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キースからの提案

町の探索班は遂に目的の町にたどり着けることが出来た。

森を向けた瞬間に生徒たちの目の前には建物を挟んで通る道に人々が賑わいを見せていた。

商人が露店を開いて商品を売っていたり、その商品を見て買おうか迷っているようにも見える町人、道を歩いているたくさんの人がいた。

元の世界で例えるとするなら栄えている町の商店街が当てはまるだろう。


「皆これを見ての通り、今日中に町に着くことが出来た。ただ町をみつけたら終わりじゃない。ここからが僕たちがやるべきことががあるんだ。そのつもりでいてくれ、まずだけど、僕は案内してくれた人に礼を言いに行かなければならない。だから、一先ずここで休んでいてくれ。それが終わったらこの班をまた細分化してやるべきことをしてもらう。いいね?」

それを聞いた男子はやっと未知の知らない町での活動が出来ることを実感し期待の表情となり今からワクワクの気持ちとなり隣の仲間との話に花を咲かせ始めた。


「やれやれ、あ、あと神崎君にも付いてきてほしいかな? むこうに既にこっちが大人数だという事も理解してる。だから、付いてきてくれるとより説得力がますからいいかな?」

それぞれの世界に入り浸っている生徒を横目に神崎に一緒に来てくれないかと國立は誘ってみた。

その彼は一人町の先を見つめていた。


「俺も行くのか? まぁいいさ、俺も会っときたいからな。この状況の事を知っているんだろう? だったらなおさらだ」


「それならよかった。待ち合わせてるから案内するよ」

神崎の言及には触れずに同行の了承を得たので返事をするために一度だけ振り返った國立だがそれをしたら待ち合わせの場所へと向かってった。

目的の場所へと向かう間には二人とも何も発さずに黙々と歩を進めていきすぐに待ち合わせの場所へと着いた。

待ち合わせ場所はこの世界の地理に疎い國立であっても分かるようにとても大きな大樹の麓であった。

推定される高さはゆうに100メートル、200メートルを超える。この町からだとどこからでも見える大樹であった。


「おっ、お友達を連れてやっと来たなあんちゃん達! まぁいいさ、そこのベンチにでも座ろうやないか。この世界について詳しく知りたいんやろ? なら俺が適任やな」

その大樹に向かってくる國立を見つけてはいなやすぐ様に声をかけ座ることを促した。

そして近づいてった二人はお言葉に甘えてベンチに座った。


「キースさんお持たせさせてしまって申し訳ありませんでした。隣にいるのは仲間である神崎真です。話を聞いといて損はないと思い連れてきました」

待たせた社交辞令を終え、他なりに座り初対面である神崎の紹介をした。

「ど、どうもっす」

ぶっきらぼうにあいさつを交わし神崎にも向こうのことをちょろっと説明をしていった。


「にしてキースさん? さっきの会った時に言った。このことについて話すのは俺が適任だとおっしゃいましたよね? 僕たちの今置かれている状況とキースさんに何か関係があるんですか?」

最初にキースが言った『俺が適任』という言葉に対して國立は疑問に思いまずそれを聞いた。

自分たちの置かれている状況を詳しく知っている理由があるのではないかと思い。


「それはわたくしから話しましょう。これは失礼まだ名乗っていませんでしたね。、わたくしはキース先生の助手を務めさせていただいています、フーパと申します。以後お見知りおきを。それで何故キースさんが貴方達迷い子について詳しいかという疑問ですね。それはあなた方も気づいている通りの答えですよ。つまりキースさんを始めわたくしは迷い子について日々研究をしているのですよ。だからあなたに協力をしたのです・・・よね? キースさん」

その話に答えたのはキース自身ではなくその隣に侍っていた助手であるというフーパが答えた。

そのキースも助手のフーパの答えに頷きそれが答えだと二人を見た。


「そうゆう事でしたか。納得がいきました。なぜあの森にいたのか、なぜ僕たちを助けてくれたのかそれが理由だったんですね。それでフーパさん、それなら元の場所への戻り方はとかは分かってたりはしますか?」


