表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/30

die6話 初めての友達と寮生活

 その日の放課後、私は寮を案内されていた。

「ヒビッチも寮で過ごすんだ~。私達と同じなんだね~」

寮内を歩きながら、アヤヤこと亜矢は言った。

「あぁ、ということはお前達もそうなのか……」

「うん、そうなんだ~っと、着いた~ここが中学部の階だよ~」

  話していれば時間などすぐに過ぎてしまう様で、この後改めてこいつらの異常さを再確認する事となる。

「ということで始めちゃう?ヒビッチに寮の案内とあたし達の部屋紹介」

「お~リリーナイスアイディア!まずは私達の部屋から、いいよね?いいよね?」

「うん、もちろんいいよ~」

「あたし達ってどういうことなんだ……?」

「あ~、ヒビッチ知らないんだよね~。この寮は二人一部屋なんだよ~」

「ふーん、そうなのか……」

「ヒビッチってさ…なんか反応薄いよね」

アヤヤこと亜矢が心配そうに私を見つめる。

「そんなことはない…と思う……」

「じゃあ~、改めまして~ユーユ達の部屋紹介、行きましょう~」

「「「おーーー」」」

三人は声を揃えて言った。

やはり、この三人は危機感というものが備わっていないようだ。

私達はしばらく歩き、やがて部屋の前でその足を止めた。そして、ユーユこと友実がその部屋の扉を豪快に開ける。

「ここが私達の部屋だよ。ヒビッチ」

「ほぅ、中は、思いのほかシンプルなんだな……」

「うん、そうなんだよね。家具とかを動かすことは禁止されているから、その場所に合った物とか、置く場所とかを慎重に決めないといけないから、大変なんだ。あたし、こういうのって苦手なんだよね…」

そう言って肩を落とすリリーこと琳。

「リリーって整理整頓とか苦手だよね~」

アヤヤこと亜矢は、笑いながら言った。

「じゃあ、次は私の部屋にレッツゴ~」

「え、もう?」

「うん、もう見たでしょ~。それに、中にある物、見えているので全部じゃ~ん」

「ぐぬぬ…仕方ないか、次はアヤヤの部屋に行こうか」

  そうして、ユーユこと友実とリリーこと琳の部屋から出た私達は、次はアヤヤこと亜矢の部屋へと向かうのだった。そうは言っても、隣の部屋だったので、さほど移動はしていなかったのだが

アヤヤこと亜矢が部屋の扉を開けるや否や、私は部屋の中の一点に目を向ける。

「……私の荷物…ここにあったのか……」

「へ~、これ、ヒビッチの荷物だったんだ~。これ、一週間くらい前に置いてあったから何だろうって思っていたんだ~。ようやく謎が解けたよ~。あ、そう言えば気になって、中身見ちゃった。ごめんね、ヒビッチ~」

「まぁ、見られて困るようなものは入ってないから、別にいいが……」

 そう、本当に見られて困るようなものは入っていない、先程も言ったが銃器などは機関から出る際に取り上げられたため、もちろん中に武器等は入っていない。そして、その中には、服と漫画が入っている。漫画は機関にいた時からずっと読んでいたもので、私の愛読書だった。ジャンルは殺し屋の物語など、裏社会を描いた物語ばかりだ。と、いうよりも機関にいた時は仕事ばかりやっていた。仕事がない時は、いつもその漫画を読んで暇を潰していた。

「ありがと~、っていうかその漫画、だいぶ古いよね~、もしかして、今の親の物?」

「まぁ、そうだな。貰った物だが……」

「へぇ~、面白そうだね。う……、これってもしかして、怖いやつ?」

「怖いのか……?」

 私にとっては日常生活の一部を切り取った様な物語なので、そこまで怖いとは感じなかった。だが、他の人間とっては怖いと感じるようだ。

 リリーこと琳とユーユこと友実は、話についていけず、そのまま傍観者となっていたのだが、リリーこと琳が急に私達の間に割って入り、声を掛けた。

「ん?あ、それ、おじいちゃん家にあったやつだ。今もあるかどうか分からないけど、だいぶ怖かったな」

「え~、怖いのは嫌だな~」

「確かに、アヤヤ、怖いの嫌いだもんね。でも、怖いと言ってもグロイくらいなんだよな~。私、怖いのはいけるけどグロイのは……」

「ちょっと、何の話?全然ついていけないんだけど」

「私もだ……」

「ヒビッチ……、わーんヒビッチ~。私達は仲間だ~」

 ユーユこと友実は、そう言って私に抱きついてきた。

私はいきなり抱き着かれたことでバランスを崩し、そのまま床に押し倒された。

押し倒されて床に叩きつけられた音で二人は私達の方へ振り向き、私の今の状況を理解した。

「ちょっと、何してるの?」

二人は私に近寄り、アヤヤこと亜矢がユーユこと友実にどうしてそうなったかを訊いた。

「それはユーユが悪いよ~」

 事情を訊いた後、アヤヤこと亜矢がユーユこと友実にそう言った。

「あはは、ごめん」

「……受け身…取り忘れた……」

「すごいよヒビッチ、受け身も取れるの?」

リリーこと琳が驚いた表情を隠そうともせず、私に訊いてきた。

「まぁ、な、お父様に教えてもらった」

「お父様?」

「は!」

 思わず口を滑らせてしまった。

「どうしたの?」

「あ、いや、何でもない……」

 よくよく考えたら、お父様という呼び名は普通。しかも、こいつらは今のお父様か本当の父親かが分からない状態。よってこれは失言ではない。

「今のお父様、自衛隊だから……」

「そうなんだ~。私のお父さんも自衛隊でさ~、ヒビッチの今の親どこの基地のどの部署なの~?お父さんと一緒だったらいいな~」

「……聞いたこと…ない……」

 どうやら、アヤヤこと亜矢の父親は、自衛隊らしい。これは失態。いくら私でも短時間で、花咲学園の生徒全員の情報を確認することは不可能に近いことだ。この前、機関から出る時にでも、確認しておけば良かった。

「え、えっと…私達もう自分達の部屋に戻っていいかな?」

 ユーユこと友実がそう言うと。

「あ、うん。二人共疲れたでしょ、ありがと~」

アヤヤこと亜矢は、リリーこと琳とユーユこと友実に笑顔で手を振った。

「うん、また夜ご飯に」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