予告『冒頭には死体を』
『予告編』
暗い室内。雷が鳴っている。
女性が転がっていた。
その顔には血の気がなく、口からは一筋の赤が滴る。
腹にはナイフがつき立っていた。
木製の床に、暗い赤色がゆっくり広がる。
重く荒々しい風音。重く響く雷音。
ただ、そこには、動かない女性が転がっていた。
突然だが、彼女を殺した犯人を見つけてほしい。
一体だれが?
どうやって?
「まさか、こんなことになるなんて……」
ふくよかな男が青い顔していた。
「お前がやったんじゃねーのか!」
金髪の男が声を荒らげる。
「それを信じる根拠を示してくれないか」
茶髪の男が鋭い眼でにらむ。
「ボクは、キミは違うと思うんだ……だから……」
小柄で童顔の男が不安そうに口にした。
「……そんなの。わかんないよぉ……」
儚げに少女が消え入りそうな声を発した。
「俺は、誰も殺していない。犯人なんていないと思いたいんだ」
大柄な男が顔をゆがめて言葉にした。
「私はキミのこと、信じてるよ。――絶対に違うって。だって私は、キミのこと――」
整った顔の女性が瞳を揺らしながら唱えた。
「僕は、絶対にこの謎を解いてみせる!」
決意を宿した顔で青年は宣言する。
恋、嘘、青春、死の交錯が連鎖反応を起こす。
2重の密室トリック。破れないアリバイ。
あなたは犯人を、真実を、見破れるか?
――『学校宿の殺人』