表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

クラスが転移の確率を引いてしまった

僕は神凪千慧(かんなぎちさと)、でこにでもいるような見た目の高校生だ。

今日から高校二年生の学校生活が始まる。

だからこそ憂鬱である。

この学校は始業式が終わるとすぐに授業が始まる。

周りの他校は始業式が終わると下校のところが多いがこの学校は違うみたい・・・

ただそれだけではない

そんなことは些細なことだ。

僕が行きたくない第一の理由は新学期の係決めである。

二人一組、三人一組で学校の仕事を決めるやつである。


そう、僕は高校生ぼっちだったりする。

でもこれには言い訳がある。

僕は進んで一人の道を選んだのである。

過去のトラウマ・・・いいや、悟りを開いて人との関りを減らしたのである。

だから、決してコミュ障ではない・・・・・はず。

しゃべりかけられても塩対応ながらも普通に話せるし・・・・・はず。

あれっ?最後に学校でしゃべりかけられたのっていつだっけ?

まぁ、そんなことはどうでもいいや。

それより学校に近づくにつれて足取りが自然に重くなっていく。

係決めさえなければ、係決めさえなければ、こんな気持ちにもならなかったのに・・・

普段の僕は学校に着いたらまず席に座り授業が始まるまで読書をし、授業が始まったらまじめに受けまた終わったら読書に戻るという黄金のルーティーンが形成される。

勿論まじめに授業を受けると言ってもただひたすら綺麗にノートに黒板を板書して、先生の話を聞くだけだから挙手、発表はしない。そこまでするとただのガリ勉になってしまう。

そうすると、そこでまた悪目立ちをしてしまうからだ。

ひたすらにノートと黒板のにらめっこで授業が終わる。

最高だ。


今日だけが、今日だけが違う。


そんなこんなで校門についてしまった。

昇降口でクラス分けで一喜一憂している生徒たちが見える。

何をそんなに・・・

大人が決めた箱庭でこれまた大人の裁量で決めた人達で勉強を強いられているのに・・・


僕は誰にも見られないように草むらの陰でスマホのカメラ機能のズームを使い自分のクラスを見ることにした。

なに?これを万人が不審者と呼ぶ?

いいや、必要経費だ。

ボッチにはあの中に突っ込むほど馬鹿はいない。

なんかしらの厄介ごと、陰口が言われるのが関の山だ。

だから、ボッチはほとぼりが冷めるまで待つかこの方法で回避をする。

データは僕だけだが。


ええーと、自分の名前は何処だー?

Aクラス無いな、Bクラスはっと――


「神凪君、おはようございます。何していらしてるのですか?スマホなんてもってらして?それよりクラスは一緒のDクラスでしたよ」

誰かが茂みにいる不審者に声をかけた。


「こ、これはほらっ!風景画!風景画をとっていたんだよ!なんもやましいことなんて・・・それよりどちら様ですか?」

苦し紛れのごまかしに気を足られている千慧はもう彼女がそこにいないことに気づいたのはそれを言い終わった時だった。


「はーー・・・マジで焦った・・・始業式早々厄介ごとになるかと思った。てか、会話が成立してない・・・顔も見てないし」

それは春の訪れを知らせたかのような一瞬の風のように過ぎていった。

クラスはDクラスなのか・・・

一応、一応確認、確認、ドア開けたら違う教室でしたーっていうオチはシャレにならん。

よーーく周りを見て、スマホを見た。


ホントだった。

僕はどうやらDクラスであっているようだった。


確認した千慧はそそくさとDクラスの教室へと向かった。

その間あれを皮切りに声をかけてくる生徒は誰一人いなかった。

そして、千慧は教室のドアの前に立った。


なんでドア空いてないんだよ。

絶対開けたら大半の生徒がこっち見るやつじゃん。

はぁーこれもまた憂鬱・・・


その時後ろから天の声が聞こえた。

「どいた!どいた!邪魔!邪魔!」

と見た目がどう見ても髪の色が真っ金金でツンツン頭まさに不良少年がこっちに向かってきた。


これを好機と思い千慧はドアの前から退き譲った。


グッジョブ!不良少年!


