表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毒デレ!  作者: くらげなきり
77/86

一度決着つけとくべき、だよね!






「にしても…俺、魔王化進んでたらしいのに…なんで黎明が元に戻ってんの…!?」

『…さあ? 詳しくは分かんないけど…さっき神子の神気が凄い勢いで弾けたよね? その時の神子の光魔力が、神気に宿って将也の…魔王の素質を圧迫して縮小させたのかも…。今も、巨大な光の魔力に覆われてるようなもんだし』

「………俺って…本当…周りの人たちに支えられてるんだよな……お前を着てるのも、関係してんだろ…?」

『……多少はあるだろうね…』


ノーマルに戻った黎明を握り締める。

陸と、トリシェと橘…俺の魔王化は、いっつも三人のおかげで完全覚醒には至っていない。

包み込んでくれる…暖かくて優しい光の中…俺は幸せ者だなって思う。

本当は、本当はさ…ゆー兄が羨ましかった。

那音姉とトリシェの光の加護に守られ、魔王の素質を消失した…その境遇が。

俺はそんな風に守ってくれる人が居なかった。

だからこんな事になったんだって…実はずっと思ってた…。

でも…トリシェはちゃんと俺の事も気にしていてくれたし、陸も俺が魔王化しないように神域へ下宿を提案してくれた。

正直橘が光属性ってのが大分意外だったけど、現在進行形で物理的にも守ってくれてる。


「…陸が俺を下宿させ続けてくれたのも…俺の魔王の素質を抑える為だったのかな…」

『そうでしょ。結果的に勘違い男を増長させる事になったっぽいけど』

「とてもうるさいです」



しかしずいぶん、地上から離れたな。

創世の女神は疲れたのか…唸るばかりで暴れなくなっている。

…陸はどこだろう…?


「? なんだあの穴…?」

『…篠崎遥の匂い…。…多分、篠崎遥が魔法でぶち開けた穴だ。…あそこから入ろう』

「は…入るの?」

『入んないの?』

「……は…入るのか…」


篠崎先輩が入ったんなら…入るしかないか……。

まるで植物みたいな根がゆっくりと穴を塞ぎつつある。

迷ってる時間もないから諦めて穴へ飛び込む。



「うわ…」



中は空洞…。

薄黄緑色の体内は脈を打ち、あらゆる方向へ根が張り巡っている。

なにこれキモ!

植物が生きてるみたい…!


『精神体が植物の細胞を間借りしているのか…厄介だな…』

「…厄介なのか?」

『創世神って、生命力の塊みたいなものだから…生命力が強い植物と合体って再生力が半端ない。…もう穴もなくなったしね』

「…っ」


橘の言うとおり入ってきた穴はもうない。

脈打つ根が気持ち悪い。

とりあえず上か下か…どっちに行くべきか…。


「どっちだ、橘」

『上。膜、見える?』

「…ああ…」


薄いクレープ生地みたいな膜が見えた。

小さな穴が消える直前…、という事は…篠崎先輩が通った後って事か…!

飛び上がって、黎明で膜を破ろうとした。

でも、傷一つつかない…!?








「なにこれ…!?」

『結界だ』

「…っ…薄いから簡単かと思ったけど…そうはいかないって事…! なら…!」



魔王化、第一段階解禁!



黎明が魔槍と化す。

練習では一度も出来なかったけど…今なら…!!


「うおお!」


黎明で斬りつける。

スパッと綺麗な切れ目。

すかさず、切れ目から中に入ると…瞬く間に切れ目が消えてしまう。

…は…早! 戻るのむっちゃ早…!



「…!?」



…そして、その空間に佇む人影。


双刀を構えた、時影さん…。



「………やはり、来てしまわれたか」


「………やっぱり、時影さんは陸を見捨てるんだね」


「否。…某は神子様がお役目を果たされるのをお守りする。邪魔立ては許さぬ」



…そんな気はしていた。

この人は、陸の全てを守ろうとしていた。

陸の絶対的な味方。

陸がやると言った事を、決めた事を守る。

俺と違って、抗ったりはしない。

咎めたりもしない。

受け入れ、受け止め…側に添う。


『…? 状況が分かんないよ、将也』

「武士ってのはさ…主君の為に命をかける人種なんだ。…陸がやるって決めた事を、達成出来るように手伝うんだって」

『…は? え…意味わかんない。…だって神子、死ぬかもしれないんだよ…? 騎士なら止めなきゃ駄目じゃん』

「武士と騎士は似てるけど違う。…死を美徳みたいに考えてるのが武士。負けて生き恥を晒すくらいなら潔く死ぬってさ」

『はあ…!?』


橘が珍しくがちでびっくりしてる。

…まあ、ですよね…。

…でも、そんな気はしてたんだよねぇ。


「…なにを一人で喋っている?」


「残念、俺が着てる服、橘なんだよ。武装モードっていってさ、ケルベロスの鎧毛、借りてるんだ。…橘と喋ってんの」


「…幻獣…ケルベロス…」


「そう……神に連なる王たる獣…幻獣ケルベロスの鎧毛。王苑寺先輩製のバイオキメラの威力は俺も知ってるけど、神器も防いだケルベロスの鎧毛を傷付ける事は出来るかな?」

『…あのさ…妙なチャレンジやめてくれる…? 王苑寺のバイオキメラって純粋な破壊力に特化した“兵器”だろ…? 俺まだ禿げたくないんだけど…』


…まー…なんとかなるんじゃないでしょうか?

…と…無責任に言うのは避けます。










「…侮らないで頂こう」


「…!?」


「…斬れぬモノも斬ってみせよう…」



………………気迫。

今まで対峙したことのある…誰よりも凄まじい気迫…。

支水さんの威圧とも、支配心の圧力とも、ゆー兄の圧迫感とも違う…。

肌がビリビリするような、けれど、どこか清々しく…絶対に譲らないというピンと張り詰めたような…そんな感じ。

陸の為に刀であり続けると言った、時影さんらしい空気。


しかし…構えた姿に、見覚えがある。

あの構え……でも…まさか…?



「……その構え…真影月牙流…?」


「…存じていたか」


「いや…ゆー兄と梅松さんと同じ流派…だから…」


「………」



梅松さんちは剣道の道場。

流派発生は戦国時代まで遡る…とか、小さい頃連れてかれた時に聞いた記憶があるが…へぇ、まさか時影さんと同じとは…運命っておっかねぇなぁ…!

遠回しにゆー兄とも戦うような気分。



「…将也殿」


「…なに」


「…引き返す気は?」


「ない」


「…では…」



一層、腰を落とし…刀を水平に構えた時影さんの気迫が増す。



「峰山陸が家臣…真影月牙流、柏葉真一郎時影…参る…!!」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