ご利益判明!そして激痛
「あの猫、何をしたんだ?確認する方法もないし。」
あの後、スーパーで買った弁当を食いながら俺はあの不思議な出来事を振り返っていた。
結局ご利益と言われたが何を貰えたかわからない。
「学業関連とかじゃないだろうな。だとしたら宝の持ち腐れになるけど」
役に立つとは言われたがそもそも何に使えるものか分からなければ気づかぬままひっそりと人生を終わらせることとなる。それはあまりにも悲しすぎる。
「確か神様によってご利益ってある程度決まっているんじゃなかったっけ?」
受験期に太宰府天満宮のお守りを貰った記憶がある。あそこには確か学問をつかさどる神が祭られていたような・・。神様さえ特定できればご利益についてある程度目途がつくんじゃないか?
「白い猫 神様で検索っと」
早速俺はスマホで調べごとを開始した。
~1時間後~
「ダメだ・・全然わからん!」
全く目星がつかん!!邪気払いだとか縁起がいいとかあったが全く絞れない。
「とんかつって入れても多分無駄だよなあ」
完全に手詰まりだ。一気に力が抜けた俺はあおむけに寝転がる。
「こんな時は読書でもして気を紛らわせるか」
視界にちょうど本棚が目に入ったので適当に一冊を選ぶ。
「あれ?これ親父の本か。うっかり持ってきてたんだな」
大学時代に買った教科書などの中に一昔前の作品が紛れ込んでいた。一昔前だと分かるのは別に本が古そうだったからではない。ジャンルが異世界無双系というやつだったからだ。
まだダンジョンなどがなかった時代にはこういう強い能力を持って異世界で大活躍するものが流行っていたらしい。
「まあ今じゃここが異世界みたいなものだしな・・」
まさしく事実は小説より奇なりというやつだ。
「少し読んでみるか」
「フィクションとはいえ強すぎないかそれ」
いくつか読んでみたのだが、どれも主人公が最初に手に入れる能力はあまりにも強すぎた。現実世界にそんな奴がいたら文句の一つや二つ言っても罰は当たらないくらいだ。これだけ都合の良すぎる展開だと魔法やスキルが身近なものになっている現代では廃れていってもおかしくはない。
「てか、この展開どっかで見たような・・あ」
さっきの俺と似てない?神様から能力貰うとか。まあ流石に倒した相手のスキル奪えるとかそんなに強くはないと思うけど俺も何か貰えていてもおかしくはないのでは。
「えっと、確かステータスオープンみたいな感じで・・うわっ出た!」
主人公たちが言っていた言葉を唱えてみると謎のウィンドウが出現した。
名前 武村裕也
レベル 1/1
HP 15
攻撃力 10
防御力 10
魔力量 5
技能量5
俊敏 6
スキル 0/0
【無限進化】
しょぼそうなステータスは置いといてこの【無限進化】と書かれているものが例のご利益なのだろう。スキル欄とは別項目に書かれているあたり小説の主人公たちで言う異能などに近いものなのか。無限進化と書かれている部分をタッチすると説明が出現した。
【無限進化】 レベル最大時 条件を満たすと進化が可能。この際、レベルはリセットされ獲得ステータスの7割が引き継がれる。スキルはすべて引き継ぎ可能。
「これ要するに無限に強くなれるってことか。てか俺の最大レベル1だったのかよ」
それは強くなれないわけだ。しかしこれがあるならダイバーになるのもよさそうだな。
そして無限進化の最後にはこう記載されていた。
『進化条件を満たしています。進化しますか?』
「これって進化できるってことだよな・・」
選択肢としてはい・いいえの二つが表れている。頭の中では決まっている。当然[はい]だ。しかし俺の指は震えている。比喩ではない、生物的に進化するのだ。恐れなどは当然ある。
「落ち着け~。ふぅ~・・よし!おりゃ!」
いったん深呼吸をした後、俺は[はい]を押す。
[進化を開始します]
ウィンドウにその文字が表れたと同時に体に激痛が走った。
「あっ、ガァァッ!!」
ボキボキと全身の骨が悲鳴を上げていた。体が変わっていくような痛みだ。
「注意書きくらい書いておいてくれ・・」
痛みに耐えかねた俺は意識を手放した。
「ん・・寝てたか・・」
目が覚めると空はすでに明るくなってしまっていた。
「進化したらしいけど強くなった実感がまるでないな・・。ステータス」
名前 武村裕也
レベル 1/5
HP 15
攻撃力 10
防御力 10
魔力量 5
技能量5
俊敏 6
スキル 1/3
原初の剣技Ⅰ
【無限進化】
どうやら進化できているようだな。ステータスこそ変化していないがレベル上限とスキルが変化している。
「このスキル聞いたことないな・・剣技と何が違うんだ?」
何かかっこよさそうな名前ではあるが流派のようなものなのか?スキル部分をタップしてみたが原初の剣技を使う資格を持った者と書いてあり、バフが入っているようではなさそうだ。
「こういうものって補正みたいなのがあるはずなんだけどな。資格ってなんだよ。」
其れよりも今は伸びしろが増えたことを喜ぶべきだろう。




