#023 始まったテンプレと自由な理不尽
どうもウツロイです。
時間が無いのについつい書いてしまう自分に嫌悪を感じながらもまた書いてしまいました。
皆さんはスケジュール管理は如何されていますか?
「お前、それ・・・」
彼のステータスボードを覗き込んだ少年は驚愕の表情で固まっている。
「お前、その伸びしろ、教えてよかったのか?」
「どうしたんだよ、柘植野」
「これ、見せていいのか?」
彼は何も答えない。
少年はそれを肯定だと判断して周りに見せた。
ステータスボードに記された『伸びしろオールE』。
暫く無言が続いたが次第に戻る空気の振動。
「アハハハ!オールE?!落ちこぼれ確定だなおい!」
彼は全く表情を変えないが代わりに言い返す少女がいた。
「大光明君、そんな言い方しなくてもよくない?可哀そうだよ!」
「そう言うお前はどうなんだ?石鏡。AとかBとかばっかなんだろう?可哀そうって感想はな、見下しから始まるんだぜ?言い方を変えただけで同類なんだぜ?」
「ち、違うよ!」
二人が言い合っている間に他の者達は何をしていたかと言うと、既に派閥が出来つつあった。
「おい柘植野、それ、ちょっと見せてくれよ。」
「ああ、と言っても俺のじゃないんだが。」
「はい、どうも。さて、俺の操作でも反応すればいいんだが、おっ」
ステータスボードを受けとった少年の操作で彼の異世界特典の詳細が表示される。
―ステータスボード―
【異世界特典】‐【固有:消失】
あらゆる存在を実体非実体問わず世界から消失させる。
それがたとえ神の権能であっても。
「…。これはヤベエな。こいつは俺たち二人で秘匿しておこう。足並みそろえるには今割れるわけにはいかねえ」
「ああ、ところでその本人はどこへ行った?」
「何?!」
部屋で少年少女が話し合いをしている時、既に彼は部屋を抜け出し、元破壊神の居城であるこの城の探索を始めていた。
断絶世界の効果は大きく、彼であっても能力の行使は半径3メートル以内に留まるため無茶な探索はできないが、光魔法で自身からの反射を完全に遮断し身を隠すぐらいは朝飯前であった。
探索に使える魔法もすべて3メートルで効力を失ってしまう為仕方なく歩きで探索する彼。
しかし探索魔法が使えなくとも城の至る所から神力の気配がするため、破壊神かどうかはともかく神の居城であったことは間違いないのかもしれないと考えながら歩き続けること30分。
一際大きな気配のする扉を見つけた彼は掛かっていた封印を強引に抉じ開け中に侵入した。
中は飾り気のない小部屋になっていて、中央の古びた椅子に腰かけた男が気配の源らしい。
既に男はこと切れており、しかしそれでもなお膨大な神力をその体に内包しているようで、生前であれば自分よりも高位であったのではないかと思えるほどだった。
実際彼よりも高位な『創造神』であり、この城を居城にしていた破壊神の称号を持つ上位神『破砕神』によって数億年前に殺された者であった。
その身体ごと神力を美味しく頂いた彼はその身に創造神への因子を取り込んだことには微塵も気が付かづに探索を再開した。
やけに慌ただしい衛兵を横目にのんびりと探索を続ける彼。
彼にとって首を落とされるぐらい何ともないのだが、人間や神になり切れていない亜神にとってはそうでは無く、姿の見えない彼を探して駆けずり回っていたのだが、無口な彼が其の呼び掛けに反応することは無く、時間だけが過ぎて行く。
城を世界から孤立させるように覆っている断絶世界を構成する神力をほんの少しづつ吸収しながら一旦部屋に戻る彼。
せっかくなので何か情報が聞けないかと思っての行動だったが既に少年少女は移動した後だったらしく既に部屋にはいなかった。
それからさらに10分掛けて少年少女のいる王との謁見の間を見つけた彼《死理神》は何かを話している少年少女の後ろでそっと光魔法による光学迷彩を解除した。
2分間ほど誰も気が付かなかったが、ふと後ろを振り返った一人の少女が驚きの声を上げる。
「どうした、世羅田?何かあったのか?」
「う、後ろ、いつの間に!?」
「おわぉ!?・・国王様!」
「なんじゃ?」
「行方が分からなかった仲間が戻ってきました。お騒がせしてすみません」
「ふおっふおっふお、それは良かったの」
ここセントラル王国の国王である『グラツヌフ・シュタイン』は微笑みを浮かべて返答したが、同時に接続した部下との念話で叱責していた。
「おい、なにをしている!監視はどうした!講堂が把握できていないとは何事じゃ!!※念話」
「も、申し訳ありません!何分この城内ではたとえ宮廷魔導士であっても魔法が行使できなくてですね、それで――※念話」
「言い訳無用!!早う監視体制を確立せい!!!※念話」
「ははぁぁ――」
誤って声に大きく出してしまった少年少女の後ろにいた衛兵は急にフォーカスが当たり気まずそうに謁見の間を出て行った。
「…「?」…」
多くの『?』が量産されたが国王の一声で再び話が再開される。
彼は話の内容が希少品に近づく気配が無かったため軽く聞き流していたが、急に少年少女が動き出したためその後ろについて行った。
謁見の間から出る際に一人の衛兵から受け取った忘れ物のステータスボードを受け取った際に彼は収納魔法を行使してそれを収納したが、それを目撃した衛兵の驚愕の表情に彼は気づかなかった。
通された部屋には小さな机と2脚の椅子、机の上には宇宙を内包するように煌めく水晶玉が乗っている。
部屋自体は高級そうな装飾があちこちに見られ、如何にも王族の城といった感じだが、実際は破壊神の元居城である。
そっちの方が凄いかもしれないが。
ともかく、その4つのアイテムしかない部屋だったが、机の向かいにある椅子には一人の少女、もはや幼女と言っても過言では無い容姿の女の子が座っていた。
「始めましゅて、セントラャル王国第1王女のマリア・シュタインです。これからよろしくね!」
少し噛みながらもはにかんで挨拶する第1王女に鼻の下を伸ばす者、恍惚とした表情の者、ぬいぐるみを見る時の視線を投げかける者、胡散臭そうに眼を飛ばす者、睨みつける者、興味なさげにする者と、千差万別の表情を見せる勇者達であったが、護衛の衛兵の咳払いで話は始まる。
「いまから皆しゃんに強化加速のお呪いを掛けます。一人づつこのしゅい晶玉に手をかじゃしてください」
本日ロリコンに目覚めた残念な者が我先にと並び強化加速の呪いと称した洗脳魔法を嬉々として行使されるのを死んだ目で観ながら、自分はどうしようかと彼は悩んでいた。
正直、行使されても痛くも痒くもない。自身と彼女では格が違い過ぎて一切効果は出ない。
しかし、洗脳魔法と分かっていて、わざわざ受けるというのも如何なものか。
そこでふと彼は1つの諺を思い出す。
「郷に入っては郷に従え」
著しく思い出すタイミングを間違えてはいるが、彼はそれに従って洗脳魔法を受けた。
やけに手ごたえの無い感覚に違和感を覚えた第一王女であったが、あまり気に留めることは無かった。
自身への過信か、英雄の女神の加護を受けた魔法触媒である水晶玉を信じてか、洗脳魔法の効果を信じて疑わなかったからだ。
余談であるが、『郷に入っては郷に従え』とは、行ってしまえば美化した『同調圧力』である。
次はどこへ行こうかと思案をしながら、今日もゾンビは嗤う。
お読みいただきありがとうございました。
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