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小さな物語のかけら  作者: 夜那岐 絵依
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真っ赤な眼の兎

ちいさなウサギが一羽おりました。

真っ白な雪の世界で真っ白な姿でかけていました。

森の友達とかくれんぼをしていたはずなのにいつの間にかウサギは独りになっているのに気づいたのです。


 「みんなどこ?」


ウサギは必死に走りました。

友達を探してどこまでもどこまでも走りました。

けれどもどこまでいってもどこまで探しても誰も見つかりません。

独りぼっちになったウサギは悲しくなり泣いてしまいました。

わんわんと、えんえんといつまでもいつまでも泣いていました。

夜が開け、朝になってもウサギは泣き続けました。

泣き続けたウサギの眼は真っ赤になってしまいました。


 「どうしたんだい?」

 

そんなに泣いているウサギのたれた耳に誰かの声が聞こえました。

 「誰?」

ウサギはやっと誰かに会えたと嬉しくなり周りを見渡しました。

しかしどこを見ても誰もいませんでした。

 「誰?どこなの?」

不安になったウサギはもう一度聞きました。

 「ここだよ。君の上だよ」

その声を聞きウサギは上を見ました。

するとそこにいたのは太陽でした。

 「そんなに泣いてどうしたんだい?」

太陽はもう一度ウサギにたずねました。

 「あのね、みんなどっかいっちゃったんだ。僕ひとりを置いて」

ウサギはまた悲しくなり泣いてしまいました。

 「そんなに泣かないで」

太陽は優しく言いました。

 「でも、みんな僕を嫌いになったんだ。だから僕はひとりおいてかれちゃったんだ」

ウサギは自分でいいながらそのことが悲しくて悲しくて仕方ありませんでした。

しかし太陽はそんなウサギにこう言いました。

 「そんなことはないよ。君が隠れるのがうますぎたから誰も見つけられなかったんだよ」

太陽はなおも優しく言います。

 「この真っ白な雪の中で真っ白な君を見つけことができなかったんだ」

 「ほんとう?」

 「あぁ、本当だとも。でも今の君ならみんな見つけてくれるよ」

 「どうして?」

 「そんなにも真っ赤な目をしていれば、君がどこにいるか分かるからね」

そこで初めてウサギは自分の眼が真っ赤になっていることを知りました。

 「こうして私も君を見つけたじゃないか」

真っ白な世界で真っ赤な太陽は言いました。

 「ほら、見てごらん。あれは君のお友達じゃないのかい?」

真っ白な身体で真っ赤な眼をしたウサギは泣きました。

友達のみんなに会えた嬉しさで、わんわんと、えんえんと泣きました。



ちいさなウサギが一羽おりました。

真っ白な世界で真っ白な姿でかけていました。

太陽のような真っ赤な眼をして、森の友達と一緒に追いかけっこをしてました。

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