第10話 脱出しました。
「いやあ、軍の装備ってすごいな! ここの宇宙船のパーツじゃ荷電粒子砲くらいじゃないか? 残しておきたいの!」
「荷電粒子砲は存在そのものが必要ないです」
「いやいや、ロマンでしょ! まさしくロマン砲」
「前にも言ったと思うんですけど、脱出艇にロマンとか要らないです」
「リーメイとは一生分かり合えそうにないな」
「分かり合えなくて良いんで、早く脱出用の宇宙船作ってください」
「じゃあ、荷電粒子砲搭載可能な機体から……」
「あぁ! もう! まず隠密性が高い機体で! さっきパクった軍の奴全部乗せで! お願いします!」
「それだと積載量かなり少なくなるし、サイズや材料の関係で作れるものかなり制限さるぞ」
「私、明かりさえあれば光合成出来るので、生命維持装置は最小限の物で良いです。
作るものは、どこかで漂流物吸収すればまた色々作れるようになるでしょ?」
「そりゃそうだけど、せっかくここまで作り上げたのに勿体なくね?」
「死んだら終わりです」
「いや、まぁ、そうなんだけど……」
「はーやーくー! のんびりしてて間に合いませんでしたとか洒落にならないですからね!」
「だぁぁ、分かった分かった! 作りゃ良いんでしょ作りゃ! だからそんなに俺を揺らすな!」
「もう、どうせ作ることになるんだから無駄な抵抗とかしないでくださいよ!」
「どういう事?」
「私分かっちゃったんです」
「何を?」
「貴方って、無慈悲で容赦無いけど、一回仲間って決めた人には甘いって」
「ムッ! そんな事ないぞ!」
「そんな事あります! だって私がこれほど言ってるのに一度も怒らないもの」
「それは、たまたま腹が立たなかっただけで……」
「ふふふ、じゃあそういう事にしてあげます! 早く船作ってください」
「くっそー、まぁ良いや、流石に軍の高性能を作るとなると、結構時間かかるから早速建造するか、ついでに時間稼ぎ用も作っておくか」
ー二週間後ー
「哨戒艇に反応あったわ、ついに軍が来たわ」
「うわぁ、建造間に合いましたか?」
「八割弱ってとこかなぁ」
「何やってるんですかぁ!」
「あ、いや、ディテールにちょっと凝りたくてな」
「そんなの要らない! もう発進出来るんですね!」
「うんまぁ」
「じゃあ、積み込みして脱出するんで、時間稼ぎしてください!」
「うん分かった! まっかせて! この時のために色々作ったから!」
「……嬉しそうですね……一歩間違えれば私が死んじゃうのに」
「そりゃあ、しょうがない、俺だけならどんな方法でも生き残れる自信あるから、緊張感ないんだし」
「バーカバーカバーカ」
「あ! てめぇ! バカって言った方がバカなんだぞ!」
「とりあえず、色々積み込んだり、色々調整しないとだから、一日や二日は時間稼いでくださいね」
「はっはっは! 何を言ってるのだね! 壊滅だよ壊滅! あれくらいの軍隊なんか一瞬で木端みじんこよ」
「前から思ってたんですけど、時々おっさん臭しません?」
「うっさい! 俺が作りに作りまくった荷電粒子砲二門搭載したオリジナル突撃艦『コクーン』現在百七十四隻つまり荷電粒子砲は三百四十八門!」
「えっと、一回しか使えない一発芸艦隊ですよね?」
「たかだか海賊と侮った敵艦隊は戦艦二隻、巡洋艦五隻を含む七十隻! 一回撃てれば充分お釣りが来る! 灰燼に帰してやる!」
多分、実弾兵器は使ってこない。
なぜなら価格が高いから。
たかが宇宙海賊相手にいちいち高価なミサイルを使うとは思えない。
そうなると、戦艦の主砲のビーム兵器の射程が最大五km、こっちの荷電粒子砲が倍の十kmあるから、こっちが先制攻撃出来る。
派手にいくぜー!
まずは七十隻百四十門を発射!
かろうじて避けた艦隊を狙って、七十隻百四十門を発射!
残り四隻がまだ生きてそうな残骸を掃射して片づける。
圧勝! いや完勝!
よし脱出する時間稼げた!
これで余裕だな!
ー軍本部ー
「閣下! 第七艦隊が全滅しました」
「どういう事だ?」
「こちらとの通信中に突如通信が遮断されその後連絡がとれず、偵察隊に強行偵察を実施させた所多数の艦船の残骸を発見、その後第七艦隊の物と断定、同時に全滅が確認されました」
「つまり、ほぼ一撃で壊滅したという事か?」
「恐らくは」
「他に何か情報はないのか?」
「現地で磁場の乱れを感知しているそうです。 恐らく荷電粒子砲の集中運用があったのではないかとの推察がされています」
「レックレスの多数運用か……対策用の撹乱膜を発動出来る艦をありったけかき集めろ! 現在動員できる全艦隊を全て出せ! 我々に歯向かったものの末路を思い知らせろ!」
「了解しました! ルシウル星系の艦隊以外を全て向かわせます!」
軍対海賊の全面抗争が始まった。
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