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毒デレ!  作者: くらげなきり
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せっかく両想いに、なったのに…。






「おい、こら将也」


「ぎゃー!?」

「!?」



陸をギュッとして、さて、このやるせない真実にどう言って陸を慰めようかという…まさにその時です。

背後からゆ、ゆー兄ぃ!?


「な、なななななんでゆー兄!?」


思わず時計を見る。

あ、九時半…まだ夜時間じゃ…って、違う。


「……」

「……」

「……」

「……………、…妙なことをするなと言ったよな…?」

「は…!?」


…気付いた。

俺は今、泣きじゃくった陸を抱き締めている。

泣きじゃくった陸を(ここ重要)

抱き締めている(多分ゆー兄的にもっと重要)


「違うよ俺別に陸にえっちな事して泣かせた訳じゃな…っ!」

「黙れ」

「……あ…う……、…お…俺…あの…」

「何か言い残す事があるなら聞いてやる」

「…………り……陸の入ったお風呂のお湯飲んでごめんなさああああぁぁっ!!!?」




アイ・アン・クローーーーーーー!!!!!!

(※優弥お兄ちゃんの平均握力は300です)



「ゆ、ゆーやさ…将也が死んじゃうぅ!」


「…将也殿…」

『あいつあれで『オールジャパン・ベストアイドル賞 男性の部』にノミネートされたっつーんだから…世の中謎だよね…』

「……風呂の湯か…その手があったとぁ…!」

「そ…空殿…?」

『………(…恋人には親に似た相手を選ぶというけど…神子殿………)』




後頭部踏み潰し!

顔面蹴り上げ!

首締め上げ!

からの!

一回転宙投げ!

鳩尾への右ストレート!

からの!

背骨への肘打ち!

腹部への膝蹴り!

からの!

顎へのアッパーフィニッシュ!!



「……………………………」

「将也! 将也、大丈夫…、じゃないよね…ああぁ…い、今治してあげるからしっかり!」

「神子殿甘やかさなくて良い! 変態は甘やかすと図に乗る!」

「そ、そんな事ありません! 俺がちゃんと将也に構ってあげなかったから…」

『!? 神子殿どんだけ女神…!?』

「ほなら俺にもちゃんと構ってぇな陸!」

「黙れ変態!」

「なんで!? なんでそないにお父さんには冷たいん!?」

「…それで優弥殿、神子様に用とはどういった…」

『マイペースだな時影…!』


陸が俺に治癒術をかけてくれて、全身から痛みが引いていく。

うへへへへへへ…陸ぅ…どさくさに紛れて膝に乗っちゃう、俺。

………はぁぁ…夢にまで見た陸の膝枕ァ……!!

へへへへぇ…す~りす~り…。



「ふごふぅ…!?」

「……どさくさに紛れてなにやってる…? どうやら全く反省していないらしいな…」

「… … … …」


バ…バレた…!

せ…背中に凄まじい圧力…!

こ、殺される…!!








『で、実際ゆーやはなんで来たのー?』

「…昼間に買った服を届けに」

『…律儀な…』

「ぅわ、取りに行くの忘れてた…! ごめんなさい!」

「いや……那音が勝手に俺の服まで買っちまったわけだし…俺が届けにくるのが道理かと……」

「ゆ…ゆー兄……」



相変わらず律儀な人だよ…。



「あと、神子殿が神殺しと結婚したとか言うからどういう事なのか確認も兼ねて」

「情報早ぇな…!? 身内しか知らんはずやぞ…!?」

「俺にも贔屓の情報屋が居る。…そいつに聞いた。…もうかなり出回っていたぞ」

「嘘やろ…? …なんで?」

「…八草沙幸にも敵は少なくないからな……嫁が出来たなんてそりゃ、いい弱味かと思うはずだろう。実際まだ夜時間でもねーのに、この付近で顔の知れたのに何人か会った。…俺がたまたま来たのも、もうそれなりに情報として出回っているはずだ」

「………」


…贔屓の情報屋…………あ…、あせびさんか……。

俺には情報回してくれなかったくせに…。


「……で、実際のところはどうなんだ」

「……入籍…しました」

「何故?」

「…本家の祖父が…沙幸に俺の戸籍を売ったから…」

「……。…意図が読めない…神子殿を戸籍上妻にして、奴になんの得がある…? …いや、先見の力は…確かにそれに足る理由にはなるが…あの男の権力なら、わざわざ戸籍を握る必要はないだろうに」

「力ずくで攫う必要がなくなるから…ではないのでしょうか…?」

「なら何故もっと早くやらなかった? 女は16歳から結婚出来るだろう?」

『神子殿、今17歳だもんねぇ』

「…は…はい…」

「…最近思い付いたとかやないん?」

「あの男に限ってそれは無い。…結婚する必要が出てきた……あるいは時期を見ていたか…?」


…ゆー兄…情報早いだけでなく、いきなり分析…!?


「…あの…優弥さん……どうしてそんな事を…?」

「………。…俺は神子殿に、将也を選んで欲しい

「……え…」

「……は…?」

「…将也は馬鹿で変態でアホで家事も出来ないただの愚弟でしかないが…それでも俺の弟だ。将也が命を懸けても良いと言った君に任せたい。…なにより君の気持ちもちゃんと聞こえた…、…なら、それ以上の理由は必要ない」

『…ゆーや…』

「ゆ…ゆー兄………」


言いたい放題さすがです…!

