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第46話:蹂躙

 ◇


 試合が始まった。

 それぞれ分かれての戦いになるが、試合自体は同時に行う。


 Aクラスの代表パーティはユリウスの他には、女子学院生が二人。

 俺はユリウスと戦うことになり、ルリアとアリエルは残りの二人とそれぞれ戦っている。


「神より賜りし我が魔力、魔法となって顕現せよ——ぐあっ!」


 Aクラスの女子学院生が詠唱をする途中にルリアが無詠唱で火球を放ち、着弾。


 ドオオオオンンッッ!!


 詠唱中断により魔法がキャンセルがされ、敵からの攻撃は不発になってしまう。


「む、無詠唱だと!?」


「信じられぬ……」


「詠唱省略が人類の限界だと思っていたぞ!」


 周りの観客もこれにはかなり驚いたらしい。

 しかし、無詠唱魔法を使えるのはルリアだけではない。


「よそ見してる余裕があるのかしら?」


 隣で戦っていたルリアたちを見ていたAクラスの女子学院生にそう声を掛けるアリエル。

 アリエルは右手を突き出し、無詠唱で火球を放った。


 ドオオオオンンッッ!!


「こ、こっちも無詠唱だぞ!?」


「今年のSクラスやばすぎだろ!?」


「この子達はもはや学院で学ぶことがあるのか……?」


 ルリアだけでもかなり驚いていた様子の観客たちだが、アリエルまでもが無詠唱で魔法を放ったことでさらに盛り上がっていた。


 ルリアとアリエルがAクラスの女子学院生を戦闘不能にしたことで、Sクラスの勝利が確定した。

 このタイミングが最高潮に盛り上がっていた。


 さて、残るは俺とユリウスだけか。

 ユリウスが攻撃してこないので二人の様子を見守っていたが、もう二人の試合は終わった。

 そろそろだろう。


「何をぼうっとしてるんだ? ユリウス、試合はもう始まってるんだぞ」


「……っ!」


 もはやユリウスと俺との試合にクラスとしての勝敗は関係なくなってしまった。

 圧倒的な力で仲間が瞬殺されてしまったことで戦意喪失したのかと思ったが——


「こうなったら、てめえをボコボコにして憂さ晴らしするしかねえみたいだな!」


 そんなことはなかったらしい。


「やれるものならやってみるといい」


 と言いつつも、四肢に着けたリングが合計で二百キロの重さがある。

 二百キロというとピンとこないかもしれないが、大型バイクを背負いながら戦えと言われればそのキツさが伝わるだろう。


「神より賜りし我が魔力——」


 パリンッ!


「……は?」


 俺は、アリエルとの決闘の際に使った不活化魔法を惜しみなく使った。

 先ほどのルリアとアリエルの戦いでは、詠唱が終わる前に攻撃を受けたことでの魔法解除は起こっていた。


 しかし、今のこの状況はそれとは別のことが起こっている。


「今の、なんだ……?」


「Aクラスの学院生でも魔法の詠唱に失敗することなんてあるんだな……」


「緊張してるのか?」


 ユリウスよりもよっぽど広い視点で見られる観客でさえも、今の状況が何なのかわからないようだ。


「神より賜りし我が魔力——」


 パリンッ!


「神より賜りし我が魔力——」


 パリンッ!


「神より賜りし我が魔力——」


 パリンッ!


「な、なんで上手くいかねえんだよ……!?」


「そんなの、俺が解除してるからに決まってるだろ?」


「そ、そんなバカな……あ、ありえない……!」


 ありえない……と言われてもな。

 現実に目の前で起こっているのだから、あり得るだろう。


「なあ、この試合のルールを覚えてるか?」


「ルールだと……?」


「ああ。この試合では、相手を戦闘不能にするか、降参するまで試合を続行するんだ。つまり——」


 魔法による攻撃でノックアウトさせる必要はない——ということだ。

 物理攻撃で戦闘不能にさせたとしても、ルールには違反しない。


 俺は無詠唱で『身体強化』を使い、重たい身体を無理やり動かす。


「き、消えた!?」


「いや?」


 ドゴオオオオオンン!!


 ユリウスが目で追えない速度で加速し、見失ったところで背後からのパンチ。

 俺がやったのはこれだけのことだ。


「な、なんだあの動きは!?」


「魔法による加速……だが、あれも無詠唱だったよな?」


「先の二人もヤバかったが……あいつは異次元だぞ!!」


 ようやく観客も情報を飲み込めたらしい。

 ユリウスの視点からだと俺の速度を目で追うことはできなかっただろうが、離れた観客くらいの距離があれば俺が高速で移動したことがわかったことだろう。


「み、認めないぞ! 兄より優秀な弟が存在するなど、認めないぞ!」


 ユリウスはそう叫び、渾身のパンチを繰り出そうとする。

 何度も魔法がキャンセルされたことで、もはや魔法を撃とうという気は削がれてしまったようだ。


 だが、この行動は短絡的すぎるな。


「勘違いするなよ? そっちは魔法を使えないかもしれないが、こっちは魔法を使えるんだ」


「……っ!?」


 この言葉の意味を理解した時にはもう遅い。


 俺は、全力のパンチを繰り出しにこちらに向かってくるユリウスに向けて、無詠唱魔法——火球を放った。


 ドガアアアアァァァァ————ンンンン!!!!


 殺さない程度には出力を抑えたが、これほどクリティカルヒットすればしばらくは動けないだろう。

 痛い目に遭わせるのは俺の趣味ではないのだが、このくらい力の差を見せつければ、もう変なイチャモンをつけてくることはないはずだ。


「しょ、勝者Sクラス!!」


 全ての戦闘が終わったことで審判が俺たちの勝利を宣言した。

 その瞬間。おおおお——っと歓声が湧き、その声は止むことを知らなかった。


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