子狸ポンキチとタコさんドーナツ
ぽかぽか村の動物たちはなぞなぞが大好きです。
子狸のポンキチくんはお友達とドーナツづくりをしながらナゾトキを楽しんでいました。
家紋 武範様の『約束企画』参加作品です。
その日、ほかぽか森には心地よい陽気がふりそそいでいました。
こだぬきの男の子ポンキチくんと、こぎつねの女の子のウカミちゃんが歩いていると、こじかのカノコちゃんにあいました。
カノコちゃんがいいました。
「こーんにーちわー。ポンキチくんにー、ウカミちゃん。わたしー、これからブウスケくんのーおうちにいくのー。ドーナツをつくるんだけどー、いっしょにくるー?」
ウカミちゃんは、こくびをかしげました。
「ブウスケくんとカノコちゃん、ふたりで作るんでしょ。あたしたちがいったら、じゃまにならない?」
「だーいじょーぶー。たくさん作るからー、ブウスケくんもー、他の友達をーつれてきていいってー」
カノコちゃんの言葉で、ポンキチくんもにっこりしました。
「んとね。ぼく、ドーナツ大好きなの。ウカミちゃん、いっしょにいこうよ」
「そうね。じゃあ、お仲間にいれてもらおうかしら」
そうして、ポンキチくんとウカミちゃんはカノコちゃんといっしょにこぶたのブウスケくんのおうちにいきました。
「よくきてくれたブー。それじゃあ、みんなでドーナツを作るブー」
ブウスケくんは小麦粉とタマゴ、ミルクやおさとうなどを使って、ドーナツの生地を作っていました。
それをみんなでこねて、丸いわっかを作ります。
これを油であげるとドーナツになるんですね。
わっかを作りながら、ブウスケくんがいいました。
「ここでなぞなぞだブー。ヒザをまげて、背中を丸めて作るオモチってなーに?」
ぽかぽか森の動物たちはなぞなぞが大好きです。
もちろんポンキチくんも大好きです。
ちょっと考えて、ニッコリと笑いました。
「オモチ……オモチ……アンコロモチ、キナコモチ……なんだろうね」
「うーん。ちからもちー? わかんなーい」
ウカミちゃんとカノコちゃんはわからなかったようです。
そこでポンキチくんが答えました。
「んとね。こたえはカガミモチなの。かがんで作っているの」
「ポンキチ君、正解だブー」
その後も、みんなでドーナツづくりを続けます。
わっかの形だけでなく、長い棒にしたり、二本の棒をねじった形のものも作ります。
カノコちゃんは短い棒を五本、まんなかでくっつけた形を作りました。
ウカミちゃんがききました。
「あれ? カノコちゃん、それってヒトデの形?」
「ちがうのー。油であげるとー、星にかたちになるのー」
ドーナツはあげるとふくらみむたいですね。
「わたしからもー。なぞなぞだよー」
こんどはカノコちゃんが問題を出すようです。
「冷蔵庫のー。とびらをあけてー。そのままにしてたのー。そしたら出てきた果物ってー、なーに?」
「冷蔵庫? 難しいブー。とびらをあけたままだと、ヌルくなるブー。食べるのをパパがいやがるからパパイヤ?」
「ちがうよー」
ブウスケくんの答えはまちがっていたみたいです。
ウカミちゃんも考えています。
「えーと、えーと。あけたままだと中の食べ物がくさっちゃう。くだものから、『く』を取って……言葉にはならないね。わかんない」
ウカミちゃんもわからなかったようです。
最後にポンキチくんが答えました。
「んとね。あけっぱなしだから、こたえはナシなの」
「はーい。ポンキチくん、せいかーい」
生地をドーナツの形にできたので、油であげていきます。
おナベであつくなった油に、ウカミちゃんが生地を入れていきます。
しばらくするとふくらんできました。
できあがったものをサイバシで取り出して、アミに乗せていきます。
作業をしながら、ウカミちゃんが言いました。
「じゃあ、こんどはあたしがなぞなぞ出すよ。海にもぐる船の中にあるくだものってなーに?」
カノコちゃんが答えました。
「ウミの『ミ』の字をー、少し下にもぐらせてー、ウメ?」
「ちがいます」
「船があやしいブー…… あっぷあっぷとおぼれてて、アップル?」
「ちがいます。船はもぐっているけど、しずんでないわよ。あ、ポンキチくんはわかったみたいね」
「うん。わかったの。んとね。潜水艦の中の言葉だから、スイカなの」
「さすがね。ポンキチくん、正解」
ポンキチくんとカノコちゃんは、できあがったドーナツにおさとうをふりかけました。
「ジュースを持ってきたブー。みんなでドーナツを食べるブー」
ブウスケくんがジュースが入ったコップをみんなで配りました。
できたてほかほかのドーナツは、あまくておいしいです。
できたてドーナツを食べながら、テーブルを見ていたウカミちゃんが「あれ?」といいました。
「ブウスケくん、こっちのボウルに生地が残っているけど、これはどうするの?」
「それはミルクを入れすぎたブー。やわらかすぎてわっかを作れないブー。どうしようか考えてなかったブー」
それを聞いて、カノコちゃんが言いました。
「フライパンでー… 焼いてー クレープにすればいいよー」
「んとね。クレープもいいけど、熱い油があるからドーナツにするといいと思うの。大きいスプーンで油に落とすと、丸いドーナツになるの」
ポンキチくんのアイデアを試すことにしました。
みんなでスプーンでやわらかい生地をすくって、油に落としていきました。
丸いかたまりになりましたが、油に落ちる前に何本かのシッポがのびたような形になりました。
全体はボール型にふくらんで、シッポの部分は縮まって固まりました。
「タコさんドーナツができたブー」
「あたし、ちょっと味見してみるね。あ、おいしい」
「タコの足のところがー クッキーみたいでー サクサクしてるのー」
「んとね。予想とちがったけど、おいしいの」
めずらしい形のドーナツは好評だったようです。
みんなでドーナツを食べているときに、カノコちゃんがいいました。
「ところでー、ポンキチくんだけー、なぞなぞを出してないのー。なにか問題はあるー?」
「え? ぼく? そうだね。じゃあ、ぼくからなぞなぞなの。んとね。さわれないけど、やぶることができるもの。でも、やぶっちゃいけないものってなーに?」
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