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毒デレ!  作者: くらげなきり
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道守の皆さんにご挨拶します。



「小野口くん、ちょっといいかな。りっくん、何で学校に来ないのか知ってる?」


「………」



一週間、眠りこけた翌日…月曜日だったので学校に行くと陸の親友、真宮楽都が仁王立ちで現れた!


①笑って逃げる。

②爽やかに逃げる。

③ダッシュで逃げる。



②「……、…本人に聞いたらいいんじゃないかな。俺この後仕事があるんで、じゃっ」

「…………」



……陸は、今年三月に学校辞めるって言ってた。

理由は…陸があまりにもたくさんの組織に狙われているから、学校に通う事が困難になった為。

俺は仕事で休んでて知らなかったけど、冬休み前の時点で学校に妙な連中が入り込み、陸は攫われそうになったんだって。


…本当…陸は(当時の)彼氏の俺に隠し事が多過ぎだよね……心配させたくないって気持ちだけは喜びたいとこなんだけど。

…その日は(実は)超喧嘩強い真宮兄や、ブチ切れた王苑寺先輩、飛び込んできた時影さんや、元生徒会の有栖川朔夜先輩、同じく元生徒会経理の蒲田友和先輩が………まあ……相手がお気の毒に感じる程徹底的に放送出来ないような目に合わせて警察に引き渡したそうだ。

と…とりあえず事前に言っておく…うちの三年の先輩達は学園始まって以来の奇人変人変質者集団。

中でも元生徒会役員の三年である王苑寺先輩と有栖川先輩と蒲田先輩は…神様でもあった月科翔先輩に「ちょっと相手にはしたくないよね(爽やかな微笑)」と言わしめるくらい…人間離れした強さ。

蒲田先輩曰わく「俺だって、王苑寺や有栖川や野々垣や穂浪程人間離れはしておらんぞ!」…らしいが、普通の人から見たら三年ほぼ全員モンスターだから蒲田先輩も漏れなくモンスターだよ。


「待ってよ、小野口くん!」

「………なに?」

「…りっくん、お家にはいるんだよね?」

「……居るよ? …出掛けるとは、言ってなかったから…」


というか…多分陸は…出掛けられなくなっているのだ。

…俺もたまに、夜時間でもないのに陸を狙う連中と戦ったりする。

武装してる連中だったり、黒服の暗殺者集団っぽい連中だったり、やっぱ普通の不良より手強いんだけど…ま、魔王の俺の敵じゃないけどね!

輪廻の神子…峰山陸は……いつかの八草沙幸の言うとおり、様々な集団、組織、個人、国家から…狙われていた。

24時間…それこそ……世界中がまるで敵でしかないかのように。

…学校に通っていたらいつか、関係ない誰かを巻き込んで…取り返しのつかない事になるかもしれないからと……陸はそう言って目を伏せた。

だから俺も、陸が学校を辞めると言った事に、それ以上なにも言えなくなってしまった。

俺は時影さんみたいに24時間ずっと陸の側には居られない。

だって俺は…Ri-3の鳴海ケイトだから…。

泰久が戻ってくる場所を守りたい。

もう一度、三人で歌いたいから…。

…あと、陸のためにもちゃんと稼ぎたいし。









「待って」

「…俺、仕事…」

「今夜、夜時間に東区三丁目の公園に来て。…片森先輩が君と話したいって言ってたから…」

「…っ」








―――…その日の夜時間…。




「よ、来たな」

「…………」


夜時間、真宮に言われた通りの場所に来た。

その場に居たのは真宮と片森泉先輩と…誰?

赤と金のド派手なホスト頭と、濃紺のおかっぱ。

どっちもうちの学校の制服…ただし外交科だ(外交科はうちの学校だけど制服違うんだよ)


「早速で悪いけど、ちょっと楽都の奴を元気付けてやってくんねー? 陸に会いに行ったら侍の野郎に門前払いされたってめっちゃ落ち込んでんだよ……」

「え…それ俺に丸投げされましても……」

「…りっくんに嫌われたら…僕もう生きている意味が…」

「だ、大丈夫だよ真宮君…峰山会長は君の事を誰より大切な友人だって言っていたもの…。きっと本当にただの風邪ですって」


…日本語ペラペラだな、おかっぱの人。

そして真宮兄が俺みたいなコト言ってるよ…!


「…あの…それで、この面子は一体…」

「…あー、一応こないだの件とか聞いときたかったし…お前が何者で“どっち側”なのかも確認しとこーかと思って。八草先輩と戦ってたから、俺らの敵…ってコトはねーと思ってんだが……そこんとこどーなんだ?」

「は…はぁ?」


色々な説明んすっ飛ばされてんですけど…!


「その前に自己紹介をしましょうよ、イズミ。…初めまして、僕はカノト・シグリス、イギリスの留学生です。輪廻の神子の道守の一人なんですよ」

「……あ…は、初めまして…小野口、将也です」


イギリス紳士さすがです。

握手をすると、微笑まれる。

…うーん…外人だからこんなイケメンに見えんの?


「オレ様はファクタス・セイクリス。カノト付きの執事様だ」

「はい?」

「態度の大きなタダ飯ぐらいだから、あまり気にしないで。…一応、僕の家は峰山会長の家と同じ…麒麟の王と約束をした神誓の一族の末裔でね……親が僕一人での留学を許してくれなかったんだ…」

「………大変…なんですね…」

「うん…何故かね…」


…本当に、何故主の方が苦労しているようにしか見えないのだろうか…。


「……えっと…それで、その…片森先輩? でしたよね…片森先輩たちって…一体陸のなんなんですか…?」

「あれ、俺自己紹介したっけ? …まぁいいや…詳しくはカノトの方に聞いてくれ。俺はただ、困ってる可愛い後輩の為になんか出来る事があったから、やれる事をやるってだけだからな!」

「…………っ」


さ…爽やかキャラ…!

