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マリアノツルギ  作者: 由岐
プロローグ
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眠りは異世界への誘い

 特に派手でも珍しくもなんともない。地味で平凡な俺の人生は、ただゆっくりと終わりに向かって進んでいくのだと思っていた。



 今日から俺、吉田松成(よしだまつなり)は高校二年生になった。

 二年になったといっても、選択科目は前のクラスの奴らとほとんど変わらず、教室の中は見知った顔ばかり……のはずだ。

 部活が終わり、学校から帰った俺は足早に自室に閉じこもった。

 いや、別に家族仲が悪いとかひきこもりというわけじゃない。静かにゲームがしたいというだけだ。リビングだと兄ちゃんがテレビ観てるし。

 同じ部活の友達から借りたゲームを早速プレイしてみる。

 まあ、このゲームはテレビを使わなきゃいけないからどの道自分の部屋でやるしかなかったが。兄ちゃんが俺にテレビを譲るなんてことはありえない。

 俺はひとまず説明書を読んでみることにした。


「へぇ……仲間は女性キャラクターばっかりなのか」


 詳しい内容はほとんど聞かされないまま、いきなり「そういえばお前にオススメのゲームがあるんだ。マリアノツルギって言うんだけど」と渡されたから、どの辺が俺にオススメなのかわからなかった。

 だけど、今ようやくわかった。二次元女子がたくさん出て来るゲームなら大好きだ。ありがとう同志よ。


 説明書をめくっていくと、どうやら主人公の外見や職業は自由に決められるらしい。魔術師とか剣士とか、ファンタジーゲーム定番の職業が選べる。その中で一つだけ、見慣れない職業があった。

 何だ、この「マスター」って。

 職業一覧のページを見てみると、どうやらこのマスターという職業は、通常一人しか連れられない仲間が三人も連れていけるらしい。

 代わりにステータスやスキルはあまり上がらない。その分仲間を上手く育てるのが鍵だそうだ。

 自分が弱くなるのと引き換えに、女子三人を引き連れる。

 うーん、悩むけど魅力的すぎる。ハーレムじゃないか。


 友達は剣士でやって、仲間をヒーラーにしていたらしい。攻撃技と体力が多く、魔法攻撃に弱いからヒーラーに補助魔法をかけてもらって戦っていたとか。仲間は自動で戦うから、しっかりサポートしてもらうには信頼度を上げなければならないらしい。

 仲間はストーリーを進めていくと一人ずつ増えていき、主人公が死ぬとゲームオーバー……

 マスターキツくないかこれ。ステータス低いんだよな。序盤かなりキツいよな?

 とりあえず、マスターでやってみるか。詰んだらまた最初からやれば良いし。

 さて、設定しないとな。主人公の性別は……って、このゲーム男主人公しか選べないのか。ざっと顔や髪型を一通り確認する。


 せっかくのファンタジーゲームだから、髪は黒だけど目は赤で中二感を演出。身長はまあデフォルトより若干高めに。

 声と顔は雰囲気良さそうな感じでいこう。名前は……そうだな、松成の松からとってショウ。そして職業はマスター。



「こんな感じで設定完了っと!」


 スタートボタンを押すと、主人公が決めポーズをとって画面が暗転する。

 いよいよ始まるぞ、と思ったその瞬間、急に強い眠気が俺を襲った。まだゲーム全然始まってないのに、いきなり寝落ちって何なんだよ俺。

 どうにかこうにか起きる努力をしようと目を擦ったり、顔を叩いたりしてみたけど一向に眠気はなくならない。

 俺は諦めてゆっくりと意識を手放した。



 

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