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一本の太い枝は着々と葉を付けていく

國立は皆が集まってる場所から離れ前にいる二つの人影を追って歩き出した。

その人影は國立達が発見してから大きさも変わらず全然動いてないように見えた。

幾つかの疑問を心に抱きながらも道を進めていった。

そして人影が人影ではなくなるくらいまで近づき相手の色が見える距離となった。


「すいません! ちょっとよろしいでしょうか?」

その言葉に二人が國立に振り返り國立の身体を一瞥した。


「なんやこんなところに人がおるで! しかもえらい顔立ちが良くてええところで育ったような奴や。そんでお前何しとんねんこんなところで!」

その日本語で何処か関西風な言葉を聞いた國立は内心驚きはしたがこのチャンスをつかみ取るべく会話の言葉を選んでいく。


「僕は今この森で遭難してしまい森の中をさまよっていました。そこに貴方がたが目に入りどうにか近い町の行き方を教えてまらえればと。見たところこの森について詳しい様にお見受けしました。どうかお願いします!」

あえて自分が一人だという事を伝え同情を誘うとともに後ろに控えているクラスメートがいるのでマップや行き方を教えてもらう事を最優先にした。そして交渉の手本である相手の事を褒めることも忘れずに加えて。


「お前さんもしかして迷い子かいな? 名前はなんて言うんや?」

その言葉にその男性は一つ思い当たる節があったのか『迷い子』というワードを出した。


「迷い子? ですか? その言葉が僕に当てはまるかどうかはわかりかねますが。僕は國立理と言います。ここはいったいどういったところなのでしょうか?」

その『迷い子』というワードは國立自身も聞いたことがない言葉であり謎を深めていったが、そもそもそのような言葉が生まれる場所であるここが何処なのかを自身の名前を明かして聞いてみた。

國立が話している間にも何やら考えているのか顔を暗くして何やら思い出すような動作をおとこはしていた。


「國立理というんか・・・やはり前の迷い子と同じような名前をしているんか。これは迷い子でほぼほぼ確定のようやな・・・・あっ!俺も名乗ってなかったな俺の名前はキースってんだ。ええーと國立でええか、お前さんはここが何処なのかが分からないと言ってたな。それもそうであろう何しろここはお前が元居た世界とは違う言わば異世界という事や! 知らないのも無理はない。そんでここがそのお前さんからしたら異世界で迷導之森(めいどうのもり)がこの場所や」


「ここが異世界と? そんなはずないでしょう・・・何しろキースさんが今話している言葉が僕たちと同じことが説明が付きませんよ? それにそんな御伽噺様な事を信じろというんですか!」

ここの場所を聞くつもりでいた國立はその情報よりもはるかにスケールのでかいことになっており彼からしても中々呑み込めなかった。

クラスの突如の転移以外は今の状況はよくある遭難だ。國立からしてもここが地球の何処かだと思っていた。

なのに突然ここが異世界であると説明されて、自分の想定が否定されたことにより何とか肯定に持ってこようとして國立は頭をフル回転させた。

そのためか彼らしくない口調に変わっていた。


「信じる信じないじゃないやろ。この現実を見いや、少なからずもその可能性を捨てていたなんていうお前さんではない。今はこれを受け入れろ。そして、町の行き方やっちゃなそんなもんずっとまっすぐ行けばこの森のどこからでも1時間以内には着くからこの森は地図いらずやで!」

國立を諭すような声音でキースは語り掛ける。キース自身も彼の心情が分からないわけではない突然の世界を超えた遭難という事実が降りかかり元の世界には家族、友人がいたに違いない。それなのにもう会えないかもしれないというのだ。その若さでのこの現実は辛いであろう。


しかし國立は

「そうですか。分かりました。すいません取り乱してしまい。それとこの森は真っすぐ行けば出られるんですか? 僕たちかれこれ3時間ぐらいまっすぐに進んで森を出ようとしていたのですが、森から出られませんでしたよ?」

