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die3話 食堂での一幕②

「うるさいよ。ここ食堂なんだからもうちょっと、声のボリューム下げて」

リリーこと琳がその女子生徒に注意した。その注意をものともせず、塔弥という男子生徒を入れ込んだ女子生徒は騒いでいたが……。

そして塔弥という男子生徒は自分の過去を話し始める。

「僕にはね、初恋の子がいたんだ」

「………その初恋の人が…どうしたんだ……?」

「お、少し興味出てきたね」

「むぅ、塔弥様に気に入られるなんてぇ、その子は幸せ者ですね」

「そうでもないよ。名前も知らないし、何よりも昔の事だったからね、その子が今どうしているのかも、どこにいるのかも分からないんだ…」

塔弥という男子生徒は、ガックリと肩を落として言った。

「ふーん、そうなのか」

 対して私は興味が全くなかった。私はそう言って、焼きそばをまた一口食べる。

「あれ?あんまり興味ない?まぁ、いいけどさ、今ではその子の顔も名前も、全くと言っていい程覚えてないんだ」

「じゃあ、その子は全然幸せ者じゃないってことだ。アハハハハハ…」

「ちょっと、その子に失礼だよ。もし、この中の誰かだったらどうする~?」

「あはははは……ちょっ、アヤヤタンマ……あははははは……」

アヤヤこと亜矢は塔弥という男子生徒達を入れ込んだ女子生徒にくすぐり攻撃をしながら言った。

「ったくも~二人共!ここ食堂!」

二人はリリーこと琳の注意を聞かず、二人はずっとじゃれていた。

「アハハハ、楽しそうなグループだね」

「騒がしくてうるさいグループの間違いです」

「敬語はやめてほしいかな。もっと気軽に話してもいいんだよ」

「えぇー、それは無理な相談ですよ。塔弥様~」

 ようやく、アヤヤこと亜矢に解放してもらった塔弥という男子生徒を入れ込んだ女子生徒が話に首を突っ込んできた。

「あ、ヒビッチ、私の名前まだ教えてないよね。私は()()、またの名をユーユ、塔弥様もユーユって呼んでくださいね」

「は、はぁ~」

「ほ~ら~、塔弥君も困ってんじゃ~ん」

今度はアヤヤこと亜矢が話に首を突っ込んでくる。

「それにしても響ちゃん、まだ初日だけど、少しはこの学園の仕組みには慣れてきたかな?とは言っても一日で慣れるものじゃないよね」

「あ、あぁ、多少は……」

 殺し屋はあっという間にその場所に慣れなければならない。まぁ、この空気はすぐには慣れる気がしないが……。

 と、いうよりもお見合いごっこをしていたはずなのに、なぜか普通に話している。それがお見合いごっこだったりするのだろうか?

「僕は響ちゃんのことが知りたいな」

 仕方がない。話してやるか…と言っても、正直話せるのは何もない。私の技能スキルは変装だが噓が特別上手くなるわけではなく、技能スキルの変装は、変装する人間を決めてその経歴、仕草などを完全にコピーする。

簡単そうに見えて案外難しい技能スキルなのだ。だから、これは噓が上手い下手ではなく演技が上手くなければできない技能スキルなのだ。

しかも私は、過去の記憶をほとんど覚えていない。いや、覚えていなかったと言った方が正しいか……。

私の本当の両親は今のお父様、つまり私の所属していた機関のボスに殺されている。では、なぜそんなことが分かるかというと、私のもう一つの技能スキルハッキングで知ったことである。誰かに親を殺されて怒らないわけがない。始めは私もどうして殺したのかと怒り、復讐(ふくしゅう)しようとも(たくら)んだが、当時小学生くらいだった私はお()()の殺気に逆らう気力を無くしてしまった。

これがハッキングで調べて取り戻した記憶である。

それでもお()()がここまで育ててくれた。今ではお()()に怒った事を後悔している。

 だが今は言い訳を考えなければ……できるだけ自然な噓をつかなければ怪しまれてしまう。

だが、私の昔の記憶だけで上手く行くとは思えない。機関にいたことを上手く誤魔化さなければ……

 そして、ゆっくりと話し始める。自分の最悪の過去を。

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