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苦手なもの

スープに入っている野菜はいい。根菜や葉菜は煮れば柔らかくなるし、香りも味も大体スープに寄った味になる。

サラダも葉菜。ドレッシングや簡単な味付けがあればまぁ食べられる。芯やそれに近いところは嫌いだが。

問題は成ってるタイプの野菜だ。果菜は駄目だ。火を通せば食べれなくもないが、食べたいとは思わない。

特に苦いものは駄目。火通しても苦味は残る。生涯食べられるようになると16年思えたことがない。


肉が詰められているとはいえ、やはりこのピーマンを食べることはできない。フォークで中の肉だけほじくって食べる。肉はうまい。


うまいうまいと肉を食べていると、ふとパッチリとヒイロと目が合う。

ヒイロは僕の目、口、皿とスーっと目線を下ろしていき、皿を少しの間見ていた。皿の上にはほじくられて脱け殻になったピーマンと半分脱け殻になったピーマンが転がっている。


脱け殻を確認したヒイロは視線を僕の目に戻すと...

「うっそ〜!?シアンったらいまだにピーマンが食べれないの〜?」

「ンガッ」気づかれた...。

それからヒイロは畳み掛けてきた。


「あんだけ色々言ってて、物知りでもピーマンも食べれてなきゃまだお子さまなんじゃない〜?それともお子さまだからピーマン食べれないのかな?」

ぷぷぷ〜とヒイロは笑うとお母さんが首を傾げる。


「え?シアン、ピーマン食べるよね?」

「うっ...」痛いところを突かれた。


四年ぐらい前だったか、ヒイロがピーマンを食べられるようになった。ヒイロが10歳で僕は12歳。見た目的にはもうそこそこ離されていた。

見た目はさておき、2個下の女の子に先に苦手を克服されたのは男としては悔しかった。


そこで僕はピーマンを頑張って食べるようにした。縛りにはもう心の整理はついていたけれど、食べればきっと成長できると、そう思い込みながら食べた。2ヶ月間。

まぁ。もちろん変わらなかった。何も。ただただ苦い思いをしただけだった。それからは食べてない。お腹いっぱいといって他のものと残したり、隙を見つけて隠した後に近所の動物にあげたり巧妙に騙してきた。がしかし...


「そうなの〜?」ヒイロは不思議そうに僕を見る。

「そうでしょ?」お母さんはニコニコ僕を見る。


数秒程度だが、とても長く感じた。尋問ってこんな感じなのか。

お母さんの料理を残す申し訳なさとヒイロに馬鹿にされるだろうということに対する苛立ちの葛藤で頭がおかしくなりそうだった。そして僕は...


「お、お腹いっぱいだから...」

いつもの手段で撤退することにした。

椅子から飛び降り部屋に戻る。

「あ!逃げた!」

後ろからヒイロの指差し声が聞こえる。うるせぇ。 僕はピーマンが食べれないんじゃなくてアダムの冒険記録を読みたいだけなんだよ。

ヨルシカの歌う「憂、燦々」、新曲だと思ってたら友達にカバー曲と馬鹿にされました。

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