さっきまでとは打って変わり自分の非を認め、そしてすでに未来を見据えた答えを出した。

そしてキースと向き合い話を進めていく姿勢となっていた。


「ほんまにお前さんしっかりしてはんな! もうここが異世界だと認めたんか! それと僕たち? ほかにもお前さんの様な迷い子がおるんちゅうか? その口ぶりからして」

その開き直りともとれる言動に心底感心し、そのことはもう終わりにして國立から発せられた言葉にキースは反応した。


「はい。自分のクラス、学校の教室がこの森の中にあります。さっきのことから転移という形で世界を超えたのでしょう。なので僕のほかにも生徒たちがいます。今は班別で分かれて全員じゃないのですが、後ろに14名控えています。大勢で押しかけても不利益しかないと思い一人という形でお会いしました。全員出来たほうがよろしかったですか?」


「いいや、一人で良かった。大勢だとこっちも盗賊などを疑いたくなるってもんや。一人できて正解ってことや。だけどこの森で盗賊なんて聞いたこともないんやけどな。そういう事なら分かった。俺たちの後についてくるといい町まで先導しちゃるから。そうと決まればいくぞ、もうすぐそこや!」

國立に仲間がいると聞いてキースは冗談めかしいことを言いつつも道案内を引き受けてくれた。

あえて先導という形をとったのは國立達を思い提案した。

「キースさん帰っちゃっていいんですか!? まだ入ったばかりですが!!」

そのキースの後を追ってキースのお供をしていた若い男性が叫んでた。


「なんか悪いことしちゃったかな、ははっ、でもよかったこれで…」

それだけを残し國立はみんなの集まっているところに急いで向かってた。



「みんなー! さっきの人たちが町までの道のりを先導してくれるらしいからこれで町に行けるよ!」

クラスメートが見えてきて走るながら事の顛末を簡潔に伝え町までの道のりが確保できた吉報を送った。

それを聞いたクラスメートたちはほとんどの人が顔を下に向けて薄暗い雰囲気がただよっていたが全員が顔をあげて声のする方へと視線を向けていった。

そして、会話の内容が成功したことだと確認すると一同雄たけびを上げた。

「よっっしゃーーー!! これで野宿は回避だー!!」

「この班に来てよかった!!」

それぞれ思う喜びを口にしていき、帰ってきた國立を労った。

「國立、とりあえず成功してくれたんだな」

神崎も多く語ることはなくても國立にねぎらいともとれる言葉を送った。


「皆もう先導が始まってるから早速出発したいけど準備はできてるね? 彼らによるとあともう少しだそうだ。頑張って町を目指そう!」

その言葉を聞き皆が一斉に立ち上がり早歩きでその先導者とやらを追っていった。


そして、30分もしないうちに木々の間からの夕日の光量も次第に増していき森の終わりが見えた。

すでに先を歩いていた先導者たちの姿はみえない。

それよりも彼らは森を出れたことに感激しておりそのことに誰も触れずに忘れていた。

『外だー!!!』

声がシンクロして全員に森の外に出たことの実感がわいた。

森の抜けた先に視線を送るとそこからはすでに町という建物やらが数メートル先に連なっていた。

國立はここが異世界と聞いて町に入るにも検問所か関所を通ることを想定していたがそこにはすでに町が広がっておりこの森が町の中にあるのだと気づいた。

「思わぬ収穫…」

そう呟かずにはいられなかった。

彼もまた異世界であることでのこの森をミクロな視点でしか観測が出来ていなかった。

もしかすると町の中ではなかった世界も存在したのかもしれない・・・


その時はたまた教室の簡易ベッドの千慧sideは


「はっくっしょーーーん!!」

また、意識がないはずの千慧の身体に異変が起こっていた。

彼の覚醒は近いかもしれない・・・・


しかし

ガラガラガラッ!!

勢いよく開かれたドアの所には宮永が息を立てながら千慧に向かっていた。

「神凪君! 起きましたか? ってまたくしゃみですか。本当は起きているんじゃありませんの?」

と言って千慧の診察のお時間が再び訪れた。


彼は観測、診察からは逃れられないのであった。


これからもよろしくお願いします。

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