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無力

作者: 門林はみめ

俺は、体育館の裏で煙草を吸いながら思った。

(全くの無力だったな。)

今日、一つの自殺事件があった。それは、一人の中学生が屋上から飛び降りたのだ。

「ちぇっ!!」

俺のたった一人の理解者、今日はそれを失った。時は、運命は、俺からあと何を奪おうというのか。

俺は、煙草を投げ捨て、踏んだ。



朝は案の定、全校集会が行われ体育館で、石原の担任の話を聞いていた

「えー、昨日亡くなった二年の石原さんですが、忘れ物を取りに屋上へ行った時に足を滑らせそのまま亡くなったという事なので、マスコミ関係者に何か聞かれても先生が答えるという事のみを言って下さい。良いですか。」

「すいません。先生、それは隠蔽工作ととってもよろしいですか。」

俺がそう問うと、先生は焦って言った。

「君の言いたい事も良く分りますだが、これは石原さんのご両親の心の傷が癒えないため世間に出せないのです。」

彼女の両親は暴力的で、跡取りである兄以外は冷たく接したと聞いていたんだがな。

「では、先生はその責任をとってお辞めになられますか。」

俺は、隠蔽について問いかけても並行線だと思ったため、それなりに責任を感じているのか、一人の命を取りこぼした事にどう思っているのか問いかけてみる。

「それは、そのうち話します。」

「いや、この場で決めて下さい。」

俺の言葉に先生が焦っているのは分かった。

「では、言いましょう。私は辞めません。彼女のような人を一人でも多く救って責任を果たしていきます。」

少し拍手が起こる。

「彼女を自殺と認めましたか。その話し方ではそうですよね。」

「吉田っ!!」

先生の怒鳴り声が聞こえた。額には汗が光っている。

「こんな学校にいる価値はない。」

俺は捨て台詞を吐いて体育館を後にした。



(どいつもこいつも)

俺は門をよじ登り学校から出た。

名門私立中学校なだけあって、外にはマスコミで溢れていた。

「自殺事件があったと言うのは本当ですか。」

「ありましたよ。でも、学校側は隠蔽していますので。」

俺が平然と答えるとマスコミはざわついた。

「一言コメントを頂けますか。」

「大人なんて頼りにならない。」

子供っぽくも意味のある一言を言った。

「ありがとうございました。」

成績を気にして目立つ事を嫌い、先生に目を付けられないよう発言をしない。それが名門中学(ここ)の真相だ。

(俺達は、それを望んで入学したのか。)

俺は、煙草に火をつけた。

大人なんて。

少年、少女には、何があったのでしょう。

これは彼らの人生の一部に過ぎません。

そして、今回はあえて、隠す事にチャレンジしてみました。重要なのはあなた達の想像力です。

質問等あればどうぞ。


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