序文
基本的に奇数日(1日、3日、……31日)に次話を投稿しています。
諸君。俺は動物が好きだ。
犬の肉球が好きだ。
猫の耳が大好きだ。
フサフサのお腹になど心が躍る。
諸君。俺は女の子が好きだ。
二次元の白いうなじが好きだ。
三次元の太ももが大好きだ。
大小問わず乳の中で死ぬと決めている。
恐れるな。
嗜好は人それぞれだ。
顔をあげろ。
前方を見据えろ。
そこに悪ガキから仔犬を必死で守る女の子がいるじゃろ。
よろしい。
ならば戦争だ。
「ありがと、おにぃさん」
「気にするな」
寒く薄暗い冬の夕暮れ。通っている高校からの帰宅途中だった。
路地の奥でいじめられている光景を見た俺は、狭い通路の壁を蹴ってガキどもを飛び越え、うずくまった少女を庇う位置に着地した。
そして少女に投げつけられていた石をガキ大将っぽいやつに蹴り返す。それだけで相手は怯んだようだ。
捨て台詞を吐いて逃げるガキどもを見送ると、小さくなって震えている少女を立たせた。
腕中にいる仔犬は、彼女の手を舐めている。守ってくれた感謝のしるしだろうか。
「おい。どこか痛いところはないか?」
「ううん、だいじょうぶ。いたくないよ」
「そうか。見たところは大丈夫だな。無理はするなよ」
冬服のコートを掛けてやり、頭をなでると少女は気持ちよさそうに目を細める。
手の中の仔犬もクゥンと啼いた。
見かけは10歳あたりか。
黒髪のおかっぱ頭に目鼻が整った顔立ち。
将来は結構な美人さんになりそうな顔つきだ。
優しそうなイメージに似合った緑の半袖ワンピースも趣味がいい。
女児は至宝。これが分からぬとは彼奴らもまだまだ未熟というものよ。
「おにぃさん、かっこよかった。おなまえ、なんていうの?」
「俺は九頭龍仁。苗字が『くずりゅう』で、名前が『じん』だ」
スマホを取り出して漢字を見せる。少女は難しそうな顔をしていた。
無理もない。
「じん。かべを、はしってきてくれた。ひーろーみたいだった」
壁走りでひとっ飛びに彼女のところまで行ったが、どうやら伏し目に見られていたらしい。
ま、いいか。目を輝かせてキャッキャッとはしゃぐ少女を見るのは気分がいいからな。
俺の家柄は代々続く忍者の家系だ。
今は都会に出て学校に通っているが、日々訓練は続けている。
壁走りができたのはそういう理由でござる。ニンニン。
忍者なんて現代にいないと思うだろう。
しかし、アメリカのCIAやイギリスのSISなど、現代にも忍者と同様の職を持つ機関は存在している。
それの日本版ってだけだ。
そういう人種は、普段は道理や慈愛を重んじることが多い。
日常的に騙しや殺しを行うが故の、良心の呵責ってやつだ。
決して邪な気はありません。多分。
「じん、たすけてもらった。おれい、なんでもする」
HAHAHA。女の子が簡単に何でもするなんて言ってはいけない。
俺よりも大きなお兄さんにハイ○ースされるかもしれないよ。
「いいよ。なんでも、ほしいものをいって。ほしいせかいをいって」
紅色と黄金色の瞳が見つめる。
小学生に『イってイって』言われるとぞくぞくするね。
ま、欲しいものをあげるってのは、よくある小さい子どもの話だ。
乗ってあげるとしよう。
そういえば、以前夢に見たことがあったな。
動物と女の子がいっぱいいる世界。
うむうむ、そんな世界があったら楽園だろうな。
「わかった。それが、おにぃさんの、のぞむせかい、だね」
「ん。そういえば俺は喋ってな
「いってらっしゃい」
ニヤッと笑った彼女。
その瞳がグルンと蠢き、紅が蒼になる。
黄金は白銀に。
夕焼けは朝焼けに。
暗い地面は眩しい雲に。
そして世界は反転した。
俺は落ちた。
R-18小説の方も投稿始めました。
「異世界の女どもを、自我を残して操れる術を手に入れた。」
1話完結式です。
お子様やハードなものが苦手な方はご遠慮ください。