歯が光って見えた…!

こんな純粋な爽やかキャラがこの世にまだ存在していただなんて…!

目に曇りがないよ…! 下心が見当たらない…だと…!?










俺より年上なのに…あの可愛い可愛い陸絡みなのに…!

衝撃を隠せない俺に、カノトさんが「大丈夫?」と心配してくれる。

だ…大丈夫…多分………。


「……道守っていうのは名の通り…輪廻の神子の守護者の事だよ。輪廻…仏教では、六道という名称でも呼ばれるよね…その六つの道を司り、神子を守り従う者…それが道守」

「…陸の味方って事…ですか?」

「…本来はね…」

「……本来、は…?」


微妙な切り替えし…。

カノトさんは浮かない表情で目を逸らす。


「…さっき自己紹介の時も言ったけど、僕の家も神誓の一族の末裔なんだ。父からは「日本に生まれたシャーマンを手に入れて帰国しろ」と言いつけられている。…彼に出会ったのは偶然だったけど、今の僕の立場上…近付く事は出来ないよ…」

「………」


……陸……この人たちには女の子ってバレてないのか…。

え、いやそこ大事じゃね? 大事だよね?


「だからイズミ一人に、負担を掛けてしまっているんだよね…」

「いや、俺は別に。陸は可愛い後輩だし、守る約束は『時の神子』ん時からだしな」

「…はぁ…?」

「…で、お前は陸のなんなんだ?」


直っ球ー!!

……なんなんだ…って、そんなの…。


「弱味を握って恋人になったが結局振られてそれでも諦めきれず付きまとい行為を続けるアイドル顔の残念なストーカー」

「橘テメェいきなり現れて言いたい放題かこの野郎!!」


間違った事は言われていないけど、悪意に満ちた纏め方されてるー!!


「魔力回復したんだね。俺じゃ相性悪いから魔力譲渡出来ないし、心配ダッタンダヨ…」

「後半ものすごい棒読みだな! お前こそ寝込んだって篠崎先輩たち言ってたけど大丈夫だったのかよっ」

「…で、何してんの? 神子に近付くイケメン排除?」

「無視!? 本当に俺がただの残念な嫉妬深いストーカーみたいな言い方はやめろ!!」

「…だって将也に心配されるとか…気持ち悪ィ」

「俺の善意を今すぐ返せ!!」


絶好調だなこの野郎…!!

心配してマジ損した…!!


「………ストーカーなの…? お前…」

「ストレートに信じられたじゃねぇかぁ!?」

「神子と神子のお父さん公認ストーカーです」

「俺付きまといとかしてないもん! ちゃんとお仕事も学校も行ってるし、禊ぎ中も着替え中もお風呂も覗くの我慢してるしぃ!」

「…楽都…こいつ本当になんなんだ?」

「小野口くんはりっくんと同じ生徒会役員で…今りっくんのお家に下宿しているそうです」

「はぁ…!? それってつまり、陸と同居してるって事か…!? ……テメェ…まさか陸にいかがわしい真似してんじゃあるめぇなあぁぁ」

「してません!! 天に誓って、いや、ゆー兄に誓って、陸にも誓って、なにもいかがわしい事してません!」










たまにお風呂de遭遇作戦やったりするけど、基本的に時影さんに邪魔されたり陸に自衛されたりトリシェにぶん殴られたりして失敗するしぃー!



「……………」

「……………」



も…ものすごい疑いの眼差し…。

恐い、この人恐いよ…!

嫌だ…『生クリーム塗れの刑』の恐怖!!

だって俺は甘いものが苦手なんだ!!


「…そんな事よりさ」

「そんな事とはなんだそんな事とはぁ! テメェ…陸になにかしたら生クリーム塗れの刑にすんぞ!?」

「俺にそんな脅しは通用しない……食べ物、まして甘味なら、俺は全て平らげる…!」

「…………」


ああ…ケルベロスは甘味好きだもんね…。

甘いもん別腹だもんね…。

生クリーム塗ればっちこーい…だよね。

…しかし真顔かよ…!

こっちが頭抱えたくなるってどういうこっちゃ!?


「えっと…それで、ストーカーさん」

「ストーカーさんっていきなり犯罪者扱い!?」



カノトさんは良識人だと思ってたのにぃぃぃ!?



「君は峰山会長を…恋愛対象として愛しているの? メンズ同士なのに…?」

「…………」


…思わず頭を抱えて顔を逸らしてしまう。

……もう…俺、陸限定でホモになろうかなぁ……。

あれ、なんでだろ……目から水が溢れそうな気持ちになるのは…。


『将也』

「!?」


頭の中に橘の声が!

これ、篠崎先輩と同じ魔法!?


『驚くな。契約石を通じたテレパスだよ。…外国人組に神子が女っていうのは知られない方がいい。…手前の奴はともかく奥の派手な奴は信用出来る奴じゃない』

「………」


手前の奴…カノトさんはともかく…奥の派手な奴…ファクタス・セイクリスっつったか…。

ま、見るからに信用出来る感じじゃないよな。

橘が断言する辺り、カノトさん家の事情が絡んでるっぽいな。

空さんも「実家は敵」って断言してたし…。


「……ハァ…」



…さらば…俺のノンケイメージ……。



「……そうだよ、俺…陸が死んだら一緒に死ぬ。そのくらい、愛してる」









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