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僕にとって。
『それじゃあ今日は解散ね!』
『え、どうしてですか?』
『見なきゃいけない番組がたまってるの。それじゃ!』
こんな感じで先輩はドアに激突してから飛び出していき、僕は取り残された。
あれも青春のひとつなのかな…?
いまいち定義がわからないが、僕の思う青春は、どんな形であれキラキラしている瞬間のことだと思う。
…僕は変わりたかった。
みんなに合わせるだけで楽しくない生活を送っていた中学の自分を、変えたかった。
自分も相手も楽しいって思えることがしたい。
「先輩となら、できそうかな」
ここに来てからの先輩を思い出して、笑みをこぼす。
みているだけで先輩は面白かった。
あの人と一緒にいたら、きっと変われる。
根拠のない確信が持てるほどに、僕は先輩に惹かれていた。
この一度しかない毎日を、キラキラしたものにできたら、きっと、両親とは違う人生を歩めるに決まっている。
「あ、そうだ。あいつも誘ってみようかな」
先輩だって、部員は多い方がいいと思うし、誘ってみよう。