勢いよくドアをガラガラガラーーと開け横から見ていた千慧でさえその不良に視線が集まったことを感じた。

そのすきを見逃す千慧ではない、その隙にさっとドアを抜け教室に入り昇降口で見た出席番号を思い出し席をみつけ流れるように席に着くことが出来た。

その時に一つだけこちらに視線を感じたがそれに構う余裕はなかった。

そして、いつものルーティーンである。本の世界に没入していった。


その後チャイムが鳴るのを皮切りに生徒が体育館に向かい始めていた。

千慧もそれに紛れ有象無象として難なく体育館に入った。

それから、開式の言葉から始め校長先生の有難くも長い長い話があって、それでも1時間はかからずに始業式を終えた。

そしてまた、有象無象として教室に帰還することに成功する。


しかし、遂にこの時が来てしまった。


「それじゃあ、これからクラスの係を決めまーす!やりたい人は挙手をお願いします」

その言葉を先生が生徒に伝えたとたん生徒たちは周りの人たちとしゃべり始めた。

恐らく、あれやろうよやあれやんない?などの相談事であることは誰しも推測が出来るであろう。

勿論僕は窓を一転に見つめ早く終わることを願っている。


そして、5分も過ぎて大体の係が決められていった。

そして、僕は窓から視線をそらし余り物で目立たないように吟味した。


・・・・

・・・・

えっ!?


僕が黒板を凝視してみるとそこには


風紀委員・・・神凪千慧、宮永葵

と書かれていた。


どうしてこうなったーー

風紀委員ってあの風紀委員でしょ?

漫画とかだと生徒会と対を成す組織の・・・

絶対に悪目立ちするやつやん!

しかも、相方が宮永葵ってどっかの御令嬢じゃなかった?

黒髪でそれに加えロングヘアー、顔だちもすごく整えられたいいところ育ちのテンプレをこれでもかというほどにふんだんに兼ね備えたクラスのカーストに例えると間違えなく上位だ。

それだから僕でも知っているんだからねー

もうこれは悪目立ちが二乗されてしまってるやん。

やりたくない、やりたくない、やりた――


「神凪さん?風紀委員やってくれる?」

僕の心情を無視して先生が赤紙を差し出してくる。


「はい、やります」

未来の悪目立ちより今の悪目立ちを選びやがったかー僕の身体!

これはどうしようもない身体は正直だからなー

こんなことなら時間なんて観測したくなかった。

時間なんて言う概念無くてずっと永遠だったらこれも永遠に来ないのに・・・

何故にこの身体は自然に勝手にしたくもないことを平然としてやっているのだ

少しくらい人間なんだから自由意志くらいあってもいいだろう!

変な理屈へと話題を転換させる中


「それじゃあ、二時間目は終わりねー、まだ、隣のクラスとかは授業の時間だから時間になるまで外に出ないでねー、日直さんとりあえず号令かけて終わりにするよー」


そして、出席番号1番の生徒が

「起立! 礼! 着席!」

と号令をかけて千慧にとっての地獄の時間が終わった。


5分もしないうちにチャイムが鳴り、一人が教室を出ようと教室のドアを開けると


「ええええええええっーーーーっえ!! なんじゃこら!!」

と叫び声をあげるのが聞こえた。

その喧騒にクラスメートが気づき外に出てみるとそこには

学校の廊下ではなく教室の周りは森に囲まれていた。


「なに・・・これ?」

誰かがそう漏らしたのを切っ掛けに喧騒をどんどん広げていった。


そのクラスメートの声が聞こえ千慧も現実に戻りふと窓を見ると見知らぬ木々が広がっていることに気づいた。

それまでに異変に気づかなかったのはボッチである千慧以外に窓を見るやつはこの教室にはいなかった。

その千慧も現実逃避をしていたので誰かが外に出るまで気づけなかったのだ。

それは音も前触れもなくそれは突然起こった。

「もしかして僕たち・・・いいや、教室ごとどっかに転移でもしてしまったのか・・・」


それは千慧が夢にまでも見たこの世はとてもとてもあやふやな世界で自分の後ろには数千の確率がもやもやと漂っていることを自らの身によって体験したのかもしれない。

だからなのか千慧はすんなりと転移という言葉が出たのだ。

今日だけ2話投稿です。

感想などお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