サンタ伝説の終末
明日はクリスマス。娘のために深夜ツリーの下に 「エルパ LEDライト」を置いておく。なぜこのプレゼントを選んだのかと言うと娘がサンタさんにこれが欲しいと手紙を書いたからだ。
小さい頃からクリスマスにもらいたいものがあったらサンタさんがよくわかるように窓ガラスに外から見えるようにして手紙を貼っておきなさいと教えてきた。
しかし中二にもなってまだサンタさんを信じていて手紙を貼るのもどうかと思う。そろそろサンタさんは本当はいないんだよ。と本当の事を教えないといけない。
中学生になってサンタを信じているのは結構イタイ子じゃないだろうか。バカにされていじめの対象になってもいけない。学校ではほとんどの子がサンタは実はお父さん、お母さんだとわかっている。でも、ほんの一握りの女の子が
「信じている子のところにだけサンタさんは来る。」
と言ってがんばっているらしい 。
◆◇◆
さてサンタへの手紙が始まったのは娘が4歳の時だったろうか。
しっかりしたひらがなで「だいやもんどをください。」と書いてあった。 おもちゃの指輪などを自分で作るセットをプレゼントするとダイヤだけでなくルビーやサファイヤもあって大喜びしていた。
そのうち小学生になると娘はサンタさんへ、ご苦労様のお手紙とミルク、クッキーを置くようになった。これがたっぷりの方がサンタさんも喜ぶと思っているのか大きなコップに満タンとクッキー袋なのでなかなか大変だった。しかし、少しずつ成長していく様子にはほっこり。
小学4年生の時にはサンタさんへの手紙へ「100万円」と書かれてしまったどう軌道修正するか。
「サンタさんはプレゼントしたもので子供たちが遊ぶのをとても楽しみにしてるみたいだよ。」
と言って聞かせた。
5年生になると「心」である。夏目漱石の「こころ」を贈る訳にはいかない。娘の意図をはからなくてはいけない。と言うか聞き出さなくてはいけない。 何かの漫画を読んで心は大切だということを思ったらしいが心を2個持ってどうするの?結局、友達に勧められたと言っていた「アオハライド全巻」を贈ることになった。
こうなると来年は「命」かもと妻と笑いながら話した。
もうサンタを信じていない子も出てきているのに真剣にサンタさんなら何でもかなえてくれると思っているのが可愛い。でもサンタさんからのプレゼントは小学生でお仕舞いにしようと思っていた。心から信じているので本当の話をしてもわかってくれそうにない。
そこで
「中学生にまでサンタさんがプレゼントしていたら小さい子がどんどん生まれてきているのにサンタさんが大変なりすぎるから、もうサンタさんにお願いするのはやめてあげて。代わりにお父さんお母さんがプレゼントするから。」
と話した。
中学生になっても相変わらずサンタを信じているようだったがサンタさんが大変なのも理解したようにその時は思えた。でも中学1年のクリスマスイブ。またまた手紙を貼っている。
今回は「お忙しいところ大変申し訳ないのですが」という序文付きである。これだけはどうしても欲しいというのが白のベビーG。流行りの G-shock のかわいい版である。どんなに欲しいか切々と語っている。やむを得ない。また深夜に準備した。
そうして中2。もう何としてもわかってもらわないとイタイ。これまでお父さんとお母さんがプレゼントを買ってきたこと。手紙を窓に貼るようにしたのはサンタさんにわかってもらうためでなくて親が読むためだったこと。ミルクとクッキーはお父さんたちが食べていたことなども話した。さすがに中二にもなって周りの子たちから聞かされ、少なからず疑いを持っていたらしくようやく
「そうだったんだ。」
と納得したその直後に、
「だったら去年もらったベビー G はサンタさんからの最後のプレゼントだから一生大事にする。」と。
そうではないのだけれども……。
◆◇◆
ベビー G は社会人になった今もカジュアルシーンで使っている。しているとサンタクロースと一緒のようであったかい気持ちになれるという。
完
思い出してみると娘への一番最初のプレゼントも腕時計だった。生まれたばかりの赤ちゃんに自分で文字盤をデザインして娘のイニシャル入りの腕時計を贈った。




