち。

 そして、衣服が消し飛んだ美少女。


「監視端末。指示を」


「いや…指示…?……何の話?……とりあえず、服を着てくれるかな…目のやり場に困るから…」

ご一読ありがとうございました。

気に入っていただけましたら、感想やフォローなどいただけると、執筆の大きな励みになります。

最後まで描き切れるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします!

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