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secret songs 白石涼編①  作者: *由珠菜
1/1

涼 「それは春風のように」

誰だって秘密を持っている。


☆☆☆


好きって気持ちは、人間の本能。

ただそれだけなはずなのに。

どうしてこんなに、

胸が締め付けられるのだろう。




「白石涼です。よろしくお願いします」

素早くそう言って腰を下ろし、辺りを見回す。

友達が誰もいない教室で、

私の中学校生活が静かに幕を開けた。


今もまだ中学生で十分幼いとは思うけど、それよりもっと幼い頃。

私が生まれて一年たったときのこと。

甘い苺の香りと爽やかな風。

やって来たその子は、今でも私の隣にいる。

はずだった。

こんなことになるまでは。



ひぐっ。ううっ。

「まっ、ちょっと!泣かないでよ!クラス替えだよ!一年間だけだよ!」

そんなこといってるけど、だって、苺と…

「離れたんだよ!?クラス!始めて!!」

友達とか苺しかいないし。

「苺ぉぉ…」

「やめてよりょーちゃん…」


草野苺は可愛い。

綺麗な顔をしてるし、

性格は優しいし、

頭もいい。

おまけにいちごって名前も可愛い。

それに対して私って。

顔は普通で、

性格は人見知りで素直じゃないし。

頭はまあまあいい方だけど。

おまけに、りょうっていうかわいくない名前。

何回親を恨んだかわからない。

男みたい。

自分が嫌い。


そんなことを考える。

いつも、いつも、いつも、いつも

この日もそうだった。

まだ貴方のことはみえなかった。


そんな私にも苺に勝てるものがあって。

絵を描いていれば安心できた。

ただそれは少し危険で、

そのときは周りの声なんて聞こえない。

人見知りは加速するばかりだった。



そんなとき。


私の絵は宙を舞い。


拾ってくれた貴方はとても、



色鮮やかに映った。




「はい。すげえ、上手いな」

息ができない…

まさか。

「おーい?大丈夫?」

「あっ!だだだだいじょうぶです!」

また、夢なのだろうか。

でもまだ、確かめるわけにはいかない。

まだ。

私の秘密を話すには、早すぎる。



相馬隼人。

一瞬にして私は。


壊れそうなほど愛しい日々を、思い出す。


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