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3分の戦い③

『何が起きた?視界が真っ白だ。』

投げつけた筒が放った光に、シアンは視界を潰された。

唐突なことに思考が乱されていたが、目が見えなくともシアンにはある確信があった。

四本腕もまた、目が見えなくなっているだろうと。

理由は2つ、シアンと四本腕が見合った間で閃光が起こった。そして右足を掴んだ手を離したこと。

視覚という大幅な情報リソースが封鎖され、混乱に陥りながらも必死に情報を整理する。


体を丸めて防御の姿勢を取る。落下の衝撃は勿論、もしこのタイミングで四本腕を振り回されたらひとたまりもない。


幸か不幸か、シアンの目論見通り四本腕の暴れ狂った腕がシアンに直撃する。

着地のときとは比にならない衝撃が左腕から全身に駆けめぐる。小さな身体は軽々しく吹っ飛ばされる。


この夜だけで何度地面を転がっただろうか。途中から考えないようにはしていても、痛いものは痛いし腹立たしい。


『当てられたのが頭や背中じゃなくて良かった。守っていたとはいえ、気絶や呼吸異常は必至だっただろう。』


『殴られた箇所がズキズキ痛む。地面に落ちたとき、転がった時石に当たったり擦れたりした部分の感覚だけ一層はっきりとする。』


白塗りの視界が戻る。見れば四本腕はまだ暴れている。

『僕の方が先に視界を取り戻した!』

しかし四本腕が視界を取り戻すまで数秒、その時間を使って準備と先手を打たなければならない。


シアンは渡された鞄の中身を見る。

中には薬が入っていたようで、幾つかはさっき殴り飛ばされたときに割れて、鞄の中は薬液にまみれている。

無事だった薬が4本とナイフが2本、元々持っていたナイフと最初に渡された薬で四本腕の足止めをしなくてはならない。


四本の薬を見る。ラベルが張られているものが三本。その全てに『壁』と書かれている。

残りの一本は不明。しかしこの瓶だけ、他とは明らかに形が違い、中身の量も圧倒的に少ない。


緑色の液体。確証はない。確証はないが、シアンはこれがポーションなのではないかと考える。


『魔法薬学を基に作られた特効薬と、本で見たことがある。そしてその代表となる、精神的な回復を目的として作られた物が青色、肉体的な回復を目的として作られたものが緑色をしていると。』


毒の可能性も過った。他の全てが投げる用途であるというのに、これだけ違うということがあるものかと。

しかしシアンは賭けた。この一か八かが自分に向くことを。これを渡した男を信じた。


足止め時間は残り2分。

シアンは瓶の栓を抜き、緑の液体を呷った。

シアンくんの方が先に視界が戻ったのは、男にかけられた視覚適応の効果がまだ残っているからです。

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