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毒デレ!  作者: くらげなきり
30/86

夢とか希望はあるものです。





「……神楽さんに相談して知恵を借りよう!」


弱ってるトリシェの力を借りたくはない。

かと言って、神様の世界とか俺にはよく分からない。

俺ってお利口さんな天才肌なんだけど、さすがに神様とか異世界の常識とかの知識は生活上必要はないので、ないに等しい…。

という訳で、トリシェより長生きしている神楽さんに相談するのが一番いい…と思うんだけど…!


「神楽ね…うん……無駄だと思うけどー」

「む、無駄!?」

「…ま、しないよりはしてみた方がいいんじゃない? 実際この世界で神楽より知識のある奴なんか………あ…」

「あ?」

「………将也、木吏っていうケルベロスに会った…ってメール寄越したよね…?」

「え? ああ…うん」


唐突に橘が話題をコロッと変えやがった。

そういえば前にメールを送って…それっきりだ。

王苑寺先輩の家に居たケルベロスっぽい子。

でも間違いないと思うんだよね、あの容姿…第三の眼に、あのケルベロス人型時の独特な民族衣装…。


「…神楽より木吏兄の方がいいかも。あの人の知識量は一族随一だもん」

「やっぱりケルベロスだったのか…」


なんで王苑寺先輩んちに?

接点まるで見当たらないんだけど…?

…すんげー甘党なとこ以外…。



「…そ、第16子。…上級上位兄の一体だよ」

「………………」



か………神楽さんの三つ下…?

上級上位兄って…30分もあれば六億人の人間を皆殺しに出来る魔力と力があるレベルのケルベロスなのに……そんなのが“あの”王苑寺先輩と一緒に居る…だと?


『お前等の一族どんだけこの世界に遊びに来てるんだよ…』

「木吏兄が来てるのは俺も知らなかった…っていうか多分神楽も知らないと思うよ。…むしろ木吏兄って外出るんだ、って俺初めて知った。…あの人、基本的に本の虫で書庫館から出てこないんだけど…」

『引きこもりか』

「そうそう。人間の世界から本集めて、保管するのが趣味な変人。ある意味神楽より変」

「…確かに…変な人だったなぁ…」


ケーキ食べながら本読んで、本に夢中になると周りの声なんかさっぱり入ってないような…。

ってか俺からすると神楽さんは普通のズレた天然さんだが…橘たちのご家庭で神楽さんどんだけ変人扱いされてんの。










「…で、木吏兄どこに居んの?」

「王苑寺先輩んち…ちょっと電話してみる」


時間はもう夜時間…正直王苑寺先輩の生活サイクルなんか知らないから、今何やってんのかさっぱり分からない。

一応呼び出しはしているが…出ない。

…出ない……出ないね…。


「出ない…」

「…もう寝てるんじゃない? 俺も眠ぃ」

「お腹いっぱいになったら眠くなるとか幸せな奴だなこの野郎! 陸の命と俺の幸せがかかってんだよ、しっかりしろよ!」

『なんか作ってんじゃないの? 科学者って一回集中しちゃうと一息つくまで他の事が全然気にならなくなるからねぇ』

「…なるほど…それはありえる…」


あの部屋を思い出すと、またなんか作ってそう…。

それともついにAヴァとかGUダム出来上がっちゃったのかな…?



♪♪〜♪



「あ、折り返しきた! もしもし」

「………(今のRi-3の曲だった…)」

『………(自分の曲、着信にするとかマジ引くわ〜…)』

「…あ、はい、実は前に先輩んちに居たケルベロス…木吏さん、でしたよね? 今話せたりとかします?」


はあ?…と王苑寺先輩の声が超低くなった。

あれ、なにかまずい事聞いたかな…?


『あいつなら居ねぇよ。実家に帰らせていただきますとか腹の立つ書き置き残してどっか消えた』

「えええええ!? それって家出的なもんじゃ…!?」

『そもそも家に置いてやると言った覚えもねぇ! 現れた時も唐突だったし、人の菓子は買ってきたそばからバクバク食うし、なんか妙に俺の読まないジャンルの本が散らばってんなと思ったら窃盗捜査で警官来るし、買い物のやり方が分からないからって事でなんでか俺が損害全額支払う羽目になるし、仕方ねぇからカード預けてやったら好き放題に本だの菓子だの買いまくるし、本読みながら生クリームでベッドや床汚しまくるし、風呂は一人で入れねぇし、仕方なくベッドシーツを替えたらその瞬間ダイブして爆睡し始まりやがるし、何より勝手に俺の菓子を食うし…!』

「・・・」



…自由だな、木吏氏。

…た…大変だったんだな…王苑寺先輩…。









『そんな訳で今居ねぇ。っていうかお前、あいつに何の用だ』

「…実は神様関連で調べている事があって……木吏さんケルベロス族の中でも一番知識量がある人だって聞いたんで…」

『神様だぁ? てめぇ、いつも頭の上に本物乗っけてんだろうが』



か…返す言葉もない。



「…いやその…そうなんですけど…」

『…………。…ようやく本気で峰山の奴を助けたいとでも思ったか?』

「! …知って…!?」


うそ、なんで!?

王苑寺先輩、神様とかそういうの一切信じてなさそうなのに…!


『当たり前だ、俺を誰だと思ってやがる。…ま、よく木吏の奴がうんちく語ってた時にネタに使っていたからな。…お前が本気で助けたいとか、思ってんなら…そのうんちくを聞いた俺からのアドバイスとしてはだな』

「は…はい…」

『創世神をぶっ殺せ』

「………………」



王苑寺先輩………ある意味…俺より遥かに素晴らしい魔王思考………。



『じゃ、人類の夢を実現するためにあとちょっとだからもう切るぞ』

「な…なに作ってんですか…」

『半永久的にエネルギーを生産し続けるエコなエンジン。完成したらこれでGUダム作る』

「…が…頑張って下さい………」


ツーツー…と、電話が切れた。

そうか、創世神をぶっ殺せばいいのか…。

…八王相手より大変そうだな…。

創世神…それは世界そのものなんだから……俺は事実上の世界と戦わなきゃならないのか…うん…分かり易い。


『王苑寺なんだって?』

「…うん…人類の夢…GUダム作ってるって。…あとちょっとだって…」

『…あいつはたまに才能をものすごくしょうもない方向に無駄使いするよね』

「……………」









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