鈍感宮君。
「僕は、周りと違うことがしたい。皆が馬鹿にするようなことでもいい。馬鹿になって楽しいことがしたい」
「宮…君?」
「中学の時みたいに、周りに合わせるだけの毎日から逃げたいんだ、僕は…」
とにもかくにもひとつ言っておきたい。
ここはそんなに重要な意味が込められているわけでもなく、さしてパッとした部ではない。
私が、私のためだけに作ったような部だ。
馬鹿でおっちょこちょいだが成績だけは優秀な私だから、先生方もこの部を承認してくれている。
…あと費用がかからない。
「なによ…この先輩と一緒にいることが楽しいっていうの?!」
さして会話をしていない後輩からなんだかひどいことを言われた気がする。
「うん、楽しいよ」
すごくピリピリしている幼なじみを前にして、揺らぐことなく宮君はそういった。
「だって先輩って学年主席なのにドジで、全然そんな風に見えないんだ。みてて、楽しい」
「えっ?!なんで学年主席なの知ってるの?!」
「やだなぁ、先輩。常に満点を取り続ける偉業をこなしている人なんてなかなかいませんよ。既に一年の間でも周知の事実ですし」
そうだったんだ…。
「もういいっ!宮君のばかっ!!しらないっ!」
爆発すればいいんだー!と叫びながら彼女はこの部屋を出ていった。
可愛い見た目に反して中身は結構ツンツン尖っていた。
…ということがわかっただけで終わった。
あぁ、あとは。
ふいに真っ赤になった顔や、妬むような視線を思い出す。
うん、十中八九当たっている。
彼女が、宮君に想いを寄せている事もわかった。