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毒デレ!  作者: くらげなきり
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彼の生き様は刻まれた…!





「で、お前、陸とどこでどうやって出会って、なんで好きになった? どこが好きなんだよ?」

「いきなり!?」

「良いから吐け! お前のぬいぐるみの頭にシュークリーム被せるぞ!」

『酷いとばっちりなんだけど!?』

「む、酷い…!?」


想像すると一際でかい頭がシュークリームと化し、シュークリームの頭に身体がくっついてチョロチョロしている図…。


「ぎもぢ悪…!!」

『それどういう意味の…?』


勿論、ぬいぐるみとして終わっているのと、甘い物だから、である。


「…で、どうなんだ?」

「…陸とは…普通に学校で、ですよ。…陸は一年生で割とすぐ生徒会に勧誘されレアキャラで有名人でしたから…」


あと地味に1―A(陸のクラスだよ)可愛い系三人組の一人でも有名人だったしね。

…学年でも真宮兄と同じく、男のくせに可愛いと定評があり…しかし真宮兄とは違い、生徒会役員…うちの学校では秩序そのもの…の一人として、高嶺の花だった。

告白する奴は絶対に居なかっただろう。

…何しろ…生徒会役員なのだ…!

当時の生徒会長、真壁懐先輩や副会長、司藤由先輩…経理、蒲田友和先輩や会計、有栖川朔夜先輩………彼らの名を知らぬ生徒はいない!

入学した俺たちは、入学式のその場で覚えさせられたのだ。

中でも真壁先輩に直接、生徒会に誘われた陸は…二、三年から一目置かれ、一年からも微妙な距離を置かれる事となった。

無理もない…あのメンバーの中に、入学して早々仲間入りしたのだから…。

陸に手を出す輩は司藤先輩に燃やされ、蒲田先輩に切り刻まれ、有栖川先輩に呪われる。

…生徒会役員は、王苑寺先輩と同等の実力者揃い…と言えばその恐ろしさが分かるだろう。

三年の真壁会長と司藤副会長が辞めた後、書記だった陸が会長になり俺が書記、王苑寺先輩が副会長として参入したが…それでもメンバーの恐ろしさに変化はなかったわけで……。

むしろ王苑寺先輩まで懐柔した陸には崇拝者まで現れる始末。

…有名人なんだよ、本当にね。

本人どこまで知ってたか知らないけど。


「ふーん…まぁ、真壁会長は色んな意味でアレな人だったもんな…。ソッコー陸に眼ぇ付けてたのは知ってたが……確かにあの真壁会長に眼ぇ付けられてる時点で、有名にもなるかー」

「………」



抽象的過ぎます、片森先輩。

…言いたい事は分かるけど…!!








「…で?」

「…あ……その…最初は友達でした。…けど、一年の夏休みの時…俺、八草に襲われてた陸を助けてあげれなくて…陸、すげぇ酷い怪我して……。なのに、逆に俺の方が…慰められちゃって……俺、今度こそ…守ってやろうって思って…」


結局、命懸けでやっても守り切れたとは言い難かったけどね。

…橘が来なければ俺は多分、死んでいたし。


「…そんな頑張り空回りしている俺を、泣くほど心配してくれた優しいところとか…誰かのためにプリプリ怒ってるとことか…見ただけで世界中の色が全部変わっちゃいくらい可愛い笑顔とかが…死ぬほど好き」


例えばさっきの「流しに持ってっとけ!」とかマジ可愛いよね…!!

天使…!


『一応付け加えると…もうこいつ本当に病的に神子殿にハマりきってるよ。…正直怒られて悶える姿は、引いた』

「え!? なんで!? だって可愛かったじゃん!?」

「……。……はぁ……」


トリシェはやっぱり引いてたらしい。

あんなに可愛かったのに…。

片森先輩の深い溜め息。

…片森先輩にも、引かれた…?



「俺の癒しに男が出来たなんてぇぇぇぇぇ…!!」

「・・・」

『・・・』




…………………、…………………?




「テメェ! 俺の可愛い妹で弟で娘で息子な陸が…そんなに好きか!? アァ!?」

「いきなり逆ギレ!?」

『…しかもなんか色々兼任させてるし…!』

「好きなのか!? 陸がそんなに好きなのか!? 言えやゴルァ!?」

「す、好きです!!」

「ちくしょぉぉぉぉ…!! 俺の癒しがぁぁあっ!」


…か…片森先輩が壊れた…。

陸が癒し系なのは知ってるけど……、か…片森先輩、陸の一体なんなんだよ…!?

妹で弟で娘で息子って一体どういう状態!?

…がっくり項垂れ、両手を畳に付ける片森先輩…ガチ落ち込みだ…!


「……産まれてこの方……CAの長女、弁護士の次女、南雲体育教師の三女、空手のインターハイ三年連続優勝の四女…、そしてキャリアの女警察官である母…!! …恐ろしい女たちに虐げられ、肩身狭い思いをしながら父さんと二人三脚…頑張ってきた…! 甘い物を献上すれば殴られないし暴言も止まるから…お菓子作りの腕を上げ、気付けば跡取り道まっしぐらになっていた…! そんな俺の唯一の癒し…! それが陸!!」

「…………」

「…そんな陸に…男…!」


…泣き出した…。








いや…だがしかし…、な、なんという惨たらしい家庭事情…!

考えただけで心が引き裂かれそうだ…!

露姫さんみたいな女が五人…!?

しかも家族…逃げ場なんかあるわけもない…!

そんな生活…俺なら自殺ものだぞ…!?


「……もうこうなったらダメ元で…栗原姉に告るしか…」

「え?」

「いや…だが、栗原妹は魔女とまで呼ばれる情報屋だし…! 双子だから見分けつかねーし…! うっかり間違って栗原妹に告ったらまず命がねぇし…! そもそもあの双子、王苑寺の幼なじみらしいし…! 下手したら王苑寺まで敵に回しかねないしー!」

「か…片森先輩…?」

「………ふ……短い人生だったな……」

「いきなり人生諦めないで下さい!!」

「しょーがねーだろ! 陸…俺の癒しに男が出来たんだから! ちくしょう、全部お前のせいだぁぁっ!」

「ごめんなさいぃぃ!?」



なんかものすごく理不尽を感じるけど事情が事情だから素直に殴られます!

眼を閉じて衝撃を待つ…が、一向に来ない…。

…恐る恐る眼を開けると…片森先輩が肩を落として手を下げた。


「…約束しろ…陸を絶対に幸せにするって」

「……、…はい」

「…あと俺に女の子紹介するって…、…お淑やかで可愛い子」

「………。……、……はい…」

「…や…優しくしてくれる……可愛くて…清楚な…っ……優しくしてくれる…!」

「わ…分かりました…! 必ず紹介しますから…! だから泣かないで下さい、片森先ぱーい…!!!!」










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