「元の世界への戻り方ですか・・・それは・・・」

「ここからは俺が話そう。あんがとさんフーパ。最初に言うと元の世界の戻り方はまだ分かっとらん。もし分かっとったら既に俺たちの世界からいろんな世界にいってんで。俺も今こんな所にはおらんわ。ちゅうことでそのあてはない。迷い子は全員この世界で一生を終えとる。だから、元の世界に帰るよりもこの世界で生きていくことを考えることが賢明やな」

フーパがそれについて語ろうとしたがそこからはキースが話すといいそれから元の世界への帰還方法は現状無いことを告げた。


「そうですか・・・」

「國立彼らからの言い分だとやはりここは異世界なんだな。しかし、何故日本語が通じるんだ? 異世界なら他の知らない言語で話されていると思うがここは日本と関係があるのか?」

國立はやはりと思い短くその言葉に対して頷き返事をした。

それに続いて神崎は今まで黙って話を聞いていてその間をみつけてここの場所が異世界であることの確認をとりその言葉に他の三人は頷いたが、その後の疑問に顔を見合わせた。


「そうですよ! 今まで聞きそびれていましたが、何故あなた方にとって異世界人である僕たちの言葉、日本語を介してしゃべることが出来るのですか? ここは異世界であると貴方は言いましたが僕たちの故郷の日本ではありませんよね」

神崎の指摘によりこうしてゆっくりと話す機会を得た國立もその疑問をキースらに投げかけた。

それもそうだ彼は今の今まで町のをみつけるという事を成し遂げなければならなかったのだ聞けなかったのは仕方がなかったのだ。


「なんやそんなことずっと思ってたんか。そんなもん簡単なことやで俺たちの口元によーく注視してみ、発音と口の形が違うから。何故かっていうとお前さんの世界にはあるか知らんが簡単に言えば魔法のおかげやな。魔法の干渉によって俺たちとお前さんは会話が成立するっちゅうこと」


「魔法ですか・・・また夢物語の様な物があるんですね」

「確かに・・・日本語との口の形が一致しないな」

日本語である問いに魔法があるから聞けているというキースの言葉に二人は声を詰まらせながらもその口を見て納得せざる終えなかった。

それから國立達二人はこの世界のある程度の情報を聞いて話も終わりを迎えようとしていた。


「して、お前さんらはこれからどうすんや?  当面の生活は大丈夫なん?  もしいいのなら俺が身を預かってやらんこともないぞ!」

「ちょ、ちょっとキースさん!?  そんなこと貴方が勝手に決めれることののですか!?」

「そんなもん知らん。出たとこ勝負だ。まぁ、お前さんたちが身近にいてくれればこちらも研究が進むってもんや。WIN-WINの関係や。してどうや、國立、神崎?」

キースは所謂勧誘をけしかけてみた。当然國立達は今この世界に身よりはないなのでその言葉はとても有難い。


「それは、とてもうれしい申しつけですね。しかし如何せん僕たちだけでは決めかねる案件ですね。僕たち以外にも28名の仲間がいるので・・・答えを出すのはもう少し保留にしてもらう事は可能ですか?」

「俺も國立に賛成だ。俺らだけで決めていいことではない」


「それもそうか、他にも仲間がいたんだったな。こちらとしても時間をとれた方が準備もできる。それならまた場所に戻るとして3日後にまた返事をもらえるか?」

國立達に向けての勧誘もこの二人だけでは決めかねてるのを見て、キースは3日間の期間を設けた。


「分かりました。その方が助かります。みんなとよく話してから3日後返事を出します。個人としてはそちらの提案を飲みたいと思っていますので出来るだけ説得を頑張ってみます」

それまでに自分たちだけで生きていくのか、それともキース達の後ろ盾を得て生活を保障してもらうかが今日から3日後に決断を引き延ばした。


「そうしたらこちらも、提案を呑むという形で準備を進めていこう。いい返事を期待してるで」

「はぁーー、まったく貴方という人は・・・」

キースのプレッシャーをかけるような言葉とは裏腹に、助手のフーパは胃がひりひりするような思いで買いを聞いていた。そこには中間管理職の辛さがにじみ出ていた。


「分かりました。いい返事が出来るように頑張ってみます。それではまた三日後ここで」

「失礼します」

キースに乗っかるような口ぶりで答えた國立、相変わらずの短く言葉を並べた神崎その二人はそこを後にしていった。



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