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短編まとめ

ハイドパークの空

作者: 萩尾雅縁

 僕の日本人のメル友、古都音さんは、一番最初のメールで僕にこう訊ねました。

『ロンドンには青空がないのでしょう? いつも雨が降っているか、どんよりと曇っているのでしょう?』と。

 僕は大いに笑いました。そしてこう返事を書きました。

『古都音さんは、とても面白いひとですね』

 僕は、出勤前のロンドンの空の写真をメールに添えて送りました。


 そして、今日も晴天です。もう一週間、青空が続いています。

 古都音さんは言いました。

『それはロンドンではない!』




 古都音さんへ


 先週水曜日にハイドパークへ行きました。また雨がありませんでした。

 ほんとですよ。

 だから、ウィリアム・ギャレットの詩を見つけました。いい詩人じゃありませんが。だめもと。




 In Hyde Park. (Kotone's)


 Today in Hyde Park the sun shines      、     

 Bright and clear in the cloudless sky.  

 The blue vault of heaven stretches     

 To the edge of sight.


 Today the trees, dressed with new green   

 Budding leaves, lean and sway gently.    

 And the still cold wind of early spring gives 

 A memory of the winter gone.          


 Today the lake is a deep blue         

 Mirror of the sky, rippling in the breeze.  

 Sun, wind, water, earth are all being     

 Together in one passing breath.        


 But where is the rain? The rain is missing. 

 Am I dreaming, or not in England? So I stand 

 Beneath the blue sky for many minutes     

 Wondering, where is the rain?         


 ハイドパークで (古都音さんの)


 今日、ハイドパークに太陽は輝く

 雲ひとつない空で鮮やかに、鮮明に。

 視界の端まで伸びる青空。


 今日、木々は新緑を纏い、

 新芽は優しくもたれ合い揺れる。

 そして、早春のまだ冷たさの残る風が

 冬の記憶を追い立てる。


 今日、湖は深い藍。

 空の鏡はかすかな風にさざなむ。

 太陽、風、水、地球、すべてが共に、

 ひとつの呼吸の中に。


 でも、雨はどこ? 雨を見つけられない。

 わたしはこのイギリスで夢を見ているのだろうか?

 だから、わたしは立ち尽くす。

 長い間この青空の下に

 いったい雨はどこに行ったの? と、首をかしげながら。


 ウィリアム・ギャレット 四月十九日


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