けど…目頭が熱くなる…。


ゆー兄…ゆー兄が…俺の味方を…!








「……正直、どうしてこんなアホをと………疑問を拭いきれないが……!!」

「ゆー兄…! ひどい…!」

『……顔? 他に考えられねぇが…神子殿が顔で男を選ぶなんて…』

「トリシェこの野郎…!」

『でも顔なら王苑寺の方がいいよねぇー』

「う、うるせぇしっ…!!」


ひ、否定はしませんよ…!

王苑寺先輩ガチで格好いいもん…!

素直に俺はあの人に全て負けていると、宣言出来ますよ…!!


『金もあるし、背も高いし、顔もイケメンだし、頭もめっちゃいいし…、……神子殿今からでも遅くないから王苑寺にした方がいいんじゃね?』

「……、……将也が、いいです…」

「………」


とりあえず陸の前に正座しました。

治癒してくれていた手を握り…。


「今日、一緒に寝よう」

「え、あ…なっ、………ひっ!?」


グシャっていった…俺の顔。

っていうか飛んだ俺の身体。

居間の襖を突き破り、お外の積もった雪に突き刺さる…俺。


「…ぶ…げほ……!」


ゆー兄ひどい…!!

…セクハラ言った俺が悪い自覚はあるけどぉ…!



「…真面目な話、八草沙幸との結婚をどう思っている?」

「……、…分かっていた事ですから…。…戸籍を押さえられる…俺にも、誰にもどうする事も出来ない事…だったから…」

「…その訳は?」

「え?」

「見えているんじゃないのか? 八草沙幸が君の戸籍を押さえた訳…」

「………」


うう…ゆー兄ひどい…。

俺アイドルなのに…顔面マジ蹴りとかどんだけ鬼畜…?

お庭からすごすご戻っていくと、悲しい顔をした陸と目が合う。



「……矜持神の器を…俺に産ませる為です……。…那音さんには…貴方と神楽さんが付いていて、動く器のない矜持神には手が出せない…。…一時的な神代の沙幸は女神イブに一切興味もない…、だから…」

『高位霊力者の神子殿から、高い魔力を宿せる器を産ませるつもりなんだね』

「…はい……元々巫子とは神をその身に降ろし、交わる事もあった職種……うってつけといえばうってつけでしょう」


そう言って眼を伏せる陸。

…陸に…矜持神の器を産ませる為に…陸と結婚した…ってか?


………あ…あの野郎…どこまで…!!









「…という事は、近い内必ず接触があると見ていいな……」

『…あのー…優弥…? 物騒な事とか考えてないよね…?』

「…トリシェ…八草沙幸はお前を狙う支配神を持っている。それに、那音が生まれた時にお前が戦って退けた神っていうのは、その矜持神なんだろう?」

『…そうだけど……、いや…いくら半神半人になった今の君でも、奴らを同時には無理だよ!?』

「別に俺一人で戦ったりはしないさ」

『……でも…神楽だって今、半分の力しかないのに…』


不安げなトリシェに、ゆー兄は笑む。

なんか自信満々に…。



「…なにしろ矜持神の奴は少々余所の世界でおいたが過ぎたらしいからな」

『…へ…?』

「無限境界の秩序を乱し、理をねじ曲げようとする者を絶対に許さない猟犬に、奴は睨まれていたんだとさ」

『………まさか…!』

「………」


秩序と理を守る事を司る、番犬…。

そういえば……この世界には…普通では考えられない数の、彼らが居る…!




「…八草沙幸が矜持神を抱え込んでいるんなら…黙ってねぇよ…。多分、間違いなく動かせる…! 神楽の上のケルベロス…一桁台の、上級上位兄をな…!」










余談。





優弥「…それにしても……神子殿が女の子だったとは…。さっき男のハズなのに八草と結婚したって聞いて…本当にびっくりした。微塵も男と思って疑ってなかったからな…」

トリシェ『そーいやー、優弥は神子殿が女の子だったって知らなかったもんね。……そりゃビビるよねぇ…』

優弥「あ、そうそう、服、全部返品して新しいの買い直しておいたって那音から…」

将也「本当だー…レディース服になってるー……」

トリシェ『律儀な…』


陸「?(そういえば優弥さんが持ってきたあの紙袋、なんなんだろう…? …お菓子かな? お茶入れてきた方がいいか……お客様だし)」


将也「…でも、そうだよね…びっくりするよね……俺もあの朝まで全っ然思いも寄らなかったもんなぁ…。可愛いのに勿体無い! って…思ってくらい…」

空「……父親として娘が全く野郎と疑われん云うんは複雑やわ…」

時影「し…心中お察し致す…」

将也「時影さん、いつから知ってたの?」

時影「……………某、神子様の禊ぎ中にこの時代に来た故…その……その時に…なんと申せばよいか……」

将也「……………やっぱ時影さんとはいっぺん決着つけとくべきだよね…」

時影「お望みならお相手致す」


陸「家の中で喧嘩はするなよ、お前等。叩き出して熱湯ぶっかけるぞ」






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