おばか
「それで、あの…」
「ん?」
「教えてくれるんです、よね…?」
教える…?何を…??
頭の中の整理ができない私は、まだジンジンと痛む頭を抱えていた。
すると、戸惑ったように彼は話を続けた。
「えっ、部活紹介の時に、活動内容は部室に来たら教えてあげようって言ってましたよね?!」
…そういえばそんなことを言った気もする。
倒してしまったパイプ椅子を立ち上げ、私は再びパイプ椅子へと座った。
座ったことによって何か思い出せる気がしたが…それは気がしただけであって何も思い出せない。
そもそも部活紹介なんぞで人が来るとも思ってなかったから、その場凌ぎで適当なことを言ったということしか覚えていない。
「ごめん、適当なこと言ったからおぼえてないや!!」
「てへぺろって顔をしないでくださいよ?!」
「活動内容ねぇ…まあ、とりあえずそこに座りなよ!」
「なんか…誤魔化してませんか?」
「いやいや、そんなことはないさ!まずは座って落ち着いて話そうと思ったんだよ」
大嘘です。
活動内容なんてものを説明する機会が来るとは思っていなかった故に、どうもうまく言葉がでてこない。
とりあえず座らせて、自己紹介させて…よし、時間稼ぎになるな。
「まず、名前を聞いてもいいかな?」
「先に質問したの僕なんですけど…やっぱり誤魔化してません?」
…まずい。
この子…デキル!!!
単に自分が馬鹿だということすら忘れ、私は彼に翻弄されていた。
「かっ、活動内容!それは、もちろん…」
「もちろん?」
えーい、こうなればもう知らない!
どうとでもなるがいい!
さあ行け!動くんだ、私の口!
あとは任せた!
「青春を自ら謳歌し、他者の青春の手助けもする部活だよ!!!」
「は、はぁ…」
…よし、やりきった!!!