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die7話 夕食の前準備

  リリーこと琳も、アヤヤこと亜矢に手を振り、部屋を後にした。

「さてと~、ヒビッチの荷物、早速置いちゃおっか~。あ、そっちは私の場所だから、ヒビッチはあっちね」

 部屋全体を見回してみると、テレビ側の壁の棚には、確かに物が置いてあった。それがアヤヤこと亜矢の荷物で間違いないだろう。

 対して向かい側の棚には何も入っていない。どうやらそれが私の棚のようだ。盗聴器とか仕掛けられていたら面倒だ。

「ど、どうしたの?ヒビッチ…」

私は今、何か怪しい動きをしていただろうか。

「いや、何でもない……」

 よし、この棚に盗聴器は仕掛けられていない。後は……。

「この部屋、何もないよ。ヒビッチ。はは~ん、さては私の棚を物色しようとしているな」

この部屋にも盗聴器はなし。これだけでも、大分過ごしやすくなった。まぁ、この部屋だけなのだが。

「ん?何か言ったか……?」

「あ、いや、何でもないけど~」

「そ、そうか……」

「あ、宿題。宿題やらないと。ヒビッチも一緒にやろ。分からない所あれば教えるし、ね」

「別に構わないが……」

「ありがと、げ、今日の復習だ~。面倒くさ~」

 アヤヤこと亜矢は、早速学生(がくせい)(かばん)を開き、何やら一枚の紙を学生鞄の中から引っ張りだして、その一枚の紙を見るや否や、愚痴を漏らした。

「……なるほどな、よく分からん……」

 私は全くと言っていい程に勉強をしていない。暇さえあれば仕事に行ったり、仕事を見つけようとお()()にいろいろ(たず)ねたりしていたからだ。なお、私の教育の知識は小学三年生で止まっているので、どっちみち勉強は出来なかった。

「あ、もしかして、ヒビッチのいた学校って、ここまで進んでなかった~?なら、私が教えてあげるよ~」

「えーっと、なになに、1582年に……これ、何て読む?」

「え?あ~、織田(おだ)信長(のぶなが)、安土城を建てた人だね~」

「あ、ありがとう。織田信長を暗殺したのは誰か……」

 暗殺。とっくの昔に暗殺者という組織は出来ていたというのか?これは興味深い。

 暗殺者と殺し屋は似て非なる組織なのだが、これはまた後で説明するとしよう。

「うーん、暗殺……暗殺……」

「えっと、分からないよね~。答えは……」

「待った。これは自分で考えたい」

「うん、分かった」

 は、私としたことが、暗殺という言葉に完全に捉われていた。

「うーん、さっぱり分からん……教えてくれ……」

「やっぱり?進んでない奴は難しいよね~。答えは明智光秀、織田信長の家臣だよ~」

「バカな、部下が一番偉い奴を殺したのか……」

 あり得ない、機関で例えたら、私などがお()()を殺す様なものだ。

「まぁ~、それが社会歴史だから」

 その後もアヤヤこと亜矢に色々な事を教えてもらいながら宿題はものの数分で終わった。

「ヒビッチ、覚えるの早~い。私なんか、何度も教科書見てやっとの思いで、覚えたのに~」

「いや、アヤ…ヤが…教えるの上手かった……だから…これは、アヤ…ヤ…のおかげ……」

「そ、そうなのかな~。なんか自信出てきた。これからは毎日教えてあげるね~」

アヤヤこと亜矢はその場を立ち上がり、左手を腰に当てて、右手は上にグーを突き上げるポーズをした。

「っと~、そろそろ、夜ご飯の時間だね。二人が食堂で待っている。行こ~、ヒビッチ」

 私は無言で(うなづ)いて、アヤヤこと亜矢に手を引かれるまま、食堂に向かった。

 私達が食堂に入ると、リリーこと琳とユーユこと友実が、もう席を取って待っていた。

 二人の服装は制服ではなく、私服を着ていた。

「あれ?アヤヤ今日は早くない?いつも二十分くらい掛かっていたのに、今まだ十分も経ってないよ。ははぁ~ん、さてはまだ宿題やってないな?」

「ふっふっふっ、聞いて驚け~、今日の宿題はもうとっくに終わったのだよ~。ほんっと、リリーは分かってないな~」

アヤヤこと亜矢の言葉を聞いた二人は、ひどく驚いていた。二人共驚きすぎて、数秒の間口をパクパクとさせていた程だ。

その後始めに口を開いたのはユーユこと友実だった。

「え、あり得ない。だってあのアヤヤがだよ。後で部屋行って確認させてもらうから」

「ヒビッチ、アヤヤ途中でサボってなかった?」

いきなり私にリリーこと琳が話しかけてくるものだから私は首を傾げる。

「何がだ……?」

「何がって、宿題だよ宿題、アヤヤってばすぐサボるから」

「いや、サボってはいなかった。面倒くさ~、とは言っていたが……」

「やっぱり……」

 やっぱりということは、アヤヤという奴はかなりの面倒くさがりだということが大いに予想できる。

「まぁ~、気を取り直して行こ~。私、お腹すいちゃった~」

アヤヤこと亜矢がそう言うと、すぐさま二人はアヤヤこと亜矢に賛同した。

「おばちゃ~ん、私カツ煮定食~」

アヤヤこと亜矢は昼食の時と同じように注文した。

「うーん、じゃあ私は……」

と、次々注文を言う三人

「私は、これ……」

おばちゃんと呼ばれる人物に注文を言うと「本当にそれでいいのかい?」と訊かれた。

その言葉に私は無言で頷き返したが、正直意味が分からなかった。

そして私は、その料理についての説明を受けた。その料理は、この食堂で唯一有料の日替わりメニューらしい。

無料の日替わりメニューもあるらしいが、私は有料の日替わりメニューを注文した。ちなみにその有料の日替わりメニューは五万円と割高で、一般人は一年に一回それを注文できれば運が良いくらい、と説明を受けた。ちなみに世純という人物は、ほぼ毎日有料の日替わりメニューを注文するらしく、どうやら今ではお金持ちしか注文出来ない幻のメニューとなっているらしい。


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