第9話 行商人が来ました。
「来たねぇ行商人」
「来ちゃいましたね」
「分体に応接室に通させて、そのまま部屋で取り込むよ……お!あの護衛艦ウチのリストに無かったなぁ! 宇宙船ゲットだぜぇ!」
「なんか、そっちが主目的になってません?」
「いやー建造出来るようになってから、艦隊コレクション的な? 色々な宇宙船集めたくなっちゃってね、せめて最近の船はコンプリートしたい」
「なんだろう、嫌な予感しかしない」
「とりあえず、船の中に残ってる人には、ここのボスが《《はべらせて》》いた女性型の分体を作り出して、そいつらに俺饅頭持っていかせよう、手に持たせたらこっちのもんよ」
「こっわ」
「よせやい、照れるじゃないか」
「いや、褒めてませんけど」
「そういうリーメイも今から沢山人喰われるのに全然平気じゃないか」
「木人ですからねぇ、あんまり個の生死に感情が揺れないんですよね、それに割と今でも私達はモンスター扱いされてますしねぇ、そんな人達がどうなっても……ねぇ」
二人で司令室で事の一部始終を眺めながら呑気に会話する。
「これからどうするんですか?」
「どうするって?」
「だって、行商人の人食べちゃったじゃないですか」
「食べちゃったね」
「絶対、問題になってなんか大変な事になりますって」
「なるかなぁ? しばらく問い合わせとか来て、調査で人が来てとかになるんじゃなくて?」
「えー、だってここ海賊ですよー、そんなにゆっくり段階踏んでとかします?」
「そっかー、逃げるようにスピードとステルス性高い船作っとく?」
「作っておきましょう! その方が安心ですって!」
「そこまで心配しなくても、大丈夫だと思うけどなぁ」
「ど・こ・に! 大丈夫な要素あるんですか?」
「なんつーか、感? 俺の野生に感が大丈夫って言ってる気がする」
「危機感が足りないだけですぅ! 推進力と隠密性特化ので早く作ってくださいよー!」
「分かったよー、なんか実用性だけじゃロマン無いよなぁ」
「いりません! 逃走用の宇宙船にロマンとかいらないです」
「うーん、意見の合わない君とボク」
「もう! 良いから早く作って! 食料とか使えそうなもの運び込むんで」
「はーい、わっかりましたー」
ー数日後ー
「偵察船ですね」
「偵察船だね」
「正規軍のですね」
「やっぱり正規軍だねぇ! スペック全然違うよ! やべーテンション上がる!」
「やべーテンション上がるじゃないですよ! 来ちゃったじゃないですか! 行商人なんか吸収するから!」
「あん時リーメイだって、『やっちゃいましょう!』って言ってじゃないか!」
「そんな事言ってませんー、しょうがないですねって言っただけですー」
「すぐ、掌クルクルひっくり返しやがって!」
「私の手に掌なんてありませんー」
「くっそー、なんかだんだん生意気になってないか?」
「そんな事ありませんー」
「まぁ、良いや、実際問題としてここから脱出する船作るなら、出来るだけスペック高い船ば取り込んだ方がよくね?」
「んー、それもそうですね! 全機発進! 一撃で屠りましょう」
「切り替えはや! いやいや、全機でなんか出たら逃げられちゃうでしょ、機動機雷と隠密性と突進力マシマシの小型リーチで待ち伏せして、そこそこ優秀な機体二機で追い込むよ」
「おー凄いちゃんと作戦練ってる! でも、そんなに沢山コントロール出来るんですか?」
「そこはAIも取り込んだから、半自動でいけば大丈夫だと思うよ」
「じゃあ、早速捕まえてちゃいましょ」
ー軍用偵察機内部ー
「キャプテン、出てきました」
「やはり、あの小惑星は奴らのアジトと見て間違いないな」
「そうですね、廃棄された古い基地を修繕して使用しているようです」
「どうしますか?」
「もう少し相手の戦力を調べないと、戻る訳にもいかんだろう」
キャプテンが珍しく歯切れの悪い言い方をする。
「悪い予感でも?」
「単純に力押ししてくる相手なら良いんだけどな」
「目標、攻撃行動を行い出しました」
「いつも通り躱しながら、敵陣地と思われる小惑星に近づくぞ」
「了解」
敵の攻撃を避けるように移動した瞬間、コックピット内にアラームが鳴り響く。
「どうした!」
「機動型機雷です!」
「機動型なら威力は低い! この艦の装甲を抜けないから気にするな!」
「それが……爆発せずにこの艦に吸着してます」
「不発という事か?」
「おそらく」
「……一体何が狙いなんだ?」
「奇襲です! 緊急回避を行います!」
「今度は何だ!」
「小型のリーチです! 通常ではあり得ないサイズの為、補足が難しいです! しかも、推進力に特化しているようで回避難易度が高いです!」
「やむを得ないな、迎撃しろ!」
「ダメです! 機雷が発射口を塞いでいます! このまま使用したら暴発します!」
「くそ! 回避に専念しろ! いくら早くても海賊のオリジナル船なら質も量もたかが知れてる! 何機いようが躱せるだろ!」
「何機ではありません! 何十機です」
部下が必死に回避しながらそう応える。
「な、なんなんだ奴らは! 秘匿回線を開け!」
「了解」
「キャプテン! 艦船内部に何かが侵入しています!」
「どういう事だ! リーチは完全に捕捉してるだろ! なぜ接触させた!」
「違います! 侵入を試みているのは機雷です! そして侵入されたものはスライムです!」
「スライムだと!」
余りの出来事に誰も対応できていない。
だが、そんな事情を汲んでくれるわけもなく、スライムは次々と入って
くる。
偵察艦の運命は決まった。
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