第3話 お話ししました。
さっきより大きめの分体を作って木人の部屋までくる。
スライムのままで良いかな?
目、耳、口だけ作っておくか。
あれ? スライムのままで目とか作るとなんか安定しないで身体の中で移動しちゃうな。
身体を宇宙船の材質にした方が固定出来るか。
メタリックシルバーなスライムになったけど、ま、いっか。
ロックを外して中に入る。
中にいたのは身長八十センチくらいの丸太に太めの木の枝を足、細めの木の枝をを手、ちょっと胴体部分の丸太より小さい丸太を頭って感じの、出来の悪い人形みたいなのがいた。
木の皮とかも剥いで無くて、なんか樹皮のゴツゴツした感じが残ったままって感じだった。
「〒々〆!〆※$%!€£&@#¥!」
うん、何言ってるか分からないけど言葉さえ喋ってくれれば解析スキルがなんとかしてくれるはず。
「やめて! 殺さないで! 美味しくないよ!」
「え? 君らって食料なの?」
「木人語喋ったぁぁぁ!」
「言葉通じないのに訴えかけてたの?」
「あ、うん、気持ちは伝わるかなって」
「てか、君って食料なの? 非常食って呼んで良い?」
「非常食じゃないもん! スライムって私達が寝ている時にこっそりやってきて食べるって聞いたから」
「あぁ、ごめん、非常食じゃ無くて夜食か」
「ひぃぃぃ! 美味しくないよ! 私子供で痩せっぽちだから美味しくないよ!」
「あ、子供なんだ、男の子? 女の子? 名前は?」
「女の子だけど、私たちには個体毎に名前をつける習慣が無いの、だから私だと『トーアサ林の南地区の五十三本目の雌株の若木』ってなる」
「なっが! 覚えづら! 勝手に名前つけて良い?」
「食べない?」
「食べない、食べない」
「じゃあ、良いよ」
「うーんと、カロリーメイ……おっと非常食に引っ張られた! リーメイにしよう!」
「うん、うん? 今非常食って……」
「あー大丈夫大丈夫、リーメイって名前は非常食じゃないから」
携帯食だけど。
「じゃあ、良いけど」
「それで、リーメイはおうちに帰りたい?」
「うーん、帰りたいって気持ちと、このまま色んな物見たいって気持ちが半分半分くらい」
「好奇心旺盛だね! でもおうちの人心配してるんじゃない?」
「そっかー、そうだね! じゃあおうちに帰りたい!」
「オッケー、じゃあその方向で作戦考えよう!」
「ありがとう!」
「とりあえずは、この船を完全に取り込んじゃうから、しばらくは適当に時間潰してて」
「分かった! 何もしないでジッとしてるの得意だから、それしてる」
「あ、いや。そこまでしなくても」
「ジッとしてるだけなら水と光だけで平気だから、その方が良いと思うよ」
「おー! よく出来た子だ! じゃあずっとじゃ無くて良いからジッとしててね」
「うん! 任せて!」
という事で、この宇宙船を完全に取り込んでしまう作業に入る。
数日かかったけど、取り込む事は難しくなかった。
動力炉がヤバいかなって思ったら、宇宙船の外殻を取り込んだことで耐熱性が上がったらしく、割と平気に取り込めた。
ちょっと熱かったけど。
そして動力炉を取り込んだおかげで、熱に関してはほぼ影響を受けないくらい耐性ついた。
ただ、問題が一つ。
修理が出来ない。
どうも取り込んだ物質の量と種類で色々上限か制約があるみたいだ。
中の材料使って外を修理とかやろうと思ったんだけどうまくいかない。
これは、材料を確保する必要がある。
どうするか?
無ければ奪えば良いのだよ!
ここの乗員が海賊が寄ってこないようにとしなかった方法。
『全周波数での遭難信号を出す』をあえてするのだ!
特定の周波数の方が海賊を呼び寄せる危険性は少ないが遭難救助される可能性も低くなる。
だからといって周波数帯を広げれば、危険性は上がるのに、救助の可能性はそこまで上がらない。
空気が漏れているとか、余程時間がないような状態じゃなければ、全周波数でなんて信号出さないし、それほど切羽詰まっているなら、簡単に拿捕出来そうなので海賊が集まりやすくなる。
今回はこれを逆に利用して、海賊たちを栄養分に変えようという作戦だ。
俺たちを獲物にしていいのは、獲物になる覚悟のあるやつだけだぜ!
ふっふっふ、俺の滋養になってもらおう。
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