一方そのころ・・・
そして、キースからのこの世界の知識をと今日からの三日間の過ごすための資金をもらうことが出来た。國立と神崎二人はクラスメートが待っている場所へと着くのはそれから数分後であった。
「みんな! お待たせ! 少し長引いたけどとてもいい話が聞けたよ。それについてざっと話してから今後の予定を話していこう」
クラスメートはその声をした方向を聞き声質から國立と予想が出来たのでそれぞれがねぎらいの言葉と遅いなどの催促みたいな言葉を持ち掛けて近づいてくる二人を歓迎した。
それから、國立の言葉通り話した内容を國立なりに簡潔にまとめて、さっきの人たちが今後の僕たちをサポートしてくれるという事を告げた。
この時國立はこの世界が異世界であるという事は未だ言わないでいた。しかし、男子高校生であるここにいる彼らの数人はこの状況はどんなものかという事を薄々感づいている者もいた。
「――――ということだ。これからこの町でこの貰ったお金で食料を買い付けてまた森に入り教室に戻ることにする。出発は明日の朝にしよう。それまでに僕の言ったことをするように。なので班分けしてそれをこなしてほしい、みんなよろしく頼む」
早く教室に戻り余裕をもって行動したいが三日間というある程度の時間はあるので今日の疲労と夜を迎えることも考えると明日出発となることを告げた。
そう告げられたクラスメートはこれまでの森の徒歩を考えたら運動に自信がない人は戦々恐々した面持ちとなっていった。
しかし、その先の事を考えるとなったらそうしてもいられずにそのことを決意したような顔だちへと変化していった。
そうして話し合いというか國立の提案をそのまま飲み込んだような会話が終わり班分けしていったクラスメートたちは5人ずつの3班に分かれてもだここの誰も知らない町へと繰り広げていった。
△△△場面は変わり居残り組と食料採取班へと移る。
「宮永さん達、見て見てー! 結構いろんな食材がとれたよ! なんでかここの森の食材日本ととても似ててキャンプに詳しかった山下君達のおかげもあってか順調に集めることが出来たよ!」
教室のそばにいた宮永達に声をかけてこの教室に戻ってくる人だかりが見えた。
その声のする方へ目を向けていく宮永は一瞬警戒を挟んだがすぐにそれを解きその人だかりが声の主である小林夕希であって食料採取班だと分かった。
「小林さん、森も夜になっていくのだから声の方は少し下げてくださいね… まだここが安全である保障はないのですから。まぁそれよりそんなにも食材がとれたのですか?」
宮永は小林の森の中一面に聞こえるような声に注意しても、彼女の手に持っているものへと目を移していきこれでもかと抱えられた日本の言葉で例えるとりんご、ぶどうの様な果物、七草かと思われる物、シイタケの様なキノコ類など山の幸をこれでもかとふんだんに抱えられていた。
「そうなんだよ! さっきも言ったけどここなんか日本に似てるから山のスペシャリストである男子の山下君達が大活躍で色んな食材がゲットできたんだよ!」
宮永の注意も聞いてないようなさっきと同じくらいの声量で手に持っている食材たちを見て見せつけるようなしぐさをとりながら食材を置いていった。
彼女はこの言動、行動から見ての通り誰から見ても元気っこを思わせる性格の持ち主だ。
それを本心でやっているのかはやはり観測できない以上彼女自身しか分かりはしない。
「こんなもんで足りるか? 足りないと思われるも嫌だから少し多めに採ってきたつもりだが」
小林に続き話してきたのはその森のスペシャリストとして話題の挙がった山下一也であった。
彼はこの世界に来る前は高校では珍しい山岳部に入っていたことから山についてのある程度の知識は兼ね備えている。
それもあってか今回の騒動で周りが森に囲まれていたこともあり食料を探すにあたって第一に彼に白羽の矢が立った。
山下もそれを受け入れ自分にしかできないことだと思い山下とその友達2人が食料採取に加わることになった。
「ええ、この人数ですし食料は十分に足りると思います。それと水源の方は見つかりましたか?」
宮永も食料の知識はある程度はあるので一つ一つ食材を確認していき問題ないことを確かめて次の最重要項目である水のありかについて疑問をぶつけた。
「勿論のことよ! バッチシ場所を見つけてきた! ここから5分くらいの場所にあったぞあとで場所の詳細をみんなに教えるよ」
そこのところも問題ないといった通り山下は胸を張りながら周りにいる生徒に言った。
「それよりもそっちの二人は大丈夫だったの?」
食料と水である結構重要な項目よりも小林はクラスが分かれる前に倒れ意識を失っていた千慧と神無の容体を気になって言葉を発した。
小林からしたらこの場所で原因不明の気絶の方がよっぽど不安であったのであろう。
「神凪君と神無君の容体は変わらずに目が覚めていない。でも、寝ていながらも神凪君は色々とリアクションもしていたから目が覚めるのも近いかもしれない・・・」
ガタンッ!!
その言葉を発した瞬間に教室から物音が全員の耳に届いた。
明らかにあの二人に何かが起こったことは明白であった。
「起きたのかな?」
誰かは分からないがそこにいた女子の一人がそう呟いた。
「その可能性が高いわ。行ってみましょうか」
それに応えるべく宮永はその疑問に検証という返しで答えた。
彼女は真っ先に教室に入っていきそれに続いて小林ら女の子のグループが入っていきその場所に残ったのは山下ら男子だけであった。
「あ、あれ!? 俺らさっきまで食料という大切な問題を解決したのになんでこうして放置されてるの・・・」
その言葉を発した山下の両肩にはそれぞれ手が置かれ山下はそれを交互に振り替えるとそこには二人の首を振る姿が見えたのであった。
「はぁー、とりあえず俺たちも行くか」
一つため息をついて足取りが重いながらも彼らも教室へと入っていった。